『結果発表』
リフレッシュルームには俺達意外にもこの学校の生徒が何人かいた。
気分的に俺達はリフレッシュルームの隅の方に3人固まって座ることにした。
ここで、ひときわ注目を集めた人物がいた。勿論、美咲さんだ。…え!?…違うって!?
周りの視線のその又先を良く見てみると注目を浴びているのは子豚のほうだった…『why!!?』…
彼が注目を浴びるのも無理はなかった。
俺や美咲さんはもう子豚の汗っぷりを約2時間くらいにおいてずっと見てきたからもう慣れてしまっていただけであって、一般の方々からしてみれば冬にこの汗は異常なのだ。
おまけに、この体系…この鼻息…
『what that???』と彼女達の心の声が俺には痛いほど聞こえていた。
そんな視線をモノともせず、彼は話しかけてきた。『筆記試験のほう…どうでしたか??…僕は思ったより出来たのですが、合格しているかどうかは分かりません。』…そうかい。そうかい。
『えっと。私も意外と出来たんですけど…正直自信ありませんね…』と美咲さんが言ったので俺も便乗した。『俺もっすね…』。
『それにしてもこんな時期に3人も受験者が居るなんて、珍しいですよね。てっきり今日受験するのは僕だけだと思っていましたよ。』…ヘヘヘっと頭をポリポリと書きながら子豚は言った。その際髪の毛の先に溜まった汗が俺の方へと飛んできた。
避けるすべも無く、正面から受け止めてやった。…勘弁してくれよ…
『そうですよね…。私も一人とばかり思っていたものですから…一緒に受ける人が居て…安心したと言うか…落ち着けたと言うか…ありがとうございます。』と美咲さんはお礼を言ってきた。
『いえいえ。そんな俺もたまたま一緒になっただけで…』
『いえいえ。そんな僕もたまたま一緒になっただけで…』
子豚と俺…お互いがお互いの顔を見つめた。綺麗に同時だったんだなコレが…かなり恥ずかしかったが、おかげで美咲さんの初めての笑顔を見れたから良しとしよう。『アハハハ。見事ですねッ』
『そうだ!!もし…まぁありえないと思うんですけど…』と子豚は俺の方をチラッと見た。…『ヘッ??』
『もし、ココに居る皆(三人とも)今回の受験に合格したら、どこかでお祝いでもしませんか?!?』…ほう。さっき俺を見たのは一番受かりそうに無いのは俺と思ったわけだ…。満更不正解でもなさそうだが…
無い無い無い。お前一人でパパやママと一緒に祝えは良いだろう。メンドクサイ事に俺や美咲さんを巻き込もうとするな。もし、ココに居る三人が合格しても、お前との付き合いは今日を持って終了だ…
『それッ良いですね!!私は賛成です♪合格している自信はありませんが…高貴さんはどぉです??』…こ…高貴さん!!?!?
『是非ッ』俺は美咲さんに最高の笑みを向けた。…あッ…
『それでは決まりですね。自分の合格は勿論、お二人の合格も心から祈ります。』と、子豚は心底嬉しそうに言った。
そろそろ、ココに来て30分が経とうとしていた。さっきまでいたこの学校の生徒も授業なのかいつしか誰も居なくなっていた。
子豚と美咲さんはなにやら結構打ち解け、俺達の時代で言う映画や音楽の話をしていた。
俺はと言うと…実は俺も音楽や映画は大好きだ。しかしこの時代の事は何一つと言って良いほど俺は無知だった。そんな俺が二人の会話に参加できるはずも無く…『そぉおもいません!?』などと聞かれた時に『ですよね。』と答えるだけだった。
そんな居心地の悪い空間から俺を救ってくれたのは、試験官の先生だった。『お待たせしました。結果がでましたのでこちらへ…』との事だ。
どうせダメだろう…と思いながらも、内心ドキドキと胸の高鳴りが感じられた。それは俺だけに限らず美咲さんや子豚も同じだった。
いったい何処に向かって歩いているのか、そんな事は二の次でやたらと早歩きな先生の後ろを見失うまいと必死についていった。っと思ったらいきなり止まった。
『それでは合格は3名同時に発表しますので…』
ウィーンと言う音を出しながら開いたドアの先には恐らくこの学院の長と思われる人がコレマタ偉そうな椅子に座って俺達を見ていた。
顔つきはどうも日本人ッポク無かった。置いてはいるが勇ましいと言うか凛々しいと言うか…威圧感があった。
皆さんは三国志の劉備に仕えた武将、関羽こと、関羽雲長をご存知だろうか…知らないのなら是非御閲覧頂きたい。
彼は正に、関羽だった。関羽の髭の色を真っ白に変えたような感じの風貌だ。
『失礼します。受験生をお連れしました。』…『うむ。』…こいつは何処の王様だよ…偉そうに…
俺達も『お入りください。』と言われ、緊張の色を隠せず真っ青な顔色のまま部屋に入った。
『この度は我がエルピネス学院への受験ありがとうございます。私はエルピネス学院長の銀二・ランフォードと言います。どうぞお見知り置きを…』どうやら院長はハーフらしい。この院長のモットーは【教師には厳しく生徒には愛情を…】だそうだ。
子豚と美咲さんが会釈したので、俺も遅れながら軽く頭を下げた。
『それでは待ちくたびれたじゃろうし、早速合格発表をするとしよう。我先にと聞きたい人はおるかのぉ???』…と院長の言葉に子豚が挙手をした。
『お願いします!!』力の入った言葉だった。子豚はもう覚悟を決めた様にさっきまでとは打って変わってキリッとした目つきだった。
『新輔・子豚君じゃな。479点。んー………………………合格じゃ。おめでとう。』…どうやら子豚は合格らしい。まっ、俺からもおめでとうと言っておこう。
『え…本当ですか!?!?…やった!!!やった!!!』っと子豚はクリスマスの次の日の朝にサンタさんからのプレゼントを発見した子供の様にはしゃいだ。
よほど嬉しかったのだろう…涙、鼻水をお構いなしで流し、そして最後にはドサクサに紛れて美咲さんに抱きつきやがったのだ。…阿呆。
俺の逆鱗に触れてしまった子豚に渾身の一撃を脳天に御見舞いした。『美咲さんから離れろ!!!』では無く、『先生や院長の前で騒ぐな。』といかにも正等な意見を言った。
倒れてもまだ、『やったやった。』と言っているんだ、本当に嬉しかったのだろう。
『フォフォフォ。流石、高貴・山岡君だ。しっかりしておるのぉ。』と豪快に笑い院長は言った。
『とんでもございません…』…って…え???…この人俺の事知ってる!?!?…まッまさか…俺が500年前からタイムスリップしてこの時代に来た事を…???
『いやいや、筆記試験を満点で通過した生徒は今だかつて一人もおらんよ。600点。文句なしの合格じゃ。』…君のような生徒がうちに来てくれて嬉しいとまで言ってくれた。
『はぃ!?…いや…それは…問題にミスがあったみたいで…俺のだけ簡単になっていたらしいので…』…あぅ。せっかく合格したのに…何を言っているだ俺は…
驚いた院長は隣にいた試験官の教師に訊いた。
『いえ、そんな事はありません。私は3人が問題を解いている所をこの目でずっと見ておりました。問題のミスなどはありません。』…っと焦って自分を弁護した。
『テスト問題をココへ。』と低い声で言い、『少々お待ちを…』と試験官は急いでとりに言った。
ものの数分で試験官が息を切らせて戻ってきた。持って来たのは俺達が使ったボタンだった。院長はボタンを押すなり俺を呼び、『高貴君がやったのはこの問題かね???』と訊いてきた。
全てを見たわけではないのでなんともいえなかったが見た場所は全く一緒の問題だったので『はい。』と答えた。
院長の険しかった表情が一気に緩み、『すまん。君には簡単すぎたようじゃね。』と笑って言った。
俺には何のことやらさっぱりだった。あの問題の何処が難しいのだ…
一つ頭に浮かんだのは…500年もの年月を経て人間の学力がおぞましく低下した…あながち間違いではないかもしれない。
コンピューター技術が一般化され、全ての事を機械がやってくれる時代になっているのだから…
俺がいた、500年前の時代ですら、最近の子供の学力の低下を心配していたくらいだ。
まさか…500後はあんな足し算が難しいと思うほどに低下しているとは思いもしなかった。少なからず俺は恐怖を感じた…このままでは人間よりロボットの時代が来るのでは…と。
俺が我に返ったことには、美咲さんの合格発表は終わっていた。結果は合格だった。
美咲さんは自分が合格した事より、俺が満点で合格した事の方がよほど驚いたらしい。何はともあれ、3人ともそろって合格できたわけだ。
『それにしても…高貴さん…満点だなんて本当にすごいですね…』若干悔しそうに発言したのは子豚だった。
『どうも…』と俺は答えたが、あんな問題満点とったところで何の自慢にもならない…と心から喜ぶ事は出来そうに無かった。
『今度…私にも勉強教えてもらえます???…私ギリギリだったみたいなので…』
『喜んでッ!!!手取り足取りお教え致しましょう!!』…即答した。…心の底から喜ぶ事が出来た…この時代…ん〜♪Delicious!!
『あ!!…じゃぁ僕にも教えてくださいよ。』
『断るッ!!。ッ近寄るな!!!』…即答した。
美咲さんが『クスッ』っと笑い、俺も『ハハハ』と声に出して笑った。同年代の連中と話、笑うのは久しぶりに感じ、嬉しい気分になった。
『ちぇ…』と子豚は残念そうに頭を下げた。…近寄るなは余計だったかな…と俺も少し反省した。
俺達は皆の合格を祝い、馬鹿騒ぎするべく、体全身で夕日のスポットライトを浴びながら子豚の家へと向かった。
お暇な時間であろうと、大切な時間であろうと、私の小説のために時間を割いて読んで頂き本当に嬉しく思います。
私用により11月21日〜11月25日までの5日間、今後の小説のネタを仕入れに海を渡り旅にでます。(大嘘)…
ですからその5日間は小説を書くことが出来ず更新も出来ません。この場をお借りし深くお詫び申し上げます。
皆様からのご意見、ご感想、ご指摘を辛口でも構いませんので是非お聞かせください。
感想は皆から見えるから嫌だと言う方は、私宛へのメッセージでも構いません。
皆様が画面越しに泣き、笑い、そして感動できる様な、小説を書いていきたいと思います。
今後とも宜しくお願い致します。