1 買い出し
ザイアス side
「今日の買い出しはザイアスとアメリアだねー」
じゃんけんに勝ったノアが嬉しそうな笑顔を浮かべながら、買い物メモを渡してきた。
メモを確認すると、おおきめの鞄×4、食料、歩きやすいスニーカー×4、水等だった。律儀にスニーカーのサイズまで書いてある。
出発の前日の影響か重いものが多くて少しげんなりしていた。この量だったらノアと俺で行ったほうがいいのではないかと思いながら。
「日がくれないうちに行くか」
重い荷物ばかりで気が進まないが、夜になると危ないため日が高いうちに済ませることにした。
「図書館に寄りたいって言ってたな」
鞄が売っているような店に向かって歩きながら、アメリアが昨日、図書館にいきたいと言っていたことを思いだし聞いてみた。
「うん、少しでもこれから行く場所のことを知りたくて」
真面目だなあと思いつつ、俺たちは図書館へと向かった。
二時間ほど経っただろうか。そろそろ買い出しに向かわないと夜になってしまうため、アメリアに声をかけた。
「小麦粉を育ててたってことしかわからなかった」
という答えがすこし残念そうな表情をと共に返ってきた。買い出しができなくなってしまうと伝えると、素直に本から手を離してくれた。
「まあ、実際に見にいった方が早いだろ」
慰めにはならないだろう言葉しか出てこないが、アメリアは気を取り直したかのように笑ってくれた。
明日からの旅がどういうものになるかは、元凶の俺にもわからない。大きな不安と少しだけ楽しみな気持ちが入り交じった複雑な感情を抱きながら、買い出しへと向かった。