3 お酒事情
マリッサside
ペイシルの酒場でアメリア、ザイアス、ノアと食事をとっている。バーのような感じでカウンターの奥側にはお酒が並んでいる。
「お酒飲んだことないけど、飲んでみたい」
飲み物を聞かれたアメリアが答えた。そういえば飲んでいるところを見たことがない。
私は地元に帰ったときの夕飯時に飲んだりしていたが、確かに学園在学中はご飯を食べに行くということはしていたが、飲むことをメインで出掛けたことはない。
性格と体質は関係ないと知りつつもアメリアがお酒に強いイメージはないので、あまり得意ではないものだと思っていたが、そもそも飲んだことがないということは知らなかった。
思い返すとアメリアはお酒を飲める年齢になっても甘いものとフルーツばかり食べていた。今も変わらないかもしれない。
アンネさんもハンナさんも、初めてだったらあまり度数の高くないお酒かつ飲みやすいものを勧めてくれていた。
アメリアの様子を見てみると顔色も言動も変わっておらず、極端にお酒に弱いわけではなさそうだ。それならば、いつか今度一緒にのみにいきたいし、もし地元の近くまで行くことになれば、おすすめしたいお酒もたくさんある。
アメリアとは対照的にザイアスとノアは学園時代から、尋常ではないくらいに飲んでいた。まるで、ソフトドリンクのように。
二人は実家が裕福なのか、もしくは学園で人気があったためプレゼントをもらっていたのか、良質なものを飲んでいるイメージだった。
ノアが吸血鬼のなかでは有名なご令嬢から、一年間の学費が払えてしまえそうなワインを頂いたってひどく困惑していたことがあった。
学園を卒業してから半年ほどしかたっていないのに、懐かしく思いながら、宿で食事を続けた。