第65話 楽しい楽しい裏口入学
「ふーむ……」
かつて人類を駆逐した魔王は、勇者との戦いのダメージの影響が大きく、その後結構すぐに死んだみたいだった。
まあ、後一髪のところまで追いつめてたからな。
魔神帝は。
その後は、一部の魔族が魔物を統率する形で世界は続いていたそうだが……
「ある魔族が、進化の秘術を生み出して今の状態になったと?」
「サー!イエッッッサー!!」
俺の問いにモモミが背筋をピンと伸ばし、片手を顔の前にやって大声で答えた。
いわゆる、軍隊式敬礼のポーズだ。
まさに教育の賜物である。
進化の秘術は、魔物を大きく進化させたそうだ。
主に知能方面で。
この世界の魔物達が、人間の様に文化的に生活しているのはそのためだった。
「秘術か……ま、いらんな」
効果が戦闘力方面なら、対地球の神用に手に入れたかったのだが。
知能上昇じゃなぁ……
聡明な俺がこれ以上賢くなる意味はない。
「お前の入学した……えーっと、ビバ……なんだっけ?」
確か物凄く頭の悪そうな名前だった筈。
「サー!魔天聖愛学園であります!!」
「そうそう、その魔天聖愛学園。そこじゃ、どんな事を習うんだ?」
「サー!魔天聖愛学園は――」
「あ、もう普通に喋っていいぞ。飽きて来たから」
自分でやらせといてなんだが、話しにくくてしょうがない。
「あ……はい。では、魔天聖愛学園は超が付く名門でして――」
モモミが、恐る恐るといった感じで話す。
俺が急に掌を返したので、引っ掛け問題だとでも思ってるのかもしれない。
疑り深い奴だ。
「ふむ……」
学園での授業内容は、多岐に渡る様だった。
一般教養や知識、戦闘技術や魔法。
それに、マジックアイテム系の制作方法なんかもだ。
今の俺の目的は二つ。
一つは魔神帝の故郷に人間を復活させる事だ。
当初の予定だと、魔物どもを蹂躙して人間をある程度蘇生させてって感じだったんだが、現在は保留中となっている。
理由は魔物が文明的に過ごしているためだ。
これが全部獣みたいな奴らなら迷う必要はないんだが、数百年経って平穏に過ごしている奴らを理不尽に殲滅するってのは、流石に良心が咎めるという物。
それもちょろっと記憶が流れ込んで来た、魔神帝の為だというなら猶更だ。
という訳で保留。
んで、もう一つの目的だが。
当然、俺を追い出した地球の神への報復だ。
絶対に復讐してやると、俺は心に決めている。
が、残念ながら今のままだと勝ち目はない。
一応不意打ちとはいえグーパンで鼻血出してたから、そこまで絶望的な戦闘力の差はないとは思う。
だがそれでも、その後一方的にボコられてるからな。
今すぐリベンジに向かってもまた返り討ちに会うだけだ。
まあそれ以前に、あいつが地球に張った結界も抜けないしな……
二つ目の――神をぶっ飛ばすという大本命を達成するには、俺自身が強くなる必要があった。
だが単純なパワーアップはもう難しい。
覚醒は頭打ちだからな。
だから打開策を求めるとするなら、新たな知識と技術の入手だ。
「この世界の魔法とかを学んどいて損はないか……」
ではそれをどこで学ぶのか?
答えは目の前にある。
「よし、俺もその学園に通うとしよう」
――そう、学び舎である学校だ。
冷静に考えると、俺はまだ学生だしな。
何もおかしい事はない。
この世界の事も学べるだろうし、一石二鳥だ。
「これからは同級生だ。よろしくな、モモミ」
「へぁ?」
モモミが顔を引きつらせる。
どうやら彼女も歓迎してくれている様だ。
……さて、じゃあまずは入学手続きだな。
え?
どうやって入学するのかだって?
もちろん……
裏口入学だ。
言わせんなよ。
ちょっと感覚開いてしまいましたが【ハーレム学園に勇者として召喚されたけど、Eランク判定で見事にボッチです~なんか色々絡まれるけど、揉め事は全てバイオレンスで解決~】は今回で完結となります。
この続き魔界学園編は……気が向いたらって事で><
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それと宣伝おば。
きつめのざまぁ物、『異世界転生帰りの勇者、自分がいじめられていた事を思い出す~何で次から次へとこんなにトラブルが起こるんだ?取り敢えず二度と手出ししてこない様に制圧していくけども~』
世界から帰って来た主人公が、ふざけた奴らを力で無双制圧して行く話になります。
宜しかったら其方も読んで頂けると嬉しいです。




