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CROSS…  作者: ィィポン
16/18

『センチメンタル』

ゲームの世界から現実世界へ戻ってきてから1時間くらいは凄い脱力感に襲われ、3人とも無言で子豚のベットにもたれかかっていた。


俺、個人の意見を言うと『またやりたいな…』とは正直思わなかった。…恐らく俺以外の二人も同じ意見ではないのかな…


ため息だけの沈黙がずっと続いていた中最初に声を発したのは子豚だった『そ…それにしても疲れましたね…』。


『何だか…フルマラソンを完走した気分ですよ…』…ってお前はフルマラソンどころか10キロマラソンすら完走した事が無いだろう…


『私も…正直ゲームが終わった後にこんなに疲れるなんて思ってなかったな。』…女の美咲さんや、デブってる子豚は俺以上に疲れただろうな…

『そうっすね…』


『あの…次ぎやるのがあんまり気が進まないのは僕だけでしょうか…??』…子豚の意見に俺も美咲さんも何にも応えなかった。


ゲームを出る時はミリアに『また、直ぐに戻るから』っと言った。正直その時は美咲さんや子豚さえよければ明日にでも来る気で居た。

…が予想外もしないゲームの副作用が俺たちを襲ったのだ。…ゲームに慣れてない子が長時間ゲームをして頭痛が少々…って言うみたいに俺たちの慣れの問題だと思われる。


子豚への返事を俺が考えていると美咲さんが『私も…少しの間はやらないかも…』と、とうとう本音を語りだした。


美咲さんに便乗するように子豚も、『だよねぇ…こんなに疲れるなんて…』と子豚と美咲さんでゲームの欠点を言いまくった。


俺はと言うと、無言に二人の愚痴を聞き入っていた。…子豚や美咲さんの言う事も十分分かる…が俺はミリアとした約束が気になっていた。


ゲーム上のミリアの事に対して考えている俺がおかしいのかもしれないが、正直二人が無責任に感じてならなかった。




…結局この日はテスト勉強をせず、解散した。



『ただいまぁ…』

『おう!!お帰り!今日も遅かったな??友達の家にでも行ってたのか??』

『あぁ、うん。』

『もう直ぐテストだろ???俺より賢いお前に勉強しろって言うのは何だか不思議な気分だが…少しくらい勉強しとけよ!!』…『へぇぃへぃ。』



受験日…

子豚の家から帰宅し俺は隆二さんにエルピネス学院に合格したと言う事を報告した。…正直このときは隆二さんにはめられ、かなりレベルの低い高校を受験させられたのだと思った。


『隆二さん!!遅くなってすいません…友達の家に行ってって…』


『ハハハハ♪俺も受験に失敗した日は一緒に落ちた連中と自棄酒(ヤケザケ)で盛り上がったもんだよ…今は警官だし、未成年のお前に飲酒をしても良いとは言えんがまぁ、今日くらいは仕方ないな。あんなにレベルの高い高校じゃなくても俺はお前に普通の高校に行ってもらって、大切な友達を作ってもらって…楽しく生活してくれればそれで良いんだ。あんまり落ちた事をきにするな!!…なッ!!』

隆二さんは俺が帰るまでも間に俺を励ますスピーチでも考えてたかのようにダラダラと俺の合否も聞かずいきなり話し出した。


『あ…あの…俺…受かったんっすよ…』

『うんうん。そんなお前の口から聞かなくてもわかってるよ、当たって砕けろって言ってたろ!!だからあんまり気にするなって!!』…と全然俺の言葉が耳に入ってない様子…


『だぁかぁらぁ…エルピネス学院に合格したんですって!!!』

『……高貴…俺は、お前が落ちても怒ったりしないぞ!!…でもな…嘘だけは辞めてくれ。俺に言いづらいかも知れんが、正直に言ってくれよ…俺はお前の兄貴みたなもんなんだからさ…俺には何でも話せるようになってくれよ…』…そ、そんな悲しそうに言われても…俺マジで受かったんだけどな…


『隆二さん…本当の事を言うんで信じてくださいよ??』

『おう!。絶対に本当の事を言えよ!!』…はぁ…不合格しました。の方が信じられるって…俺ってそんなに頭悪そうかな…??


『合格しました。』

『…』


『合格です。』

『…』


『…』

『…』


『隆二さん!?』

『ほ…本…嘘じゃないよな?!?』

『えぇ!!』…俺は女にすらした事のないウィンクを男に対してしてしまった。パチッ!!♪


俺の報告を受けたあとの隆二さんは完全に壊れていた。

もう深夜だと言うのに…近所の人、会社の人、知り合い全てにTEL、メールで俺の合格を報告しまくったのだ。

翌日も隆二さんは会社ではしゃいでいたらしく、隆二さんの上司にこっ酷く叱られたそうだ。。。叱られてもなお、『良かった。良かった。本当に良かった。』とはしゃいでいた。

隆二さんが俺を大切に思ってくれているのが本当に実感できた。…そして俺自身、隆二さんの事が大好きだと言う事も実感できた。



【なっつかしいなぁ…すっかり俺もこっちの世界に馴染んじまったな】

義兄弟二人であんなに盛り上がったあの日からもう結構経った。…今ではあんなに高い受験費を出してもらってまで行く価値のある高校だったのだろうか…と疑問に感じる時が多々ある。

学校には毎日休む事無く通っている。…しかし、俺がまともに参加している授業といったらチーム授業という、5人1組でやらなくてはいけない授業だけだ…それ以外は大抵寝て過している。


『ねぇ…隆二さん…』…考え事をしても始まらないと思い隆二さんに相談する事にした。

『ん??』…隆二さんは家での仕事を中断し、俺の方に来てくれた。

『高い金出してもらって受験させてもらったのに、こんな事言うのは非常識だと思うんだけどさ…あの学校って本当に行く意味あるのかな??』…俺は隆二さんの顔が見れず、俯きながら話した。

『…どうかしたのか??…連れが出来ないとか、勉強がつまらないとか…』…口調的に、怒っている様にも、心配している様にも感じられた。俺は俯いたまま後者だと応えた。


『…勉強なんて物は楽しい物じゃないぞ??…高校変えても、社会にでても、勉強という物は付きまとってくる。それに共通して言える事は勉強なんて殆どが楽しい物じゃない…』…隆二さんは弟である俺に社会の先輩として教えてくれている様にも話したが、俺の言いたい事とは少々的外れの返答だった。


『うん。それは分かってるんだけどさ。授業でやってる内容が…その…どれも単純な事ばっかりと言うか…わかってる事ばっかりというか…』…あんな授業は俺の時代の小学生でもできる!!!と言いたかったが、俺は語尾を濁らせるだけだった。


隆二さんは少し考え込んで、『…じゃぁ辞めて働くか???』と厳しい口調で言った。


『え!?…』予想外にしない返答に俺は伏せていた顔をあげて隆二さんを見た。…正直辞めたいなんて思ってもいなかっただけに、驚かされた。

『だってお前、行っても仕方ないって思ってるんだろ?!?…』…と顔を上げた俺を覗き込むように見つめてきた。

『いや…何のために行っているのかなって…思っただけ。辞めたいとかは思ってないし、明日からもちゃんと学校行くよ。…変な事聞いてごめん。』…いやはや全くだ。我ながら何を聞いてどんな返答を期待していたのだろう…俺は部屋に戻ろうと立ち上がった。


『おい。高貴!ちょっと待て。お前、あの学校に何を学びに行ってるのか分からないって言ったよな。…お前があの学校を選んだ理由を考えてみろ。…魔法だろ!?』…魔法ねぇ…


俺は初めて隆二さんを無視したように部屋に戻った。…隆二さんに悪い事したなと、部屋についてから後悔した。

隆二さんが言ったとおり俺はエルピネス学院に【魔法の授業】があると言う理由だけで決めた。今思うと、何故もっと冷静に考えなかったのだろうと、自分の愚かさを考えさせられた。

俺は今日ゲームの世界でミリアに色々と話を聞いた。呪文の覚え方とかの話を聞いてゲームだなと感じた。

子豚の家から帰る途中に、ふと現実世界での魔法はどうゆうものだろう…と考えた。


考え出して直ぐは色々な魔法の事を考えていた。火の魔法、風の魔法、闇の魔法…それらを考えているうちに、一つの疑問が浮かび上がった。

そう、俺はこの世界に来てまだ一度も魔法というものを見た事が無いのだ。こっちの世界に来てソロソロ3ヶ月が経とうとしていたのにだ。

さらに言うとエルピネス学院ですら魔法を使っている人を見た事がない…。


Why…おかしくないか??…

街で見かけないのは魔法を公で使う行為がダメだからかもしれない…で納得した。

その直後に、なら学校では???…と思い、俺は最低最悪のパターンを思いついてしまった。


そもそも、俺の考えている魔法の勉強と学校側の魔法の勉強が全然違う物だったかもしれないという事だ。

俺は勝手に魔法の勉強とは魔法が使えるようになる…と解釈していた。

実際は、魔法というのはこうゆう事なのですよ。と単純に本で魔法について学ぶものかもしれない…と思ってしまったのだ。


『…ま、まさかな…へへッ』俺は自分の部屋の窓から羽樹の木へと飛び移り星を数えながら色々考えた。…というより珍しくセンチメンタルになっていた。

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