初めての複数人ダンジョン攻略(1)
「いいけど…頼み事ってなんだ?」
「あるダンジョンに連れてって欲しいんです。」
その女性は、結といい、年齢は俺と同じ。「調理師」のスキル持っているらしいが、「調理師」の能力の一つ、魔力から食材を造るということが何故か使えないらしい。だからダンジョンで手に入れられる「食料袋」が欲しいそうだ。
「3日前ぐらいに来た聖騎士さんに頼んだんですけど…途中で死にそうになって逃げてきたんです。その時は、フラッグが落ちるダンジョンだったんですけどね」
「なんでダンジョンで何が落ちるかわかるんだ?」
「私、「調理師」以外に「鑑定師」も持ってて、鑑定するとそういうのわかるんです。」
(じゃあ、全知全能でもわかるのかも)
「よし!じゃあ今すぐ行こう!!夜になって集落が危なそうだったら恵から連絡が来るし、そうしたらテレポートで帰ればいいし」
「よろしくお願いします!」
俺が魔物を倒しながら結を護ることになったが、少し不安だった。そのため、炎の魔法を教えておくことにした。そこでも「修練者」が発動し、炎の形を変える事まで出来ていた。「修練者」が他人にも影響を与えることが出来ることを初めて知ったところでダンジョンへ向かった。
ダンジョンへ行くのも、ダンジョンの最終部屋前まで潜るのも何事もなくすんなり出来た。だがそこで夜になり、結も疲れているみたいだった。
「ここで泊まるか?」
「出来ればそうして、頂けるとありがたいです」
平行世界の中に念のため持ってきたテントを結に貸し、俺は外で魔物が来ないか見張る事にした。結がテントの中から話しかけてきた。
「私はスキルがうまく使えず、何も出来ない役立たずだと思ってました。ですが魔法を使えるようになって、私は何も出来ない訳じゃないって思えるようになりました。全部昭さんのおかげです。ありがとうございます」
「全部結が頑張ったから出来たんだろ。俺は、その手伝いをしただけだ。あとその敬語やめてくれ。俺達同い年だろ?」
「じゃあ、これからもよろしくね!昭!」
そう言い、寝たようだ。この容姿になってから睡眠も食事もそこまでとらなくても生きていけるようになっていた。その理由も謎のままだが、夜の見張りなどに便利なのでよしとしよう。
 




