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CROSS…  作者: ィィポン
17/18

『翌日…』

結局俺は羽樹の木で眠ってしまっていたらしい。…真冬に外で寝たのに寒くないのだから時代の変化は素晴らしい。


俺は学校に着くなり職員室へと向かった。…職員室に入るのは受験日以来の2回目だ。クラスの当番になれば入る用事もあるのだが、もう2ヶ月以上経っているのに俺はまだ当番になっていない。

…受験日を振り返り俺はあの美しい先生と会えるのでは…と少々期待に胸膨らませていた。


『おはよッ♪』…っと職員室に向かう途中に声を掛けられた。


俺はとっさに振り向いて『あ、おはようございますッ!!』と丁寧に挨拶した。


な…俺に挨拶をしてくれたのはウル覚えの想像以上に美しかったあの時の先生だった。

…流石に以前より服装の慣れで下半身の暴走は(マヌガ)れたがやっぱり綺麗だ。いつみても美しいとは彼女のために出来た言葉なのかもしれないな。


『山岡君??だったよね???受験満点の♪…』…こ…山岡君!?…ハィッ!!山岡です。覚えていてくれたんですね…僕は今非常に感動しております。

『もしもぉぉし。大丈夫!?、具合でも悪いの??』…ハッ。また悪い癖が出てしまった。妄想の世界ではしっかりと受け答えをしていたのだが、そうなると現実での受け答えをすっかり忘れてしまう。


『あ、いえ、質問がありまして、職員室に向かっていた所です。』

『こんなに早朝から何か用でも??』


『その前に…先生って今おいくつですか??』…って俺は何聞いてんだ…恥ずかしさのあまり死んでしまいそうだ。

『え!?、私??今23だけど…もしかして…そんな事を聞きに来たの??』…ととと、とんでもない、そんな失礼な事を聞くために来たわけではないッす。…でも、聞いて損はしてないかも…聞かぬは一生の恥っていいますしね♪23歳ですか。大学卒業したばっかりじゃないですか…。ってボケェッ"!!!


『いえ、若いんだろうなぁって思ったので聞いただけです。えっと僕の用件は、2年生からの選択教科で学ぶ予定の魔学について質問したいんですが。…』…いっちゃ悪いが…こんな新人先生で分かるのかな…ルックスは200点満点だけど…


『あぁ。魔学の事が知りたいの??…貴方まだ1年生でしょ???』

『はぃ…その…ちょっと気になった事がありまして…このままでは夜も眠れぬ日々が続くと言いますか…だめッすかね??』


『アハハッ。まぁ本当はいけないんだけど、夜も眠れないんじゃ仕方ないね♪…え〜あ〜専門教科【魔学】の担当、樹里・宇野です。』…『ほえ!?』…思わず変な声を出してしまった。…樹里さんって言うんだ…


『まぁ一年生の君が知らないのも無理ないね。私は専門教科【魔学】の担当なの♪宜しくね♪』…ズキュン…っと正に昭和的ポーズ…いや平成だったかな??。チョキの人差し指と中指をくっつけた形の手を頭にあて、『宜しく♪』と同時に20センチほど前にだした。…まぁそんな事はどうでも良い、樹里さん、いやいや、樹里先生は【魔学】の担当の先生だった。


『あぁ…そうなんですか、えっと単刀直入に聞きます。魔学って言うのは、魔法についての勉強なのか、それとも魔法を使えるようになるための勉強なのかを教えてください。』…この応え次第で俺はこの学校を去ろうと思う。

その時は…さらば子豚…そして美咲さん。…FOREVER…


『んー…』…そんなに考え込む質問ッすか??…それともただ俺を焦らしてるだけ???…樹里先生は綺麗な(アゴ)に人差し指を当てて考えていた。


『んー。そうだねぇ。両方ともかな。』…りょ、両方!?

『っと言いますと???』


『さっき山岡君が例として【魔法についての勉強】と【魔法使えるようになるための勉強】って二つ上げたけど、私の授業では両方ともやるかな。簡単に言うと筆記と実技かな…当然だけど、魔法って言うものは呪文(スペル)を唱えるだけで実行にうつせるわけじゃないのね。まず、その魔法の本質を理解し、その上で呪文を唱えないと呪文が完璧に唱えられたとしても、魔法は発動しないのよ。分かるかな??』


『はぃ。非常に分かりやすいです。』…とりあえず魔法とやらは勉強次第で使えれるようになる事が分かり、ほっと一安心した。


『だから、まず本質の理解のために筆記勉強。それと同時進行で実技の勉強。って感じかな。』

『なるほどぉ…』…俺は樹里先生の言った事を一言一句逃さず頭に叩き込んだ。


『でもね…必死に努力して本質も呪文も理解しても魔法が使えないケースがあるのよ…いいえ、使えないケースの方が多いと言った方が正しいかしらね。』

『え…??』…な、なんだそれ、必死こいて勉強しても、使えない可能性のが高いのかよ…


『魔法を使う上で勉強をする事も大切だけど、一番重要なのはやっぱり個々の性質なのよ。…それで魔法を沢山使える子も居れば、人一倍勉強したのに魔法を一つも使えれない子も居るの…』…恐らく今の先生の教え子にも頑張っているのに使えない子が居るのだろう…樹里先生はその生徒を思い出すように空を見上げ、若干悲しそうな表情をしていた。


『そうなんですか…』…俺は…使えるのかな。。そもそもこの時代の人間でない以上使えない可能性の方が非常に高い…


俺の時代から500年もたったこの時代でも使えない奴が居るくらいだ。

人間が魔法を使えるように500年と言う長い年月をかけて日に日に進化してきたのを俺はすっ飛ばして…タイムスリップと言う怪奇現象によって来たのだ。個人の性質なんてあるはずもない…


『まっ。山岡君ならきっと魔学の授業も完璧でしょうね♪期待してるから専攻してね♪…それじゃぁソロソロ、朝の会議があるから失礼しますね』…っと樹里先生は職員室へと小走りで駆けて行った。



この学校を選択した理由である魔法を使えるようになるための勉強…コレ事態は的外れではなかった。俺が心配し考えていただけ無駄だったと言うわけだ。

職員室に背を向け、俺は自分の教室に足を進めていた。…あ、樹里先生に簡単な魔法、見せてもらえば良かったな…



教室に着くと既に何人かの生徒が来ていた。…

【やぁ!!皆おはよう!!】…なんて挨拶は俺はしない。と言うよりいつもは遅刻ギリギリで挨拶をしている余裕など無いだけだが…俺はいつも通りまっすぐに自分の席に向かった。


『山岡君おはよう!!今日は早いね。』…挨拶をされただけなのに【ドキッ】っとした。

俺も足を止め、振り返った。…もうこのクラスにも大分居るというのに声と名前と顔が一致しない…俺ってよっぽどクラスに打ち解けてねぇんだな…

俺に声をかけてくれたのは恐らく…山下さんか、木下さんか、上田さんだ。…俺も過去の記憶を掘り返して3人にまで絞る事が出来た。…まぁ上出来だな。


『あぁ、おはよう!!今日、職員しつに用事があって、それで早めにきたんよ。木下さんはいつもこんなに早いの?!?』…とっさに木下と言ってしまったが、あっているのか…


『ううん。いつもは山岡君のほんの少し前だよ。あたしも遅刻ギリギリだからさ。』…ちみが遅刻ギリギリなら、ちみより遅い俺は完全に遅刻ではないか…

『へぇ、そうなんだ。俺が来た時には皆居るし…居ない奴は休みの子くらいだしね。ハハハ。…今日は何で早く来たの!?』

『昨日、彼氏の家に泊まってたから、おばさん達が起きる前に家を出てきたの。』…さよか。

『ほうほう。朝帰り登校というわけですな。木下さん、まだ16歳なのにやりますなぁ。』…って俺は親父か。


『そ、そんな、変な事してたわけじゃないもん!!テスト近いから一緒に勉強してたの!!』…と、木下さんは少し頬を赤めて恥ずかしがりながら俺の発言を否定した。


流石にこれ以上からむと、猥褻物陳列罪(ワイセツブツチンレツザイ)…いや、陳列したわけではないし、この場合は公然猥褻罪(コウゼンワイセツザイ)かもしれんな。…6ヶ月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金に処せられてしまうではないか…。

母性本能ならず、親父本能がくすぐられたが、木下さんへの質問はとりあえず中断し、夜の出来事は俺の妄想だけにおさえた。


少し木下さんとできる範囲で世間話をして居ると、廊下に美咲さんの姿が見えた。…ムムム。

『木下さん…ちょっと失礼。』…『え!?…う、うん。』…木下さんとの話を中断し、俺は美咲さんのもとへと向かった。…明らかに様子が変だったからだ。


廊下に出てくると、それはもう確信犯だった。…隣のクラスかその又隣のクラスか知らんが、俺たちのクラスの生徒ではない腐れ外道が、事も有ろうに美咲さんにちょっかいを出していた。


【クォラァァ!!!糞ガキャー!!!美咲さんに何してくれとんじゃ!!!!】…何て言えたらカッコいいだろうな。…当然俺はそんな事は思いはしても言う事はできない。

『あッ。美咲さんじゃん!!どうしたの!?、知り合い??』…まぁ、あたかも偶然通りすがったように…これが今俺にできる最良の言葉だ。


『高貴君!!…全然、知り合いじゃないよ…教室に入ろうとしたら、いきなり…』…はぁ…やっぱり。俺の時代ですら学校で女子生徒にちょっかいだす奴なんて無かったのに…全く…

『い、いきなりはねぇだろ!?、人聞きがわりぃな。』…腐れ外道よ、お前が人聞きなど気にするんじゃない…そんな事を気にするのならこんなパブリックでのナンパは控えよ。


『ほうほう、と言う訳で美咲さんは嫌がっているみたいだし、君もソロソロ教室に戻ってはどうかね??』…フン。冷静に言ってやったぜ。

『あ?大体、何だてめぇ。てめぇには関係ねぇだろ。お前が教室に戻れ。』


『んー。関係無い事ないんだけど…美咲さんは俺の、か…親友だしな。』…いつかきっと、美咲さんを彼女と呼べる日が来ます様に。

『ハハハ。何だお前ただの親友かよ。彼氏でもねぇくせにしゃっしゃってくんじゃねぇよ。』…ぐさーっ。高貴は深く傷ついた…っと同時にこんな一個下の餓鬼になめられてたまるか。と言う怒りが溢れ出してきた。


『おい。てめぇ。いい加減にしろよ。美咲さん嫌がってんだろ。』…俺は奴の胸座を捻り掴んだ。…怒りのせいか、恐怖のせいか俺は全身で震えていた。

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