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ハーレム学園に勇者として召喚されたけど、Eランク判定で見事にボッチです~なんか色々絡まれるけど、揉め事は全てバイオレンスで解決~  作者: まんじ(榊与一)
ハーレム学園編

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第28話 ピンク

本来は此方が27話だったのですが、まあ前後してもろくに問題ないと判断しましたので28話として投稿します。

「しっかし、見れば見るほど下品な木だよな」


全ての作業を終えてから、俺は改めて伝説のラブツリーに目をやった。

幹から葉先まで真っピンクとか、爽やかな木漏れ日の景観ぶち壊しである。


「ん?」


さっきまでは気づかなかったが、ラブツリーの根元から微かに不可解なエネルギーの流れを俺は感じとる。

まるでこの木によって、何かが封印されている様な感じだ。


どうやらこのピンクの木は、ただの樹木ではない様だ。


「この感じ……何かが封印されてるみたいだな」


正直だから何だという話ではあるのだが、真っピンクの木に封印されている何かというのは、俺の好奇心を激しく刺激してならない。

所謂、『私、気になります』状態である。


好奇心は猫を殺すとは言うが……


「まあ仮に化け物だったとしても、ぶちのめせばいいよな」


幸い、左手の甲に擦り付けた鼻糞はまだ残っている。

それでだめな様ならグーパンで倒せばいい。


「どれ、封印を解いてみるか」


俺はラブツリーの根元に手を付け、そこに施されていた封印を解呪の魔法を使って解除する。

すると木の中から1人の女性が姿を現した。


「……」


腰まで伸びたピンクの髪に、ピンクの瞳。

その顔は彫像の様に歪みなく整っているが、無機物の様な冷たい印象は受けない。

むしろ柔らかみのある、愛嬌を感じる顔だ。


胸はかなり大きく、その格好は水着に羽衣の様なちょっと痴女チックな姿をしている。

一見女神と見まごうビジュアルだが、その額から生えた小さな2本の角が、彼女がどちらかと言うと邪悪な存在である事を指し示していた。


「貴方が私の封印を解いてくれたのかしら?」


「ああ、そうだ」


「ありがとう。でも……貴方、私が誰だかしっているのかしら?」


ピンク女が、口元に手を当てて悪戯っぽく笑う。

その妖艶な姿に俺は思わず……


拳を握りしめグーパンしたくなるが、ぐっと堪えた。


俺、嫌いなんだよね。

自分が良い女だって雰囲気出して、立ち振る舞う奴って。

まあ殴るのは後でも出来るし、今は少しだけ我慢しておいてやろう。


「知らん」


「うふふ、お馬鹿さんねぇ。良いわ。教えてあげる」


ピンク女が体をくねらせつつ、片手で髪をかき上げる。


鼻糞砲は既にセット完了だ。

さあ、ばっちこい。


「私は魔神帝の16番目の娘。恋と性を司る魔神リリスよ」


魔神帝。

授業で聞いた名だ。

たしか2百年程前に、世界を滅ぼしかけた邪神だったかな。


この世界の人間が勇者召喚を行うきっかけは、こいつだと言われている。


「大物だった訳か……」


適当に封印を解いちまったが、とんでもない大物を好奇心で叩き起こしてしまった様だ。

てへぺろ。


「ふふ、驚いたかしら」


まあやってしまった物は仕方がない。

世界を滅ぼしかけた邪神の娘なら、相当強い筈。

そう思い、俺は目の前のピンク女――リリスの戦闘能力を確認してみた。


げっ……こいつ戦闘力が4億もありやがる。

Sランクどころか、SSランク以上の数値だ。


傍でおねんねしているフルチン四天王では、束になっても敵わない程の強者。

流石にそんな奴を鼻糞砲で昇天させるのは難しいだろう。

そう判断した俺は、セットしていたブツを指ではじいてカイーナの口に放り込んだ。


ゴミはゴミ箱に!


「さあ、平伏しなさい!貴方を私の愛の奴隷にしてあげる!!」


リリスが両手を広げたかと思うと、その全身からピンク色のオーラが噴き出す。

そのオーラを受けた瞬間、頭に少しもやがかかった様な感覚に襲われる。

恐らくだが、精神攻撃の類だろう。


カイーナ達の方を確認すると、4人とも思いっきりパオーンがパオーンしてた。

その様を見て、どういう効果か理解する。


「下品な能力つかってんじゃねぇよ」


人のあそこに落書きしたお前がいうな?


あれは罰だ。

別に好き好んでやっている訳ではない。


まあ何にせよ、これで正当防衛成立である。


自分で起こしておいて、魔神だからという理由でぶん殴るのはアレだったからな。

先に攻撃して来てくれて助かる。

これで気兼ねなくぶん殴れるという物。


「私のラブオーラに耐えるなんて、貴方やるじゃない。私、強い男って好きよ。だから貴方を私の恋人にしてあげる」


「結構だ」


俺はこういう下品な女は大っ嫌いだ。

女に全くもてないボッチ人生とはいえ、妥協してこいつと付き合う位なら生涯独身でいたほうがマシである。


「ふふふ、パワーを上げるわ!いつまで私のオーラに耐えられるかしら!」


リリスの放つオーラが更に濃いピンク色に変わった。

威力を上げた様だが、残念ながら俺はもう既に耐性を獲得済みである。

そのため、奴の攻撃は俺にとってただの不快なピンク色のオーラでしかない。


だが近くで倒れているパオーン四天王達は、強化されたオーラに激しく体を痙攣させていた。

目の前で夢精とか見せられてもかなわんので、さっさと終わらせる事にしよう。


取り敢えず、俺は周囲に円筒型の結界を張る。


「結界!?私のオーラを遮るつもりね!」


「いや、全然」


結界を張ったのはオーラを防ぐ為ではない。

ではなんの為か?

勿論、これからする俺の攻撃で発生する衝撃から周囲を守るためだ。


「――っ!?」


俺は一瞬でリリスとの間合いを詰める。

そして拳を強く握りしめ――


「じゃあな、脳みそピンク野郎」


女だから野郎はおかしいかな?

そんな事を考えながら、俺は天に向かって拳を突き上げた。


ただのアッパーカットだ。

但し、戦闘力10億越えの俺の全力の拳は天すらも引き裂く。


「きゃあああああああ!!!」


アッパーの衝撃波に、リリスの体が一瞬で塵と化す。

それは空に漂っていた雲を全て吹き飛ばし、天へと伸びる一筋の閃光を生み出した。

もし結界を張っていなかったら、きっとこの周囲一帯は崩壊していた事だろう。


「なんだ、普通の木じゃん」


気づくと、ラブツリーの色は普通の色に戻っていた。

どうやらあのピンク色はリリスの影響だった様だ。


「さて……変なもん復活させた証拠隠滅もしたし、さっさと帰るか」


リリスは昇天し、世界に平和が訪れた。


めでたしめでたし。


とか思っていたのだが――


「ちょっと!粉々にするなんて酷いじゃない!」


屋敷に戻って部屋でスマホを弄っていると、何故か粉々にしたはずのリリスが俺の目の前に姿を現した。


……あれ喰らって生きてるとか、ゴキブリ並みのしぶとさだな。


「何で生きてんだ?」


「ふふ、愛は不滅だからよ」


思わず尋ねてしまったが、真面な答えは帰って来ない。

まあいいさ。

今度は確実に仕留めるだけだ。


「あっそ。じゃあな――」


俺はリリスの周りに素早く結界を張る。

そしてその中に、ありったけの魔力を込めた破壊魔法を叩き込んでやった。


今度は逃げ場のない密室空間だ。

流石にこれなら死ぬだろ。


「ちょっ!まっ――」


結界内を破壊のエネルギーが蹂躙する。

リリスの体が吹き飛び、今度こそ跡形もなく消滅する。


「成仏しろよ」


めでたし、めでた――


「だから粉々にするのは止めてよね!」


――くない。


まるで時間を巻き戻すかの様に、結界内でリリスの体が高速で再生していく。

肉や骨が集まって、人の形に戻っていくシーンのグロイ事グロイ事。


まあそれはこの際どうでもいい。

どうやら俺は、とんでもない化け物を蘇らせてしまった様だ。


「めんどくせぇな……」


仕方ないので、結界を維持したまま俺は部屋のクローゼット――かなり馬鹿デカイ――に結界ごとリリスを放り込んだ。


「ちょっと!何すんのよ!出しなさいよ!!」


「そこがお前の終の棲家だ」


臭い物には蓋をするに限る。

俺はリリスなど初めっからいなかった物とし、ベッドに寝転がってスマホを弄るのだった。


めでたし。

めでたし。

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― 新着の感想 ―
[一言] もう一回ラブツリーに封印できない? ダメ? ああでもそれだと封印を知っている奴が解きに来たら面倒か。 クローゼットじゃなく何か面白そうなところに封印できんかなと思ったけど 結局、隠し場所と…
[良い点] 憐れラブツリー
[良い点] ようやくお似合いのヒロインが出て来たやん
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