第15話 恋は盲目
「ま、哲学的な話はこの際どうでもいい。そんな事より……」
コイツとのやり取りは水掛け論にしかならなさそうなので、暴力云々の話はさっさと打ち切る。
話が進まんからな。
「お前はコイツの見た目に惑わされてるようだが、モモミの中身は糞オブ糞だぞ」
「な、なにを言うケロ!モモミさんは姿も……そしてそれに見合った美しい心を持ってるに違いないケロ!」
恋は盲目とはよく言った物である。
顔だけで相手を選ぶ事の愚かさが、このカエル野郎には集約されているな。
まあ、腹黒で厚かましい性格の女が好みという可能性もなくはないが。
「こいつがなんで、替え玉の婚約者まで用意してお前の求愛を断ろうとしてるかわかるか?」
「む……まだ若くて、恋よりも勉学に勤しもうとしてるに違いなケロ。彼女は努力家で、いつでも向上心を持って―—」
「そんな訳ねーだろ」
カエルの回答が余りにもピュアすぎて、聞いてられずその言葉を遮る。
お前はカエル版ビートか。
あ、ビートってのは、異世界ファーレスで出会った俺の親友だ。
そいつがまあ、頭がお花畑かってぐらいおめでたい奴で……って、そんな事はどうでもいい。
「こいつは超絶玉の輿を狙ってるんだよ」
「た……玉の輿?」
俺の言葉に、ケロンがきょとんとした顔になる。
「そうだ。モモミは高位貴族に嫁いで、超セレブ生活がしたいんだよ。そのためには、男爵家如きじゃ話にならない。分かるか?男爵家みたいな木っ端貴族は、及びじゃないって事だ。こいつのこいつの空っぽの頭の中は、欲望で一杯なんだよ。今から本人の口から説明させてやる」
俺はモモミを回復させて、その頭を蹴ってたたき起こす。
「あいたぁっ!?」
「酷いケロ!レディーにする事じゃないケロ!」
「お前は差別主義者か!世の中の主流はジェンダーレスだ!つまり女も殴り放題!」
「な、なにを言ってるケロか?」
カエルの知能では、難しい社会の話にはついて来れない様だ。
ま、所詮カエルだからな。
「モモミ。こいつを拒絶した理由を、嘘偽りなく説明してやれ」
「え……いや……でも……その……貴族を怒らせると不味いから……」
相手が貴族という事で、モモミは報復を恐れて口ごもる。
カエル野郎はそういう事しそうにないが、平民のこいつが警戒するは致し方なしか。
しょうがない……
「モモミ……俺を信じろ」
俺は笑顔でモモミの肩に手を置く。
そして――
「お前の信じる地獄の死者を」
―—親指を、あいつの肩にある閉じている目に突っ込んでやる。
「ひぎゃああああ!!」
そしてそのまま、眼球を親指で力強くゴリゴリしてやった。
「な、な、な、なにをしてるケロか!?」
「見て分かるだろ?肩もみだ」
それ以外何に見えるというのか?
「は、話します!話しますから!!」
高々カエル如きと俺。
どっちを怒らせるほうが恐ろしいか、どうやらちゃんと理解してくれた様だ。
流石俺の下僕である。
「モモミさん!大丈夫ケロか!?」
「あ、大丈夫です。お気になさらないで下さい……」
俺が手を放すとモモミが少しふらつき、カエルが血相を変えて駆け寄る。
まったく。
殴る蹴るした訳でもないないってのに、大げさな野郎だぜ。
まあいい。
さあ、グサッと言ったれモモミ。
鋭い真実という凶器の刃で、そのカエルの心臓をぶち抜いてやれ。
「あの……聞いてください。私がケロンさんの告白をお断りしたのは――」
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