表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CROSS…  作者: ィィポン
8/18

『子豚家…』

俺がこの時代に来てもう2ヶ月経つのか…

この時代でも雪はふるんだなぁ…俺の生まれた時代に心配されていた温暖化も500年後の1月に雪が降れば全然問題ないだろう…と久しぶりに昔を振り返っていた。


俺の名前は高貴・山岡。都内1賢いエルピネス学院に通う1年だ。それも学校始まって以来の天才児として一目置かれている。なんたって入試で満点だったんだから。

俺と同じ時期に入学した、新輔・子豚と美咲・紺野の二人とは今や親友だ。


美咲さんの事は初めて会った時からタイプで、…簡単に言うと一目惚れと言うやつだ。当然、現在進行形だ。


子豚とは俺は絶対に合わないタイプだと、初めて会った時に思わされた次第だ。…まず、名前通り『子豚』だ。肉付きの良い体。荒い鼻息。…一目で拒絶反応を起こした。


それが…俺でも驚いているんだけど、受験合格祝いの時に色々あってな…



受験日の日…俺と美咲さんは帰りに子豚の家でお祝いをしていた。


子豚は思った通りの金持ちで、家にプールまで着いていやがった。

俺の兄貴的存在の隆二さんは警察官。馬鹿騒ぎと言っても流石に(ワキマ)えていた。


『((失礼しますッ。))』と俺と美咲さんは玄関までお出迎えなさった子豚のお母上に挨拶した。


『あらまぁ。いらっしゃい。新輔がお友達をお連れするなんて何年振りかしら♪オホホホホホ。』とまぁ台本の様なセリフを吐き。お母上の関心はすぐさま子豚の受験結果へと向けられた。


『ただいま!!受験…合格したよ!!!』と院長から貰ったバッチを見せ、これまた恐ろしいほどお母上も感動していらっしゃった。

感動するどころか苛々が募る一方の生ホームドラマは30分続き、その間くそ寒い中俺と美咲さんは玄関にタダタダ立ち尽くしていた。


『母さん、友達も待ってる事だしソロソロ…』と俺達に気を利かせたのか子豚は親元を離れ、ようやく俺達に話しかけてきた。『それじゃぁ行こうか』…おっせぇよ!!!


『じゃぁお母さんは今日出かけるからお留守番宜しくね。お父さんも帰りが遅いみたいだし。ご飯は自由に食べて良いわよ。』と子豚と離れるや否やお母上はお出かけなすった。

『はーい。』



『とりあえず僕の部屋においでよ♪』と断る理由もなく、俺と美咲さんは子豚の部屋へと案内された。


待て…俺の心中でなにやら嫌な予感が漂いだした。…まッまさか…もしかすると…いや、きっとそうだ…そうに違いない…俺はこっそりと美咲さんに耳打ちした。


【NOOOOOOOOOOOOOOO!!!】…俺の悪い予感は見事に的中してしまった。…なんと、美咲さんにとって初めての異性の部屋入室が子豚の部屋なのだ…(ヨワイ)16にして異性との忘れたい接点を持ってしまったのである。


可哀相に…あぁ。可哀相に。心なしか少々美咲さんの顔が俺には雲って見えた。…それは君の目が潤んでいるからだよ…


汚らわしい糞豚め…ッペッペッペっと子豚の部屋中に唾を撒き散らした。



『ちょ!!!ちょっと!!高貴さん!!何するんですか!!!僕の部屋で唾を吐かないでくださいよ!!!汚れるじゃないですか!!!』と必死に止める子豚に怒りと悲しみで満ちた目を向けた。

そんな事はお構いなしで俺を自慢のベッドへと吹き飛ばし、壁のボタンを押し、床を清掃した。


子豚は床の清掃がすむと何やらへんてこな機械を取り出し、『これ…やりませんか??』と俺と美咲さんに訊いた。

やりませんか??と訊かれても俺は何のことやら分からない…というのが正直な意見だった。


『それ…って…ERSSGですよね…??私、初めて見ました。』と美咲さんは目を丸くし驚きながら言った。

『これ、この前の誕生日に買ってもらったんだ…へへへっ』子豚は頭を掻きながら若干照れくさそうに、はたまた自慢しているかのように言ってのけた。


俺も初めて見たと言う事で子豚にERSSGと言う機械の説明をしてもらった。


ERSSGと言うのは【Enjoy Rial System Service Game】の略らしい。俺の時代にあったPS3がかなり進化したゲーム機みたいなもんだ。一言で言うとゲーム機だ。

どうやらカセットは無料ダウンロードでプレイ可能らしく、その分このゲーム機本体の値段が恐ろしく高い。まさに金を持て余し、なおかつ時間も持て余す、暇な金持ちゲーだ。

ゲームの種類には色々な物があり、RPG、格闘系、テーブルゲーム…etc…とジャンルは俺の時代とさほど変わりはなかった。

しかし、全てのゲームにおいて言える事は、主人公は自分だという事だ。


このゲーム機は特殊な作り方をされているらしい。

この時代から100年ほど前にタイムマシン(時空間移動装置)の開発を行っていた。何年もの歳月と莫大なお金を費やしたがタイムマシンが完成する事はなかったらしい。

しかし、その機械を利用し自分達で作成した空間への移動は可能となったらしい。要は時空間移動は不可だが決められた場所へのテレポートくらいは可能と言う事だ。

そこで某企業がその未完成タイムマシン(失敗作)を買収し、改良。ERSSGの作成に成功した。

ゲームソフトごとに用意された空間に主人公(プレイヤー)が転送され、そこでゲームを本格的に楽しむ事ができるというわけだ。

転送といっても瞬間的にプレイヤーが消え、別の場所に出現すると言うわけではない、このゲームのコントローラーの様なものを腕につけるとプレイヤーは睡眠状態になり、強制的に夢を見せられる。


皆さんも夢はご存知であろう。希望・願望としての夢ではなく、眠ると見る夢だ。

夢は人によってさまざまであり、同一の人でも知覚する現象が千差万別であるが、誰にでも言える共通点がある。

睡眠者(自分)の存在だ。稀に自分の存在しない夢をみる時もあるかもしれないが、殆どの確立で、どんな状況の夢であろうと睡眠者(自分)はその夢に登場する。

睡眠状態に入りプレイヤーが夢を見ると、夢を見る事で作成された自分(プレイヤー)が、ソフトによって用意された空間に転送されるというしくみらしい。麻雀のゲームなら麻雀卓にすわって居る、みたいにな…


俺は思わず『へぇ…すげぇ』と本気で感心した。美咲さんも可愛らしい口をポカンとあけ驚いている様子だった。

『まぁまぁ、説明はコレくらいにして遊ぼうよ。』と俺と美咲さんにもブレスレットの様な…手錠の様なコントローラーを渡してきた。

仕方なく…と言うのは嘘で、俺はかなり心躍らせ子豚以上に【早くッ!!早くッ!!早くッ!!】と心の中で叫んでいた。そんな恥ずかしい俺を悟られぬ様、冷静にコントローラーを着けた。


『どれ遊ぶ!!?!?』と豚が訊くと、俺は一目散にRPGの欄に目をやり、食い入るように画面に張り付いた。


これだ!!!…夢にまで見たリアルRPGができる…俺が子豚にこのゲームが良いと言おうとした時、『これにしませんか!?!?』と言う美咲さんの声が響き渡った。


『えぇ…メルティですか…??』メルティと言うのはトランプみたいな物だ。

『ダメですか…!?』


【ト…トランプ!?!?!…はぁ!??!?美咲さん…正気っすか!?!?トランプなんかわざわざゲームでやらなくとも、今ココで出来るではありませんか…そんなのダメっすよ!!絶対ダメっす!!】と心の中では叫ぶものの声に出す事は出来ず、子豚が断るのを祈った。


『いえ、良いですよ。ではメルティをしますか。』と子豚は嬉しそうに美咲さんに応答した。


何故か俺は子豚に【Fuck off !!】と呟き、睨めつけた。

『高貴君もメルティでいいですか??』と子豚の問いに『あぁ…』と答え深いため息を吐いて腕輪をつけた。


『それじゃぁ始めるね!!』と子豚は言い、ゲームを選択し開始を押下した。


全身の力が抜け、ふわぁっと宙に浮くような感じになり、3人は眠りに付いた。


意識が戻ると、3人は青色の丸いテーブル囲んで座っていた。このゲームには俺達以外にも沢山の人が参加しており、周りのテーブルでは色々な人がトランプ(メルティ)をしていた。


『ようこそ、メルティシティへ。ゲームの説明はいかがなさいますか??』といきなり訊ねてきたのはメルティのNPC(ノンプレイヤーキャラクター)だった。

このNPCも実はこの世のどこかに住む人かも知れない。仕事として、ゲーム紹介やディーラーをしていてもおかしくはないなと俺は思った。


『説明はいいです。』と子豚が答え、俺達はゲームを開始した。ポーカー、ブラックジャック、大富豪、…etc…どのゲームも俺の時代にも存在したゲームばかりだった。


どうでも良い事だが、俺はどのゲームでもボロ勝ちした。


トランプ(メルティ)をやりだしてそれから1時間近くが経過し、『そろそろやめてご飯にしますか??』と子豚が俺達に訊き、コレにてゲームは終了した。


俺達の担当のディーラーにやめると告げると、現実世界で目覚め、ゲームが終了した。


『んーぁぁぁぁぁ!!!』と座りながら眠っていたせいか肩や首が痛く俺は大きく伸びた。

『どうでした!?楽しめました。!??』と言う子豚に俺も美咲さんもYESと答え、子豚は嬉しそうに笑った。



ご飯中…俺達はかなり盛り上がった。それもアルコールのおかげだろう。

未成年の飲酒はこの時代でもいけない事だったが今日はお祝いと言う事で子豚の両親に内緒で飲み祝った。


アルコールが回ってくると暴露話、恋愛話、コレはどの時代でも一緒だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ