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村人の成り上がり英雄譚  作者: ポテサラ
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森を抜けた先

ダンジョンを出てから三日が経った。五人は森の中を歩いていた。幾度と魔獣が出てきたが、刹那が一撃で倒して行き、それに対抗意識を燃やしたアリサがシイに錬成してもらった剣で早々と周囲にいる魔獣を斬っていった。シイとパルはそれを笑顔で見守り、リクは戦おうとするが、刹那とアリサが先に倒してしまい、今だダンジョンを出てから戦っていなかった。

「刹那、アリサ少し俺にも魔獣と戦わせてくれないか?自主鍛錬は日々怠らないが、実戦の経験を積んでおきたいんだが。」

リクは魔獣と戦えないことに不満を持っていた。

「リク君が相手をするまでもないよ。それに、これぐらいだと、特訓にならないんじゃないかな。私が相手してあげようか?」

アリサは笑顔でリクに言った。

「私はリクが言うなら従う。そこのバカとは違う。」

刹那はそういうとリクにピタリとくっついた。リクはそんな刹那を優しく撫でた。

「なッ!刹那裏切るの!刹那だって言ってたじゃない。リク君がわざわざ出なくてもいいって。リク君を守るって息巻いてたじゃない。」

アリサはそんな刹那に言いよった。

「確かに言った。リクが相手するような敵じゃない。わざわざけがをするかもしれないようなことをしなくてもいい。でも、これとそれは別。リクがやりたいと言った。なら、私はリクをサポートしつつ危なくなれば守る。これが正妻というもの。」

「ぐッ!というか、誰が正妻よ。私は認めないわよ。」

「お前に認めてもらう必要はない。リクと私の間には誰も入れない。邪魔もさせない。」

アリサと刹那はいつもの言い争いを始めてしまい、リクのお願いはうやむやにされてしまった。

「お兄ちゃん、大丈夫だよ。刹那さんとアリサさんはちゃんとわかってくれていますよ。」

「そうじゃぞ主、あの二人はリクの話はちゃんと聞いておるからな。」

シイとパルがリクに寄り添い言った。そうしながら、五人は森を進んでいった。すると、森の出口が見え、その先に一つの道が見えた。

「森を出れたと考えていいのか?」

「そうだよ、森はこれで抜けれたね。前に見える道が王都へ続く道だから、あの道を歩んだら王都につくわよ。」

リクは森の中で生活していたため、初めて森を出た。リク以外は森を出たところにある道がどこにつづいているのか知っているようだった。森を出ようとした時、森の外が騒がしいことに気づいた。武装した三十人ほどの人に囲まれ襲われている獣車を五人は目にした。

「リクどうする?」

刹那がリクに問うがリクは何も答えず、その場に駆け出していた。

「リク君、何も考えづにはダメだよ。」

アリサと刹那は急いでリクを追いかけた。

「我らもサポートに向かおう。」

パルとシイも三人の後を追いかけて行った。リクがその場に着き目にしたのは、人と人の争いだった。獣車の周辺に数人の騎士が息絶え倒れていた。獣車を守るようにして戦う老人一人が三十人ほどの人を相手にしていた。

「盗賊に襲われているみたいだね。あのおじいさん結構強いけど、状況は不利みたいだね。リク君どうする?」

リクに追いついたアリサがリクに尋ねた。

「とりあえず、盗賊は排除で獣車の人は、こちらに敵対するようであれば排除、そこは状況に応じて対応する。判断は各自に任せる。」

「リクは甘すぎる。両方を殺して獣車を奪えばいい。生かす意味がない。」

刹那がリクが走り出そうとする手を取り言った。

「刹那がリク君の考えを否定するのは珍しいわね。でも、私も刹那の意見に同意かな。あの おじいさんは危険すぎる。強いのはもちろんだけど、盗賊相手に手加減してる。襲われて、仲間も殺されてるのに、全力を出さないのはおかしい。何を考えているのかつかめない以上、不安要素はここで取り除いたほうがいいよ。」

「不愉快だけど、そいつの意見に同意。おそらく、私がリクの制限を一つ解除してやっと勝てるぐらい。なら、皆で一掃するほうが確実的。リクに危険が及ぶこともない。」

アリサと刹那の考えは同じだった。

「いや、それでもだ。それだけ強いなら、味方だと心強い。もし、強敵になりそうなら、倒すのみだ。刹那とパルもいるしな。」

そう言うと、リクは刹那の頭を撫でた。

「ん。もちろん、私がリクを守る。わかった、リクに従う。」

「私だって、リク君を守るからね。」

「じゃあ、手始めにドカーンと『爆砲』」

刹那が獣車に手を伸ばし魔術を放った。すると、獣車を中心に強烈な爆発が起こった。そこにいた人たちは、爆発に巻き込まれ塵も残らず消え去った。周囲にいた人たちも爆風に吹っ飛び消えて行った。それに耐えたものだけが残り、盗賊は十二人ほどになった。爆発の中心にいた獣車は何も起こっていないかのようにその場に傷一つなくあった。何よりも、先ほどまで盗賊と戦っていた老人の雰囲気が変わっていた。

「刹那、絶対あそこの獣車も一緒に吹っ飛ばそうとしたよね!あのおじいさんこっち睨んでるよ!絶対敵だと思われたよあれ!」

「うるさい。盗賊が集まるところに魔術放ったら、そこにあれがいただけ。邪魔。それに無事だったからいい。」

刹那はそう言うと、顔を横に逸らした。

「絶対わざとだよね。結果論じゃあ、あの人納得してくれないよ!」

アリサと刹那が話してる時もリクは老人と盗賊のリーダらしき人から目を逸らさず、警戒水位を上昇させていた。

「ッ!」

すると、二人が動いた。リクは目を逸らさなかった。だが、反応できなかった。シイが決闘の時使っていた魔術による瞬時の移動ではなく、身体能力によるものだった。リクは二人が動き出す動作するところまでは追えていた。だが、その先が見えなかった。いや、リクの反応速度を超えて二人がリクの前まで迫っていた。老人は、剣を構え、巨漢の男は巨大な斧のよなものを振りかざし、刹那とアリサも瞬時の判断が遅れた。

「硬障壁強化!」

すると、三人を魔術の壁が守った。ただ一人、老人と盗賊の動きを追えていたものがいた。シイは二人の動きを正確に追うことができ、魔術による障壁をリクを中心として三人の前に展開し、相手の攻撃に耐えれるように、障壁強化をした。瞬時に判断し、魔術を同時に二つ使用した。

「主!シイ殿の魔力が持たん!」

パルがそう叫んだ。シイは、瞬時に判断できたものの、二つの魔術を同時展開することに慣れておらず、力の加減ができず、魔力を展開の時点でほぼすべて消費していた。このまま展開し続ければ、シイの魔力が底をつく。リクはすぐに、現在の状況を把握し、支持を出した。

「刹那、シイに魔力供給を頼む。アリサは、俺と一緒に最前線だ。パル、聖剣だったよな。頼む力を貸してくれ。シイは障壁を解除してくれ。タイミングは刹那が指示してやってくれ。」

「「了解!」」

それぞれが、リクの指示に従い動き出した。

「パル!」

リクが叫ぶと、パルの先までの人の姿が消え、リクの手に黒く輝く剣が握られていた。リクとアリサはシイが障壁を解除したのと同時に動きだした。リクは巨大な斧を振るう盗賊へ、アリサはもう一方の老人へと反撃を始めた。

「小僧何者だ?あのじいさんもあんたらに敵対してるみてぇだから増援ではなさそうだが?」

盗賊は斧を振るいながらリクに話しかけてきた。

「確かに、俺たちはあのじいさんの仲間じゃねぇよ。通りすがりの一般人だ。ただ、あの獣車が欲しくてね。」

リクも表では余裕があるように話に付き合った。だが、相手の斧は強撃を大きさに似合わず素早く連撃を繰り出し、リクはそれを剣で受け流しながら、隙があれば剣撃を繰り出す攻防戦を続けており、リクは苦戦を強いられており、実際は余裕がなかった。

「なら、俺と手組まねぇか?俺はあのじいさんと獣車の中にいる奴に用があってよ。小僧と俺でかかればすぐに片が付くぜ。」

「それはありがたい提案だな。だが、俺は俺たちに敵対する、邪魔するものを排除するんだ。獣車の中に人がいるとしても、そいつは俺たちの邪魔になるようなやつかは分からない。だから、俺の敵はあんたとあのじいさんだ。」

リクがそう言うと、盗賊はその場を飛びのいた。

「食えない小僧だ。」

盗賊の威圧感が増した。リクは瞬時にそれが威圧感だけではなく、斧に強大な力が集束していくのが分かった。だが、どんな技なのかつかめない以上、リクは次の行動をどうするか決めかねていた。

「主よ、あのいかつい獲物にぶつかる寸前におもいっきり力を乗せてくれぬか、制御は我が行うので、我を信じてあとは存分に力を奮って下され。」

リクはパルの言葉を信じ、盗賊の攻撃に備えた。すると、盗賊は斧を大きく振りかぶりリクの前に飛んできた。大振りだが隙が無かった。リクに向かって振り下ろされる斧にリクは剣を振るい、パルが言った通り斧と剣が交わる瞬間に剣に全力の力を集中させた。そして、剣と斧が交わった瞬間、何かが砕けるような音がした。リクは自身に強い衝撃を受け弾け飛んだ。リクが態勢を立て直し、盗賊へ向かって剣を振りかざした。すると、盗賊は何も持たずに両手を上げた。

「俺の負けだ。愛斧が破壊されると思わなかったぜ。」

リクの振るった剣先は、盗賊の喉元で止まった。

「主よ、なぜとどめをささぬ?こやつは主に敵対した。排除すべき敵ではないのか?」

「いや、今はこれでいい。俺の勝ちだろ。なら、あんたの仲間を武装解除させろ。敵対の意思を見せれば、容赦なく殺すからな。あんたの仲間も同様だ。」

リクはそういうと、後方から襲い来ていた盗賊の一人を斬り捨てた。

「分かった。全員武器を捨てろ!俺たちの負けだ。」

すると、盗賊は皆武器を捨て、敵対する意思がないことを示した。

「小僧、それよりもいいのか、あれ。あのじいさんにお前さんの仲間苦戦してるみたいだが?」

そう言われて、アリサと老人が戦っている場所に目を移した。そこには、老人が剣撃でアリサに迫り、アリサはその剣撃を一つの剣で受け流している光景が見えた。その時、アリサの剣が砕けアリサに老人の剣が迫った。

「アリサ!」

リクが叫びアリサの元へ行こうとした。

「幻二光剣。」

その時、アリサの前に突然、光輝く剣を両手に持った刹那が現れた。そして、老人の剣を片方の剣で受け、もう片方で老人に剣撃を与えた。老人は突然のことに反応ができず、直接刹那の剣撃を受け、弾け飛んで行った。

「何をやっている。あんな相手ぐらいすぐに仕留めろ。不本意だが、お前が傷つくとリクが悲しむ。リクにいらない心配をかけるな。」

アリサは突然のことに訳も分からずいた。だが、すぐに気を戻した。

「ごめん、ありがとう刹那助かったわ。」

「お前の為じゃない、リクのため。それと、シイから新しいの預かってきた。」

刹那はそういうと、腰にぶら下げていた、一本の剣をアリサに投げ渡した。アリサはそれを受け取ると、老人が飛んだほうへ注意を向け、再び剣を構えた。

「おっさん、あんたに一つ頼みたいことがある。」

リクは横にいた盗賊へあるお願いをした。その時、遠くに飛んだ老人がアリサと刹那に向かい剣を構え飛んできた。アリサと刹那もそれに応戦しようと剣を振るった。

「アリサ、刹那そこまでだ。」

アリサと刹那の剣をリクは受け止めた。そしてリクの後ろでは、盗賊が老人の剣を受け止めていた。

「じいさんもそこまでにしてくれねぇか。俺たちはもうあんたらに敵対しねぇ。ここで剣を収めてくれるとありがてぇんだが。」

盗賊がそういうと、老人はリクの方をチラっとみた。

「分かりました。この場においては剣を収めましょう。」

老人も剣を収め、アリサと刹那は文句を言いながらも剣を収めてくれた。


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