教え子(3)
ダンジョンに入るともうそこに2人の姿はなかった。
「こんなに進めるもんですか?」
「俺の『修練者』で強くなってたかもな。しかも『封印』で受ける攻撃を軽減させてたから」
「余計なことをしましたね…」
「あいつらのためにやったことだそ…」
「取りあえず急ぎましょう」
「思ってたより簡単だね。これなら私達だけでもクリア出来そうじゃない?」
「でも…もう戻ろうよ…危ないよ」
「大丈夫だって!今だってほぼ無傷じゃん」
「でも…」
「もう最後の部屋みたいだし。行こう!」
このダンジョンは下級のもので5階層しかなかった。おまけに魔物も弱く、この二人にも最終部屋まで行けてしまったのだ。
「ほら!ボスの魔物も弱そうな猿だよ。さっさと倒そう!」
花梨の剣は猿にあたり、体力を四分の一も削った。猿は花梨達から距離をとると仲間を呼び始めた。すると影から大量の猿が現れたのだ。四方を囲まれ窮地に立たされたとき、恵里奈を攻撃しようとした猿がいきなり消滅した。
「まったく…だから離れるなって言ったんだ」
昭が、餓者髑髏で猿を消したのだ。
「朱梨は二人を護ってくれ。ここは俺が」
「わかりました」
昭の身体は前より鬼神に近づいていたため、スキルが強化されていた。黒炎が使えるようになっていて、普通の炎より威力が高いようだった。それで周りの猿を一掃する。
「さて、このダンジョンから出るぞ」
外に出て、まず2人を回復させながら説教をした。2人とも反省してるようだったため、すぐに止め「今日の訓練は終わりだ」と告げた。
「消えたはずの左腕があると思ったら、そういう仕組みだったんですね」
「仕方ないだろ。無いと不便なんだから」
「まあ、今日は何事もなくてよかったですね」
「本当にな。反省してたし、もう勝手な行動は止めるだろう」
「そうだといいですね。今日はお疲れ様でした。また明日」
その後。一日中訓練のつもりだったため、暇になった時間で周辺のダンジョンを1人で攻略しまくったのだった。




