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もっと歌って

作者: カラオケ店員

僕は歌うのが好きだ。

上手くはないけど、僕が歌うとお父さんもお母さんも笑ってくれた。


そして僕は歌うのが嫌いになったんだ。

 「2階の207号室が出られました。小さいお部屋の空きがすくなったので優先でアップお願いします」

 「はいかしこまりました」


 いつものようにフロア担当の人に指示を出す。

prrrrr

 「はい。フロントでございます。…………はい。コーラがお一つとジンジャエールとウーロン茶がお二つですね。ウーロン茶はアイスでよかったでしょうか?……はい。アイスですね。かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」

 フロントにある端末で言われた注文を入力しキッチンに注文伝票を飛ばす。

 「あっ、10分前か」

prrrrr……prrrrr……

 「でないな」

 10コールで諦める。

 「すいません。3階の303号室に10分前よろしくお願いします」

 「はいかしこまりました」

 インカムで指示を飛ばす。

prrrrr……

 「はい。フロントでございます。あ、マイクの音が出ない。大変申し訳ございません。すぐにスタッフを向かわせます」

 この部屋は一つ前の入室が3時間前だから充電ではないな。

 「すいません。2階の209号室マイクの音が出ないらしいです。ただ充電はされていると思いますので、レシーバーの方を確認してお客様にお伝えください」

 「はいー。207アップオッケーです」

 「207。ありがとうございます」

 端末を弄り清掃中のマークを消す。忙しくもなければ暇というわけでもない。少しだけ面倒なお客様が多い普通の平日。

 「209のマイク対応オッケーですー」

 「はい。ありがとうございます。303の10分前コール完了してますか」

 「それもおっけーですー」

 「はい。ありがとうございます」

 ……忙しくならないといいなあ。バイトリーダーを任されている身としては思ってはいけないだろうことをつい言ってしまった。

 

 そんなこんなで六時間のフロントが終わり、引継ぎも終わり退勤の時間。

 本日の売り上げ目標も達成し少しだけ安堵している社員さんを片目に退勤のカードを切る。

 「お疲れ様でしたー」

 「はいお疲れさまでした。今日もありがとー」

 「いえいえ。忙しくなかったので」

 「店としてそれはうれしくないなあ」

 ちょっとしたコミュニケーション。社員の方はパソコンをいじりながら、事務の仕事をしながら、少し微笑みながら話す。いつもの光景。

 「最近毎日売り上げ目標とどいているからねー。この連勝記録がいつまで続くのか」

 「今確か八連勝ですかね?2桁連勝は僕がこのお店でバイト始めてから経験したことないですね」

 「あと二日かあ。ここまで来たらちゃんと勝って本社にドヤ顔したいけど。明日の天気が雨だからねー」

 「あー、それはきついですね。明日の予算は?」

 「今日と同じだよー。今日の入りで結構ぎりぎりだから明日はちょっときついかな」

 「連勝は八でストップですか。まあ貯金はできてるので最悪売り上げ零でも今月は勝ちそうですね」

 「流石にそれはよろしくない冗談だね」

 「まあ、僕明日出勤ではないので言いたい放題言えますよね」

 「あ、それなんだけど。明日すでに予定入れてる?」

 「二度寝の予定が入ってます」

 「それなら明日の早い時間に入れない?風邪をひいたって連絡が来てフロント出来る人が他にいなくてさ」

 「時給七十パーセントアップって本当ですか?」

 「はい。ありがとー」

 「返事を聞かないなんてなんてブラックだ。まあ稼げるからいいんですけど」

 「風邪で休みたい子を休ませているのにどこがブラックなんだろ」

 「僕も風邪をたった今引いたようです。福利厚生で風邪薬ください」

 「寝たら治る」

 「やっぱりブラックじゃないですか」

 まあ、本当に風邪をひいたらちゃんと帰してくれる。それは知っているからブラックではないんだろうけど。

 「あ、僕しばらく早い時間入ってないから最近の早番限定のプランとか知らないんですけど、何かありますかね」

 「特に変更はないかなあ。あ、カラオケ教室で知らないことあるかも。2か月前から利用してもらっている方で立花さんっていうんだけど、そこの料金調整だけ抑えといて」

 「早番の連絡帳にかいてありますよね?」

 「のはず。あ、明日雨か」

 「そうですね。朝方から降り始めるらしいですけど」

 「だったら濱野さんって分かるかな」

 「ハマノさん…。すいません。存じ上げないです。特殊な入室の方なんですかね」

 「だね。カラオケ教室で102は使わないようにしといて。濱野さんがそこ使うから」

 「かしこまりました。料金の調整は連絡帳に書いてありますか?」

 「あ、料金は普通でいいよー」

 「ん?1階希望ってことは足腰悪い方なんですかね」


 「あ、違う違う。濱野さんはね、盲目なんだよ」


初投稿です。

リアルカラオケ店員です。

社外秘を出さないようにするのが一番大変でした()


バイト中現実逃避でしていた妄想をただただぶち込むだけなので生暖かい目で見ていただけると幸いです

よろしくお願いします^^

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