2 旅立ちの朝
ザイアスside
「ノア、そろそろ時間だから起きろ」
出発の日、マリッサやアメリアと朝早く宿屋のロビーで待ち合わせをしていた。しかし、待ち合わせの10分前なのにノアは寝ている。
「あと一時間寝かせてー」
拳に力が入ったが、ここは堪えることにした。
自分自身もあまり朝や日の光は得意ではないため、寝ていたい気持ちもよくわかる。
しかしマリッサやアメリアが待っている。それに鉄道の時間もあるので、これ以上悠長にしていられない。
「ノア、起きろ」
ここは心を鬼にして、ノアが抱き締めていた毛布を剥ぎ取った。
「毛布が飛んでった!あれ、ザイアス?」
もちろん毛布は飛んでってはいない。寝ぼけているようだ。
「もう待ち合わせの三分前だ」
俺が嘘をついているのではないかといいたげな表情をしながら時計を見て、嘘ではないことを確認した。
「急いでいくから先いってて」
ノアがいつもの余裕というかのんびりした様子がない。眠い目を擦りながら体を起こそうとしている。ノアは人に迷惑をかけてまで眠り続ける気はないが、眠さには抗えないようだ。
「先に行ってる」
「ごめん、すぐ行くー」
マリッサとアメリアはきっと既に待っているため、先に向かった。着替えてある程度準備したらすぐ出てくるだろう。荷物は昨日のうちに用意が済んでいる。
旅をすると決まったときに、マリッサやアメリアと行動時間を合わせると二人で決めたがやはりまだ慣れないようだ。
今日は起きれたものの俺も正直まだ眠い。
いつか慣れるほど旅を重ねるのか、また旅の目的を果たして終わりが来るのかと少し不安があるが今は進むしかない。