『念願のRPG』
幼児期にどれくらい夢見ただろう。いや、俺の場合は幼児期に限らずつい最近まで夢見ていた。ドラマ、漫画、ゲームの世界にいけたら…と。
決して果たされる事の無い夢の一つだった架空世界へのリアルアクセス。そして俺は、俺達の時代の誰もがうらやむ夢のアクセス権を手に入れたのだ。
『高貴君!!!で…どのRPGをやるんですか??』…おっと、つい妄想に夢中になってしまっていた。
『あぁ。悪い悪い。コニィのオススメはどれだ???』
『オススメと言われましてもねぇ…実の所、僕あんまりRPGとかやった事無いんですよ…』
『ふむ…』
約2000種類近くあるRPGの中から選べと言われても中々選びきれなかった…しかたないので、ネットで皆のオススメを探してみた。
『一位はコネクションって言うゲームか…』
『そのようですね。コレにしますか???』
『いや、ココは2位のゲームをしよう。』
『え!?どうして???』
『俺の中で勝手に思ってる事にすぎないんだが、ゲームに限らず1位を飾ってるのには裏がある気がしてな、例えば大量の宣伝をしてるだとか、作った会社が有名でその会社の名前で人気になってるとかな。と言う訳で2位の【The Continuance Of Dream】でもやるとしよう!!!名前もコネクションに比べてかっこいいしな。』
『はぁ…そおゆう考えだと結局2位も同じだと思うんですけどね…まぁ僕は何でも良いですよ。』
俺の変な理由により一番人気のゲームではなく2番人気のゲームをすることになった。
子豚がそのソフトをダウンロードし、二人ともコントローラであるブレスレットを嵌め、眠りについた…
直ぐに別世界に居るのが分かった。広く薄暗い空間に俺と子豚だけが居た。
ここはもう既にゲームの中だろう。隅の4箇所に立つ電灯は大きな鐘の様なベルの様な形をしており、ゆっくりと揺れていた。
通所の鐘は揺れる事により音を出すのだが、ここの世界の鐘は揺れる事で光を放っていた。鐘の音を出す根源となる中央の玉が鐘の淵に当たると水しぶきの様に光の粉をばら撒いていた。
『すげぇ…マジで幻想的だな…』
『えぇ。本当に凄いですね。』
少しすると、俺達の目の前に何やら看板らしき物が、地面からニョキニョキと生えてきた。
『わぁ!!!な…何だこれ!!!モモモ…モンスターですかねッ!?!?』
『いや、どう見てもただの看板だろ。それにこの看板【≪←New Game(初めて) === Continuance(続き) →≫】って書いてあるぞ。』…学力が低下しているとは言え、あんな簡単な英語にも日本語の振り仮名が付いてるのには驚かされた。
『あ…本当ですね。僕達は初めてなので左ですね。』
そうだな。っと俺と子豚は看板の矢印の方向へと進んだ。俺達の進み道はさっきの電灯鐘の光の雫が俺達を導いてくれた。
手を引かれる様に光の示す道を進んでいくと、俺の身長の3倍程の大きさの洋風のドアがあった。
『コレをあければ良いのかな!?!?』
『はぃ。ココ以外に進むべき道はありませんしね。』子豚は周りをキョロキョロとみながら言った。
大きさとは裏腹に扉は俺が少し力を加えただけで≪ガガガガガガッ≫という音をあげながら開いた。
【『ようこそ、The Continuance Of Dream …夢の続きへ。私はこのゲームの案内役オペレーターの【ミリア】と言います。アクセス場所が日本という事ですので、出力言語は日本語で宜しいでしょうか???』】
扉の向こうに居たのはどうやらこのゲームのオペレーターらしいミリアと名乗る小悪魔っぽい女性だった。
『え!!?まぁ…はい。』と子豚が戸惑いながら答えた。
【『それではゲームの説明に入りますが、宜しいでしょうか??』】とミリアさんの問に『はい』と答える以外の回答が思い浮かばなかったのでセオリー通り『はい』と答えた。
【『それでは…こ…ごッ…あぁ゛-あぁ゛-え゛ッホ!!カーッペッ!!!…失礼いたしました。』】…可愛らしい顔のわりにやる事はオッサンだな…と俺と子豚は顔を見合わせ苦笑した。
【『このゲームは三人一組で行うゲームとなっております。概要としては、私がプレイヤーを≪ドリムリミット≫と言う世界の≪ウェルチ≫へ転送します。そこからプレイヤーの皆さんにはドリムリミット最大の夢の街、≪ユーティリティーシティ≫を目指し旅をしてもらうというゲームです。【姫を救うために】だとか、【世界の平和のために】だとか言う目的は一切ありません。ただ、ユーティリティーシティを目指すだけです。』】
【『以上で主な説明は終わりますが、質問等はございませんか!?』】
俺とほぼ同時に子豚が挙手をした。そして子豚が指された。
『えっとまずスリーマンセルとおっしゃいましたが、僕達は二人しか居ませんが…それでもプレイできるのですか??』…うむ。俺が聞きたかったうちの一つだ。
【『それは勿論ップレイ可能です!!足りない一人分はこちらがNPCを用意いたします。人工知能を積んだ特殊生命体のNPCなので普通の人間と変わりません。NPCはNPCですが≪知らない人≫とでも思っていただければ結構です。なお、最初に二人で登録されますと、後々に一人追加し自分達で用意した三人でプレイしたいと言われましても、それは出来ませんので良くお考えの上、開始してください。』】
『複数人…二人以上で始めた場合は、続きをプレイする際に一人でもプレイは可能なんですか???』…子豚よ、良い質問だ !!
【『一人でのContinuanceは認められておりません。登録された人数、そして本人である事を確認してからContinuanceをプレイする事が出来ます。』】
『だそうですが…どうします???』と子豚は俺に質問してきた。
『どうするも何も、二人でやるしかないだろ???』
『僕…まぁ…おせっかいかもしれませんが、美咲さんを誘ってみたらどうでしょうか???』
『はい!?』…子豚が突然【美咲】と言う単語を出してきた事に驚き声が裏返ってしまった。
『恐らく、このゲームは長くなると思います。そこでですね、美咲さんも一緒にプレイすれば高貴君との関係も今より良くなるのでは…と考えたのです。』
『お前って奴は…ホントおせっかいだ…が良い奴だな……美咲さんがOKするなら俺は是非その3人で旅がしたいが…』
『では、明日。学校で聞いて見ましょう。当然誘うのは高貴君ですよ!?』
『…あぁ。分かったよ…』
『ミリアさん。質問を再開しても良いですか??』
【『はい、どうぞ。』】
『僕達が最初に転送される、ウェルチと言うのは何ですか???』
【『ドリムリミットの中にある一つの街の名前です。その街へ転送するのです。』】…なるほど。最初は野原とか森の中ではなくご親切に街に転送していただけるのか。
『僕からの質問は以上です!!高貴君は何かありますか???』
『あぁ。俺から一つだけ聞きたい事がある。こっちのゲームの世界での俺達の体力はどぉなるんだ??走ったり、戦ったり、時には死んだりもするんだろ???』
【『はい。勿論、どれもこのゲームをプレイする上で一度は体験すると思われます。走ったり、戦ったりはそのプレイヤーの基礎体力に委ねられます。そしてこの世界で学んだ事は現実世界でも生かされてきます。例えば、走ったりすると現実世界で疲労は蓄積されます。しかし、戦って傷ついた体に関しては現実世界には全く影響されません。ゲーム中は傷ついたりすると体が重くなり動きにくくなるという現象が起こります。最後に死亡してしまいますと、現実世界にも影響してきます。』】
『((えッ!!?))』
【『ご安心ください、ゲーム内で死亡した場合は現実世界で目覚めてしまうと言うだけの事です。』】
『なんだ…それだけか…焦ったよ…』
【『しかし、複数でプレイする際にプレイヤーの誰か一人でも死亡してしまいますと、死んでいないプレイヤーの方も現実世界で目覚めてしまうので注意してください。それと、死亡により強制的に現実世界へ戻された時は戻されてから12時間はプレイ不可となっておりますのでご了承ください。以上です。』】
ミリアさんは、ダラダラと説明し、俺達がもう質問はありませんと言うと、【『最終確認です』】と言い、二人でプレイなされますか???と訊いてきた。
結局、俺は子豚の提案に乗る事にした。俺としては正直美咲さんが一緒にゲームなんてしてくれるとは思っていない。
…がこのままクラスメイト止まりで終わらせたくない…と、俺にしては珍しく心の中で恋の炎が燃え上がっていた。
『では明日、美咲さんに聞いて見ましょう。もしダメだとしてもその時は二人で友情を深めましょう♪』…絶対に嫌だ…
11話までの御閲覧ありがとうございます。
お暇な時間であろうと、大切な時間であろうと、私の小説のために時間を割いて読んで頂き本当に嬉しく思います。
大変、身勝手な事なのですが土日は小説を書くことが出来ず更新も出来ません。この場をお借りし深くお詫び申し上げます。
その分平日は頑張って更新していきたいと思います。
皆様からのご意見、ご感想、ご指摘を辛口でも構いませんので是非お聞かせください。
感想は皆から見えるから嫌だと言う方は、私宛へのメッセージでも構いません。
皆様が画面越しに泣き、笑い、そして感動できる様な、小説を書いていきたいと思います。
今後とも宜しくお願い致します。