クリスマスプレゼント
小学校低学年のときの話なんだけど、みんなで「クリスマスプレゼントなに頼んだ?」って話題で盛り上がったの。
男の子たちは、ゲーム機、ゲームソフト、トミカ、ウルトラマンのビニール人形を頼んだみたい。
女の子たちは、たまごっち、ディズニーのレゴブロック、オリケシ、リカちゃん人形を頼んだみたい。
そんな中で私、なんて言ったと思う?
「愛情」
さすがに場違いすぎるよね。
でも当時の私って、本当に『愛』がほしかったんだ。
おもちゃもゲーム機もいらなかった。
ただ人から愛されたかったの。
その時の「え? こいつなに言ってるの?」みたいな顔は今でも忘れられないし、未来永劫記憶から消えることはないと思う。
ワンテンポ遅れて、今度はその場にいる全員が笑い出した。
正直、すごく心細かった。
私と似た境遇の人はいないんだなって思った。
ま、低学年でそんな経験をしてる人のほうがレアだとは思うけどネ。
「へんなのー!」
「おかしー!」
『変』
『おかしい』
そう言われて初めて気づいたの。
私は普通じゃないって。
私は明らかにズレている人間なんだって、頭が悪いなりに理解したんだ。
ホントは私も、クリスマスプレゼントをねだりたかった。
でもお父さんは仕事で忙しいし、やったこともない料理とか洗濯とかで毎日苦労してるし。
生活するだけで手一杯なのに、そこで声をかけるのは迷惑かなって思ったんだよね。
詳しい経緯も知らないのに、後ろ指なんてささないでよ。
影で笑わないでよ。
あなたに、私の本当の気持ちが理解できる?
ズレている人間の気持ちは、ズレている人間にしか分からない。
……荒んでるなぁ。
そう感じる私が悪いの?
それともこの世の中が悪いの?
…………。
んー、分かんね!
やっぱり人間なんて、どこに行っても同じなのかなぁ。




