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村人の成り上がり英雄譚  作者: ポテサラ
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強さと種族と

リクは村に着き驚いた。村人が剣を掲げ魔獣へと立ち向かっていたのだ。決して強いとは言えない村人たちがこの瞬間を生きるために、生き残れると信じて、希望を捨てずに魔獣に抗っていた。

(なんで、まだ希望が持てるんだよ。なんでこの状況で生きようと思えるんだ。)

リクは魔獣に襲われた時のことがよくわかっていた。襲われた時の絶望感、悲壮感、その中に“生きる”という思いはない。同じ状況のはずなのに、リクはなぜ目の前の村人は戦っているのか分からなかった。村人に怪我人はいた。だが、喰われたような跡がない。村人皆が生き残るその判断をしているのだとリクにでもわかった。リクは笑っていた。なぜ、こんなにも嬉しさが、笑いがこみあげてくるのかリクには何も分からなかった。リクは、魔獣へと駆け出した。

「魔獣は俺が倒していく!お前らは村を守ることだけに集中しろ!」

リクは村人へと指示を出す。村人は突然来て指示を出すリクに一瞬唖然とするが、すぐに、リクの指示通り攻撃から防御へと体制を変えた。

「助けが来たぞ!」

「あの少年に従え!」

「「うぉぉぉー」」

村人から様々な声が上がったが、リクが来たことで士気が上がり、雄たけびを上げていた。リクは、そんな村人を横目に嬉しそうだった。リクが魔獣に魔術を放つ。一体、また一体と次々に倒していく。リクが周りにいる小型の魔獣を片付けると、リクの前に大型の魔獣がいた。リクは魔術を何度か放つが、あまり効いていないようだった。魔獣がリクへ何かを放った。赤く燃える炎だった。リクへ炎の球が迫る。リクは避け様とするが、場所が悪かった。避けたら村人に直撃する。リクは防ぐことに全力を入れた。すると、リクの横を何かが過ぎって行った。いや、リクにはちゃんと見えていた。リクが腰に携える剣を抜き取り、炎の球へと走っていくアリサの姿が。アリサは炎の球を剣で薙ぎ払い、魔獣へ連撃をした。何度も何度も、とても早い剣筋に魔獣は、反応できていなかった。

「すごい。」

リクは初めて見るアリサの姿にその言葉しか出てこなかった。剣を振るうアリサの姿はまるで踊っているようだった。流れるような動作に、隙なんてものは無かった。

「これで終わり!」

アリサが一言叫ぶと、一閃。

「リク君に手を出そうとするなんて、死にぞこないもいいところね。」

アリサが一言つぶやいた。魔獣はその場で倒れた。アリサの持っていた剣がボロボロと砕けてしまった。「あぁ!リク君ごめん、リク君の剣が!どうしよう!」

アリサは、緊張感もなくあたふたとしていた。

「あはは。いや、かまわないさ。剣も新しくしようと思ってたところだし。それより、アリサ、ありがとう。」

リクは笑顔で、アリサの頭を撫でた。

「私のほうが年上なのに。」

そんな不満の声を言いながらも、嬉しそうにしていた。リクとアリサは周囲に魔獣がいないことを確認後、村人のもとへ行った。

「おぉ、救世主様が帰ってこられたぞ!」

「村長を呼んで来い!」

リクとアリサが戻ってくると、村人は歓喜の声を上げた。

「守れてよかったね、救世主様。」

アリサが冗談めかしで言う。リクはアリサを無視した。リクの前に先の少女がやってきた。

「お兄ちゃんありがとう!」

彼女は満面の笑みでお礼を言った。リクは照れ臭そうにしていた。

「あらあら、救世主のリク君もかわいい子には弱いのかなー。」

アリサはニヤニヤしていた。

「いたッ!」

こつんとリクはアリサの頭を叩き、アリサは膨れていた。村人はそんな二人の姿を見て笑っていた。

「ほほほ、これは賑やかですなぁ。」

前に出てきた老人にリクは驚いた。先の戦いで、全線で一番暴れていた老人だったのだ。

「わしは、この『アリクラ村』の村長をやっておるアクサ=ファステイじゃ。今回は村を助けていただきありがとうございます。救世主様のおかげで村人ともに無事じゃった。」

村長は嬉しそうに挨拶をしてきた。

「救世主様はやめろ。俺はリク=クレリアだ。感謝するなら、この子にしろ。お前らのために森を走ってきたぞ。」

「これは、申し訳ない。リク殿、シイもありがとう。」

アクサはリクの横にいる子にお礼を言った。「気になってたんだが、お前らの頭についてる耳?はなんだ?人間か?」

リクは村人皆に頭にぴょんと出ているふさふさの耳を疑問に思っていた。

「リク君、ラビ族を知らないの!っていうか、魔族も知らない感じだったよね!もしかして、人族以外何も知らないとかないよね?」

アクサが答える前に、アリサは驚いた感じで聞いてきた。

「ラビ族なんだそれは?人族以外に魔族は会って知ってるしが、基本人族だろ?」

リクは当然のように言った。

「はぁー。マナは何を教えてるのよ。」

アリサは呆れていた。

「リク君いい、この世界には人族を含めて十二種族いるの。私たち人族、この人たちラビ族、そのほかに、魔族、竜族、エルフ、精霊、神族、猫人族、吸血鬼、ドワーフ、天族、機械族がいるの。それぞれ、会う機会もあるかもしれないから、セ地名はその時するわ。で、この村は、ラビ族の。村ね。特徴としては、何より耳、ふさふさのあの耳は感知能力も高いって言われているわ。あと、丸いシッポもついてるわね。ラビ族は、人族よりも感知能力、身体能力は高いわよ。」

アリサは、リクに種族の説明をしていった。

「なるほど、種族はいろいろあるんだな。」

リクはアリサの話を真剣に聞き学んだ。

「話は終わりましたかな?」

「あぁ、すまない。ちょっと知識が偏ってて、お前たちのことをよく知らなかったんだよ。」

「そうですか、リク殿は何も気にせず助けてくれるのですな。」

アクサは、リクを見定めるように見ていた。

「リク殿たちは今日はこの村で休んでいってくだされ。お礼の気持ちを込めて歓迎させていただきますぞ。」

リクとアリサは目で会話をし、

「じゃあ、今日は休ませてもらおうか。」

今日はこの村で休むことが決まった。

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