8 心配
ザイアスside
今日は朝まで起きていることになっている。まあ、きっと飲みながら起きていることになるだろう。ノアはお酒が大好きで、驚くくらい強い。酔っているところをほとんど見たことがない。
案の定、朝まで飲んでいた。マリッサもお酒に強くてノアと一緒にずっと飲んでいた。
朝が来て眠ることになった。
先程、マリッサとノアに用意をしてもらったからか、アメリアが片付けを名乗り出た。開けたワインの数やグラスも多いので、俺も手伝うことにした。
ノアがにやにや見てるのが癪だが仕方がない。
グラスやボトルを運び、アメリアがグラスを洗うのを手伝う。アメリアは元々あまり口数が多い方ではないが、あまりお酒を飲んだことがないのに二日連続で飲んだことに対して、心配になって声をかけてみる。
「大丈夫か」
アメリアは良くわからないの様子でこちらを向いた。
「すこし眠いだけだよ」
お酒の影響はないみたいでよかった。
「ならよかった」
アメリアは不思議そうにこちらを見てきているが、少し恥ずかしいので口には出さない。
グラスを洗い終わり、部屋へと上がろうとしたところ、アメリアの足取りはふらふらとしていた。眠さか酔いかわからないが、放っておくと転びそうで怖い。
アメリアを抱えて部屋に運ぶことにした。所謂お姫様抱っこというやつか。自分で抱えといてなんだが恥ずかしい。でも、アメリアが転んで怪我するよりはマシだ。
アメリアもじたばたしているが、落ちるぞと伝えたら大人しくなった。
アメリアに怪我をされると困ると考えていたが声に出てしまっていた。どうやら聞こえてないようで安堵する。
部屋の前で丁寧に降ろしたところ、お礼をいってくれた。自分の都合で勝手にやったことにお礼を言われると少し罪悪感を覚えた。
部屋に戻ると、ノアは案の定にやにやとしていた。
「アメリア、運んであげたんだ」
どうやら見ていたらしい。聞こえていたのか?
ノアは耳も良いはずだ。
「怪我されたら困るからな」
「ザイアス、罪悪感で死んじゃうもんねー」
怪我をされたくらいだったら死にはしない。心配と申し訳無さでいっぱいにはなると思うが。とくに言い返す気もわかなかった。俺も少し疲れているようだ。
明日は何が起きるかわからないので、万全の体調にしたい。特にノアに言い返さず、ベッドに入り眠った。