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CROSS…  作者: ィィポン
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『11月29日…』

『あれは…夢だったのだろうか…きっと夢だったんだろうな…夢じゃなかったらあいつら今頃どぉしてるんだろうな…』と一昔前の出来事を思い返していた。


教室の端の席。窓際の後ろから3番目であって前からも3番目。列5人のちょうど真ん中の席…そこが俺の席だ。


俺は地元の私立高校に通う3年、山岡高貴(ヤマオカコウキ)。俺は(キライ)な授業の時は、横の窓から見える山にある、如月神社を見つめ考え事をしている事が多かった。


今の授業は世界史、俺に限らずクラスの半数の生徒がこの授業を嫌っている。半数のうちの9割は男子生徒だ。


世界史が嫌いな訳ではない。嫌いなのはティーチャーの方だ。この世界史を担当している清水と言う先生は、兎に角うざいのだ。


まず、女性好き。必然的に女性に甘い。


俺だって女が嫌いなのか??と聞かれたら答えはNOだ。勿論、俺だって健康的な男、当然、野郎より女の方が好きに決まってる。


それにしても、清水の場合は度が過ぎているのだ。決して猥褻(ワイセツ)な行動をとるわけではない。


ま…女子生徒からしたら優しい王子様タイプなのだ。俺達、男子にも優しいのであればクラス中の人気者となっただろうに…って俺は何をくだらない事を考えているのだ…


と頭を掻き(カキ)毟り(ムシリ)、頬杖を着いて目を閉じた。


俺はあの出来事依頼、再びあの世界に行けるのでは無いかと目を閉じる時はいつも胸を躍らせ、少々ワクワクとした気分になる。


でも…あれから丁度1年…やっぱり、二度と行く事はできないのだろうか…




2007年11月29日。


俺は遅刻が多いとの事で、生徒指導室に呼ばれた。


内容など一々先生方に大切な時間を割いて言われなくとも分かっていた。


『山岡…お前ももう直ぐ3年生だ。このまま遅刻が続いたら大学の進学にも響いてくるぞ。2年生の間に悪い癖は直しておいた方が良い。』

どぉせこんな内容の事だろう…と俺は大きくアクビし、『ねむッ』っと呟いた。


生徒指導の田辺に言われた事は、俺の予想とほぼ同じだった。強いて違いを言うとすると、俺の予想に『色々と悩んでいるなら相談に乗るからな!!』と付け加えたと言う感じだ。


おまけに今度遅刻したら、親子面談だそうだ…全くもってうっとうしい…


『はぁ…もぉ6時じゃん…大体、俺に遅刻するなと言うなら一刻も早く帰らせろってんだ!!!』と俺の行く手を阻むかの様に立ち尽くす身長15センチくらいの空き缶を蹴り上げて自転車置き場へと足をすすめた。


自転車にまたがり、俺はいつもの神社へと向かった。


高校生になってからは殆ど毎日の様に通っている神社だ。理由はと言うと…特に無い!!!


めんどくさがりやの俺が雨の日も雪の日も学校が休みの日でさえもこの神社に来るのだから、この神社には凄い力があるのだろう。


いつもの様に神社の隅に自転車を止め、【如月神社】と綺麗に彫られた鳥居をくぐって境内へと一直線に進んだ。


『おぉ高貴!!今日も来たのか。今日はいつもより遅かったからもぉ来ないのかと思ったよ。』と俺に話しかけてきたのはココの神社の主???英明さんだ。ヒデアキではなくエイメイと読むらしい。


英明さんはああ見えてもまだ20歳で俺の兄貴的存在だ。


『ちゃっす。今日は、生徒指導の爺に呼ばれてさ…2時間近く説教よ…勘弁して欲しいは…』といつもの様に英明さんには最初に挨拶+愚痴を言うのがお決まりだった。


英明さんは『ハハハハ』と笑い、持っていた(ホウキ)を近くの柱に立て掛けて、掃除を終了した。


どおやら俺が来るまでは落ち葉をかき集めて居たらしい。


11月中旬頃は紅葉が綺麗だったこの神社も、ソロソロ枯れてきたか…と思い、落ちているモミジを一枚拾い、風に乗せて宙を舞わせた。


俺はニヤッっと笑い、咲き誇る紅葉も捨てがたいが、最後の締めとして真っ赤な枯葉が風さらわれ一斉に空に飛び立つのも又、見事。と腕を組んでウムウムと一人で頷いていた。


真っ暗な神社を木達と並ぶほど高い電灯が紅葉をライトアップし、枯れて舞う葉はライトの光の中を抜けると一瞬にして見えなくなる…これまた見事。と俺は電灯をポンポンと叩いて、英明さんが呼ぶ小屋へと足を進めた。


小屋では英明さんが体の心まで暖まるお茶を入れてくれていた。


『なぁ英明さん。こんな小屋に住んで不便じゃねぇのか???』と俺はいつもの様に思っていながら聞けない…と言う事をとうとう聞いてしまった。


『小屋…ねぇ。まぁ慣れれば問題ないぞ。』と英明さんは小屋で一番デカイ柱を撫でて笑った。


『ふ〜ん。まぁ英明さんが満足なら良いんだけどさ。』と実は俺も、この小屋が結構お気に入りだった。


8畳くらいの小さなスペースに色々と生活必需品がおいてあるものだから、空きスペースは3畳くらいだ。小屋で話したりする時はいつも敷きっぱなしの布団の上に座って話していた。


『そんな事より、お前に見せたいもんがあるんだ。』と俺に懐中電灯を投げ渡し、一人小屋を出て人差し指をクイクイクイッと俺を呼んだ。


見せたいもんって何だろうと思い、俺は残り少ないお茶を飲み干し、受け取った懐中電灯を手に外に出た。靴の踵を踏んだまま英明さんの後を追いかけた。


『うぅぅぅ。さみぃ。何処いくん???』組んだ腕を腹にギュっと引き寄せ寒さを凌いだ。踏んでいた靴の踵を戻しトントンとしっかりと履いた。


『裏だ裏。』と英明さんはニヤニヤと笑いながら言った。


裏に回るのなんて久しぶりだな…と思いながら英明さんについていった。


今日は、満月か…星も結構でているな。と空を見ながら歩いていたせいで「ブヘッ」っと前を歩いていた英明さんが立ち止まったのに気づかず、背中にぶつかってしまった。


『ほれ!!見てみぃ!!』と英明さんはなにやらボタンを押すと『カチッ』っと言う音をあげ、境内の裏にはが薄暗い明かりで包まれた。


『おおおぉ!!』っと俺はついつい声を出してしまった。裏には一面に芝生が植えられており、見違えていた。


良い感じだろ!!?と言う英明さんに、うんうんうんっと何度も頷き、何故か俺は靴を脱いで芝生の上に上がった。


『ハハハハハ!!何でお前は靴をぬぐんじゃ。』と英明さんにも突っ込まれ、俺は少し頬を赤めた。でも、大きいベットに乗るような感じだったから…と告げると、再び笑って英明さんも靴を脱いで上がってきた。


俺は満天の星空を見上げ、大の字になって寝転がり『すげぇ』っと連呼した。同時に英明さんも同じような事を何度も連呼していた。


俺は眩暈(メマイ)がしそうな星の数に感動していた。夢のような空にいつの間にか本当に眠っていることにも俺は気がつかなかった…




『君!!!君!!大丈夫か!?!?』

『こいつ変な格好してるし…関わらない方がいいんじゃないですか???』

『そんな事言っても、気を失ってるみたいだし、こんな所で放置しておくのも…』


『ん…』人声が聞こえ俺は要約眠りから覚めた。眠ってしまったのか…と思ったのは一瞬で、朝だと気がつくと心底驚いた。


『おぉ!!気がついたぞ!!お前大丈夫か!?!?』


『え!?』と俺を覗き込むように見ていた一人の男は英明さんではなく見たことも無い格好をした30歳くらいのおっさんが立っていた。

その横に珍獣でも見るかのような目で腕を組んでこっちを見てるオッサンも居た。


こんな所で何をしているんだ!?!?といきなり質問された。


『え!?あの…英明さんは…??』と頭を掻きながら俺は質問を質問で返した。


『エイメイ???…誰だいそれは???』とさっきから俺を気にかけているおっさんが不思議そうに再び俺の質問に質問で返してきた。


俺の答えを待たずに、もう一人のおっさんが『誰だか知らないがエイメイ何ていう人はココには居ない。』と言われた。


聞くとこの変な格好をした二人は警察らしい。どぉ見ても警察とは思えない格好で本当に警察なんですか??と聞くと警察手帳の様なものを胸ポケットから取り出し、テルミナ警察所の隆二・岡野と書かれた身分証明のような物を見せてくれた。


見せてもらった直後の感想は『何だこれ???こいつらイカレタおっさんか???』と言うのが俺の正直な感想だった。


今日の朝方この近くに住んでいる住人により『変な人が倒れている』との通報がこのおっさん達の警察署に入り、二人が足を運ばせたらしい。


そこに本当に変な格好をした俺が倒れていたと言う訳らしい。変な格好と言っても学生服だからそれが変と言うのなら俺達の学校に問合せ願いたいね…と俺は少々苛立ちを感じた。


俺とこの警官と名乗るおっさんが質問を繰り返しているうちに俺はどんどん血の気が引いていく感じに襲われた。


今は西暦2507年11月29日だと言う会話が出来たのが発端だった。

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