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ここどこ?

ここは……。


暗い部屋。


見たことない……いや、ある。


どこか記憶の片隅にある場所。


なんだ? 悪酔いでもしただろうか。


たしか、昨日は友人と遅くまでリモートで飲み明かしていた。


その後……だめだ。記憶にない。


薄暗い部屋にはいくつかロウソクの光が灯されている。


真っ黒で生きているかのようにテラテラした気味の悪い壁がその光を反射している。



「なんだこ……こ!?」



声がおかしい!


なんだ? 酒やけでここまで声が低くなるものだろうか。


驚いてとっさにノドを抑えた。



「痛っ!」



何かがアゴに刺さった。


軽く血が出ている。


腕輪……トゲのいっぱい付いた腕輪。


これが刺さったのだろう。格ゲーでキャラクターの付けてそうな腕輪だ。


これもどことなく見覚えがある。


鋭くとがった黒く光る爪。青白い肌。真っ黒な服。


鏡!


立ち上がって初めて自分が座っていることに気づいた。


金と黒で彩られた悪趣味一直線な台座に座っていたのか。


これはもう間違いない。


塔育成型シミュレーションゲームで作った俺だ、これ。


内装までそれっぽくこだわった一室。ただの厨二病丸出しじゃないか。これは恥ずかしい。


落ち着け、いや、こんな状態で落ち着けるわけ無いだろうが!


バババッと体を触るが違和感しかない。


どうする。もう鏡を見なくてもわかる。バンパイアみたいな牙が口から出ている。こりゃもう笑うしかない。


ということは、だ。顔のクリエイトも覚えてる。瞳も赤色にしたし、何なら髪は長髪で白色だ。



「うわぁ……これは……うわぁ……」



なんだこの無性に恥ずかしい気持ちは。


一応かっこいいと思ってクリエイトした。したにはしたんだが、いざ自分になるとこの気恥ずかしさはなんだ!


なにをすればいい。どうする。外に出てみるか? いやまて、まだ何があるかわからない。できることを先に確認しておこう。



――――――――

――――――

――――



まず、ステータスが確認できた。



名前 カイン

レベル 120

塔P 0/+120毎日



これだけのステータス画面だ。ゲームと一緒。


なにせクリエイトゲームなのだ。自分が先陣を切って戦うゲームじゃなかった。力や防御などなかった。


この塔Pを使って塔にアイテムを増やしたり階層を増やしたり魔物を配置したりするのだ。


塔Pは1日経過することで一定数回復する。それ以外で増やす方法はない。


多分ここでも一緒だろう。いや、わからんか。勝手に決めつけるのはよくないな。


そして、アイテム。



スライムの卵 ✕ 99

人食い草の卵 ✕ 99

カラクリ樽の卵 ✕ 99

魔物のエサ ✕ 99

魔物の良いエサ ✕ 99



魔物関連のアイテムがバーっとある。卵は階層へ置けば魔物が生まれるし、エサは経験値で食わせれば魔物のレベルが上がる。


……それだけ。


他に俺ができる事はなにもない。


これは……どうしようか。何をすればいいのかわからない。


ゲームではこの部屋は寝る、つまり1日を経過させるための部屋だった。ベッドで寝させてやれよ頼むから、過去の俺!! 台座で座って寝てる設定はキツイって!


塔Pを使うのは別の部屋、マスタールームになる。


……行くしかないか。


何が起きたかもわからず、危険なのか安全なのかもわからない場所を歩くことになってため息がでる。


無意味に重厚で身長の2倍はある巨大な扉を開いた。

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