王都へ向けて
リクとアリサは、王都に向けて出発していた。
「アリサは王都に行ったことあるのか?」
「あるわよ、私これでも元冒険者なのよ。マナと同じパーティーに入ってたわ。これでも強かったのよ。」
「師匠強いのはわかるけど、アリサが強い?」
リクはそんなことあるわけないと笑っていた。
「あぁ、笑ったな。私これでも強いんだから。」
アリサが頬を膨らました。
「じゃあ、次魔獣出てきたらアリサに任せようかな。」
リクは冗談めかして言った。「私は剣がないと戦えないのよ。」
「剣?魔術は?」
「魔術は少しだけね。ほとんど剣に打ち込んでたからね。剣術には自信あるのよ。私が剣術の師匠になってあげようか?」
「師匠は一人だけでいい。アリサが師匠とか合わないな。」
「それちょっと酷くない。私だって師匠の貫禄もてるよ。」
アリサは結構本気で師匠になろうとしていた。
「まぁ、師匠云々はないとしても、アリサに剣術を教えてもらうのは悪くないかもしれないな。また今度頼むよ。」
リクは照れながら言った。
「素直じゃないな。でも、年下らしさがかわいい。」
アリサは、マナにするように頭を撫でた。リクが静かに睨み、すぐにやめた。
「少しぐらいいいじゃない。」
アリサは少しの間むくれていた。日が傾き始めた頃、
「今日はここで休もうか。食事は今日狩った獣を調理しないとだな。」
リクが道中狩った獣を調理しようと準備を始める。
「リク君が料理するの?」
「なんだ、なんかおかしいか。」
「そんなことないよ。ただ、あまりイメージと合わないから。ちょっと楽しみ。」
アリサは、調理するリクの姿をウキウキして眺めていた。
「ふぅ、出来た。」
出てきた料理は何もおかしくない。臭いも見た目も普通だ。だがアリサは、なぜか食べるのに戸惑っていた。
「うん、食える。」
リクは静かにもくもくと食べていた。
「リク君、おいしい?」
「あぁ、食えるぞ。」
リクはおいしいとは言わなかった。アリサは戸惑いながら一口食べた。アリサはその場で固まってしまった。
「リク君、明日からは私が料理するね。」
アリサは味の感想は言わなかったが、リクに料理をさせてはいけない。と心で強く想い、明日からはアリサが責任をもって作ろうと強く誓った。次の日、リクとアリサは楽しく話しながら森を歩いていた。
「助けてください!お願いします!」
突然声がした。振り向くとそこに銀色の髪を腰まで伸ばし、リクより幼そうな六、七歳ほどの少女がいた。
「どうしたの?」
アリサは少女に何があったのか尋ねた。
「村が、お父さん、お母さんが、大きい獣に…」
少女は泣きながら答えた。
「村はどこだ?」
少女が指をさした方向にリクが消えていった。一瞬のことでアリサはわからなかったが、なぜか今のリクは暴走してないそう思えた。アリサは少女に付き添い、村へとゆっくり向かった。




