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モノクロームに愛された者たちへ  作者: ヤナギ ショーキ
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画布に住まう闇の住人

 この人はね、ずっと暗い場所にいたんだ。


 すんごく悲しいトコロでさ? すべての光を拒んじゃうみたいな、そんな場所。


 でもこの人はね、そんな場所でずっと光をほしがってたんだ。


 光に憧れて、いつも「光をくださいー!」ってお願いしてたの。


 そしたらある日、空からプレゼントみたいに光が降り注いだんだ。


 それでついに、この人は光を手に入れたの。


 でも、実際手に入れてみたら、すごい毒々しいものだった。


 結局、この人は光の世界で生きるのがつらくなっちゃったの。


 この人はもともと闇側の存在だから、見栄を張り続けても無理だなって気づいたんだよ。


 だから、もう我慢しなくてもいいって思って、光の世界から離れて、闇の中で自由に生きることを選んだの。


 その時に自分の目を自分でつぶして、心臓をえぐったってワケ。


 それでこの人は解放されたんだよ。


 光のしがらみから解放されて、闇の中で本当の自分を見つけたんだって。


 闇がこの人にとっての救いだったんだよね。


 何が言いたいのかっていうと、この世には、闇の中でしか存在を見出せない人がいるんだよ。


 ─────────────────────


 Vivus erat difficilis, placidus moriens erat.


(生きることはつらく、死ぬことは安らかだった。)


 Vere vana vita est.


(生とは実に空しいものだ。)


 Pictura patris Sarae et "Saltatio Mortis" me hoc docuit.


(そのことを、沙楽のお父さんの絵と『死の舞踏』が教えてくれたんだ。)


 ─────────────────────


 Mundus lucis mihi non convenit.


 Mundus lucis tantum mihi dolet.


 Dicamus vale mundo lucis.


 Mundum retrahe lumen tuum.


 Tenebras absconde intra tentorium.

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