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ハーレム学園に勇者として召喚されたけど、Eランク判定で見事にボッチです~なんか色々絡まれるけど、揉め事は全てバイオレンスで解決~  作者: まんじ(榊与一)
ハーレム学園編

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第53話 勘違い

「さて、これはもういらんな。勇者カモネギよ、封印を解いてくれた礼にお前にくれてやろう」


「リリス!」


魔神帝が片手で掴んでいたリリスを乱暴に放り投げた。

それをビートが慌ててキャッチする。


「よかった。無事だ」


リリスの状態を確認―単に気絶しているだけ――して、ビートの奴が安堵を吐く。


何一つ良くないんだが?


魔神帝が大幅にパワーアップした今、某野菜王子風に言うなら「もうだめだぁ。おしまいだぁ」状態だぞ。

リリス如きの安否の心配してる場合かよ。


「言っとくけど……死ぬ程やばいぞ。というか絶対負ける」


「分かってる」


絶対に勝ちめのない絶望的状況。

ビートはクルクルパーだから気づいていないのかと思い現状を告げのだが、どうやらちゃんと認識できていた様だ。


「確かにこのままじゃ、勝ちめは万に一つもない。だから……墓地君、僕が魔神帝を足止めする。君はその間にリリスを連れて逃げてくれ。そしてこの世界の人達に、奴の脅威を伝えて欲しい」


ビートが魔神帝に聞こえないよう、俺にそう小声でつぶやく


「……」


どうやらビートのアホは、俺達を逃がすために此処で死ぬつもりの様だ。

善人(ゆうしゃ)特有の自己犠牲。

大した心意気だよ。


けど――


「だが断る!」


ビート一人だけを死なせたりしねぇ!


なんて優しい事を考えている訳ではない。

もちろんビートが死んでも何も思わないって事はないが、奴自信が選んだ道でそうなるのならそれがビート自身の生き様だ。

そこに付き合ってやるほど、俺はお人好しではないからな。


――理由は別にある。


「墓地君!?」


「ビート、お前は大きな勘違いを三つ程してる」


「勘違い?」


「まず第一に――俺の生き様(じしょ)に、尻尾を巻いて逃げるなんて言葉は刻印されてねぇ」


やりたい放題して生きて来たんだから、俺はやりたい放題最後まで突っ走る。


相手が誰だろうと。

勝ち目がなかろうと。

最後までこの拳を振るうまで。


逃げだすくらいなら喜んで死を選ぶ。

それが俺の生き様だ。


「第二に――あいつは俺達を絶対逃がさない」


魔神帝(くそやろう)は、目の前の獲物を逃がす様な甘い奴には見えない。

俺の勘が逃げるだけ無駄だと言っている。


「くくく……良く分かってるじゃないか。かつての宿敵。それと、明らかに生かしておくのは危険な相手」


魔神帝が俺を見る。


「それを見逃す程、私は甘くはない。お前達は揃ってここで始末させて貰う」


「だそうだ」


「すまない、墓地君」


ビートが苦渋の表情で、俺に謝罪してきた。

責任を感じている様だが――


「何いきなり謝ってんだよ。まさか全部自分のせいだとか、そんな下らねぇ事かんがえてねぇだろうな」


「けど……僕のせいで」


「んな訳ねぇだろ」


自意識過剰も良い所だな。

ビートが邪魔したからこうなった?

違うね。

確かに、最初の妨害で逃げられたのはこいつのせいだ。


――だがそれは、一発ぶん殴ってチャラにしてある。


そして二度目は、俺自身がビートの頼みを聞くと判断した結果だ。

無視して無理やり突っ込む事だって出来た。

だがそれをしなかった以上、そうしないと選んだ俺自身の自己責任である。


「俺が自分で選んだからこうなった。それだけだ。一々悲劇の主人公ぶって謝ってくんな。うっとおしい」


「墓地君……ありがとう」


「何の礼だよ」


「君と友達になれて、本当に良かった」


「……」


ビートの言葉に、背筋におぞけが走って軽くサブいぼが立つ。

こいつは本気で言っているのだろうか?

一般的な基準で考えれば、ビートから見た俺は絶対友人でも何でもない。


頭お花畑の奴は、最後の最後までお花畑である。

こっわ。


「そう言えば、勘違いの三つめはなんだい?」


「ああ、三つめか……まあ三つめが、最重要だな」


先に上げた二つは、三つ目に比べれば些細なレベルでしかない。


最も重要なのは。


そして俺の中で絶対曲げられない物は。


それは――


「俺は他人の指図は絶対受けねぇ!」


これに尽きる。

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― 新着の感想 ―
[一言] 三つ目は、絶対に負けない とか言い出すかと思ったよ
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