罪と罰の交差/Interseção de crime e punição
あの日から二年が過ぎた。
こうしている間も、彼は自身の身に宿った悪魔と闘っているのだろうか。
それに比べ、私は何をやっているのだろうか?
思考を止め、感情を殺し、ただ無為に生きているだけ。
毎日が綱渡りの状態であるにも関わらず、僅かな希望を望み、必死に生きようとしている彼に申し訳ないと思わないのか?
やはり、地獄に落ちるべき存在は私だったのだ。
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二年前から今日に至るまで、女は毎日同じ夢を見続けている。
一片の光もない常闇へ足を踏み入れていく男を止めようと、女は手を伸ばす。
だが、女が男の手に触れた瞬間、男は泡となって忽然と姿を消してしまう。
ついに正気を失った女は、懐に忍ばせていたナイフを自身の胴体に何度も繰り返し突き刺し、血飛沫を飛ばしながら心臓を抉り取る。
女は手を赤く染めたまま教会に赴き、新鮮な心臓を十字の飾り銀皿に乗せ、大地に額を擦りつけ、神に懇願する。
だが、啓示を受けられることはなかった。
二年間、女は一度でも許されることはなかった。
それは必然だった。
女が犯したのは、ただの罪などではない。
大罪なのだ。
物品を破壊した、窃盗した、人に暴力を振るった等の純粋な害の理由ではなく、一人の人間を自殺に追い込んだのだから。
女の愚かな口は温柔敦厚である男の精神を引き裂き、女の浅短な体は救世済民を成し遂げようとする男の意思を阻んだ。
すべての悪は、女にあった。
愚かな自尊心を誇示し、不毛な嘘を吐き続けた結果が、この現状なのだ。
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目が覚めると、決まって枕と目元がぬれている。
寝返りを打つ力も、起きてカーテンを開ける気力すらも無い。
私はベッドに沈み、仰向けのまま考える。
『空になったこの世界で、私はどう生きればいいのか?』と。
何度考えても、答えは見えない。
それどころか、『生』への希望が遠退いていく始末。
私の世界の夜は、まだ明けそうにない。
そもそも、私の世界に明日はあるのだろうか?
今の私には、それすらも分からない。
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אל תשפוט אנשים. כדי שגם אתה לא תישפט.
אתה תישפט במשפטים שאתה שופט ותישקל במאזניים שאתה מודד.
אתה רואה את הכתם בעינו של אחיך, אבל למה אתה לא שם לב לקרש שבעין שלך?
איך אתה יכול לומר לאחיך: "תן לי להוציא את הנסורת מעינך"?
אין לך קרש בעין?
צבוע, תחילה הסר את הקרש מהעין שלך.
אז תוכל לראות בבירור ולהסיר את הכתם מעינו של אחיך.
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תבקש את זה. ואז יתנו לך
תחפש את זה. ואז תמצא את זה.
לדפוק על השער. ואז זה ייפתח.
כי כל המבקש מקבל, ומי שמחפש מוצא, ולכל הדופק יפתחו.
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実はここ最近、他のことに気を取られすぎて仕事に集中できないでいる。
諸々の症状から判断するに、私はもうノーマルではなく、異常者なのだろう。
これがきっかけで、私は高校卒業後から勤めていたホテルを辞めることにした。
今回の件に関しては、普段から色々とうるさい親も口出ししないでくれた。
私はその週から毎日、日付が変わるまで自分の部屋に籠もり、思考を巡らせた。
考えに考え抜いた結果、闇雲に何千の言葉を語るより、一の真意を明らかにすることの方が大切だと結論付けた。
私はすぐ行動に移した。
言葉遣い、動作、思想、人間性。
ストレスとの向き合い方、並びに解消方法。
『私』という存在自体を改善することに注力した。
すべての罪を背負い、行き場のない破壊の衝動と共にこの身を消し去る為に。
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最近、よく友達や家族から「まるで別人みたい」と言われるようになった。
変わり様を気味悪がってはいたが、これでいい。
すべてが順調だ。
呪われた肉体を捨て、私は生まれ変わらなくてはならない。
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世間とは、実に狭いものだ。
近所にある小さなキリスト教会へ向かっている途中、翔のお母様と遭遇した。
手提げ袋の中には、多くの食材。
お母様は、買い物帰りだった。
「あら、真理ちゃん?」
「……こ……にちは……」
私は声を絞り出した。
言葉に詰まるのは、後悔よりも先に、申し訳なさが現れているという証拠だった。
翔と、翔のお母様には、とてもお世話になったというのに。
日本文化について詳しく知らない私にも優しく接してくれて、いろんなところにも連れていってくれて……。
血も繋がっていないのに、家族のように振る舞ってくれて……。
それなのに、私の身勝手な行為で、すべてを破壊した。
私が、すべてを無に還した。
私は、もう終わりだ。
「今日は、どこかにお出かけ?」
お母様は、何食わぬ表情で尋ねてきた。
私の心の動揺に気づいているのか、はたまた、気づいていても、気づかないフリをしているのだろうか。
「……い……そこ……る教会……用が……」
私は教会がある方向を指差した。
「そうだったのね。ごめんなさいね、邪魔しちゃったよね」
お母様は申し訳そうにそう言った。
「いえ……そんな……」と言って、私は首を振り続けることしかできなかった。
沈黙していると、翔のお母様が口を開いた。
「あの、この間ね、翔の面会に行ってきたの」
私は息を呑んだ。
『憎悪』を疑うしかなかった。
今、このタイミングでその話題を切り出したということは、その実、翔のお母様は私を恨んでいるのではないか。
事態はマイナス方面に進んでいるのではないか。
私が歩んでいる道が正しいものなのかどうか、正直、自分でもよく分からなくなっていた。
「息子を追いやった責任として、今すぐ、この場で死んでみせろ」
『死』
この苦痛から解放されるための唯一の条件、それは死であった。
生まれ変わろうと努力を重ねてきたのだが、心のどこかで、死を望まれることに期待していた。
そうすれば、私は罪悪感を微塵も感じることなく死ぬことができるのだから。
さぁ、「死ね」と言ってください。
そうすれば、私は喜んで地獄へ落ちます。
だが、お母様が口にした言葉は、私の想像の斜め上を行っていた。
「翔ね、もうだいぶ落ち着いているらしいの。だから期限付きではあるけど、あと一ヶ月もしたら外に出られるって」
「外に……ですか……」
「えぇ。それで伝言……というわけじゃないけど、外に出る前に、真理ちゃんに渡してほしいものがあるってお願いされててね」
お母様はそう言うと、財布の中から小さな紙切れを取り出し、私に手渡した。
全体的に小さく、筆圧が弱く、線の細い文字。
間違いなく、それは翔の文字だった。
紙切れには、私に向けての想いが切なく綴られていた。
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電話で手続きをしてから一週間が経ったある日、ついに面会の許可が下りた。
面会当日、翔の切実な願いが記載されている手紙を握り締めながら、私は職員の後をついていく。
「しばらくこちらでお待ちください」
パイプ椅子に座ると、目の前には分厚い強化ガラスと通声穴。
準備は整った。
……二年。
二年だ。
この二年間を経て、ついに自身の罪を告白する時がやってきたのだ。
もう何も、恐れることはない。
その時が来る瞬間を目を閉じて待っていると、向かいの小ぢんまりとした部屋に誰かが入室し、正面のパイプ椅子に腰掛けるのを気配で感じた。
私は目を開き、邂逅一番、口を開いた。
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「ひさしぶり」と。/“Já faz um tempo”, disse ele.
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Sento-me na cadeira e abro a boca.
Quando olhei para o lado, vi a figura da verdade do outro lado do vidro temperado.
Entro na sala.
O tempo está cheio.
Mais cedo ou mais tarde, terei que enfrentar meu destino.
Este é o destino.
Respiro fundo e me acalmo.
Uma enfermeira abre a porta.
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''……Está tudo bem. Eu posso ir."
“Você não deve fugir. Temos que enfrentar a realidade, a verdade.”
No entanto, havia uma coisa que eu sabia.
Eu nem sabia o que estava dizendo.
"Não! Isso não é bom!"
“Se parecer difícil, você gostaria que eu retirasse?”
No momento em que ouvi esse nome da enfermeira, as memórias que eu havia selado vieram à tona.
"Esta é Mari."
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"Nunca mais."
Nunca mais farei algo assim.
Eu juro aqui e agora.
E eu sinto muito. Mesmo tendo nascido com um corpo saudável e lindo, acabei me machucando e jogando minha vida fora.
Você me criou até aqui como mãe solteira.
Muito obrigado por se esforçar por mim.
Eu não conseguia manter minha cabeça erguida.
Minha mãe até tirou folga do trabalho para vir para este lugar.
Já se passaram cerca de 10 anos desde que nos conhecemos assim? De qualquer forma, a última vez que o vi foi desde o dia em que ele se despediu de mim enquanto eu ia morar sozinha.
Minha mãe veio.
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Sinto que estou um passo mais perto de receber alta do hospital.
Graças a isso, a proibição de visitas foi finalmente suspensa.
Depois de dois anos, minha mente e meus pensamentos se acalmaram consideravelmente. Até eu fiquei surpreso.
Já se passaram dois anos desde que estive internado aqui.




