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村人の成り上がり英雄譚  作者: ポテサラ
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魔族の言葉

新しい仲間も加わり、これからの話をしようと四人が集まった。刹那がリクの膝に座っても、羨ましそうに二人が見るだけで何も言わなかった。言っても仕方ないと思っているようだ。

「ここにいた魔族だが、村を襲った主犯で間違いないようだ。自分でそう言っていた。だが、裏では別のものが動いているようなことも言っていた。」

リクはそこまで言うと黙ってしまった。リク自身信じがたいことだったからだ。

「裏で動くものは人間。正確には、人間が魔族と手を組んで村を襲って言ってる。魔族はそこまで言っていた。そこは私もリクも聞いてるから間違いない。」

言い淀んでいるとリクの代わりに刹那が言った。

「ありがとう。」

リクはそっと刹那につぶやくと刹那の頭をそっと撫でた。刹那は気持ちよさそうにしていた。

「刹那が言ったとおりだ。だが、人間が裏で魔族と手を組んでいると言っても、誰が組んでいるのかまでは分からなかった。その前に魔族は突然現れた何者かによって殺された。」

リクがそういうとそれぞれが考え始めた。

「お兄ちゃん、突然現れたのは魔族なんでしょうか?」

「魔族ではない。人間だった。でも、力は人間の持つ力を大幅に超えていた。」

刹那がそれに答えた。

「でも、それが誰なのか分かればすべてわかるんじゃない?まずは、その人を追いかける?」

「それは許可できない。あなた達二人で行くなら私は何も言わない。でも、リクを連れて行くつもりならダメ。今のリクじゃあ、あの敵には勝てない。最悪、何もできずに死ぬことになる。」

刹那は淡々と答える。

「お兄ちゃんでも勝てない。」

刹那はアリサを睨みながら言った。

「ごめんなさい、これは私が悪かったわ。相手の力量を考えきれていなかった。」

アリサは刹那に頭を下げた。

「分かればいい。」

刹那はそれだけ言うと黙った。

「今後だが、王都にまず向かうのは最優先で行こう。この国の王なら何か知ってるだろう。まずは冒険者登録をした後、様子を見よう。そこから国王へ謁見を希望する。そこで何か情報を得れればいいし、得れなかったら情報を俺たちで探すしかないだろうな。」

リクは今後の提案をした。

「リク君、どうして村の襲撃の主犯を暴こうとするの?リク君は名を広めてマナを探す旅をしてるんだよね?わざわざ危険なことをしようとするの?」

アリサがそんなことを言うと、刹那は溜息をついていた。

「お前は、リクのことを何もわかっていない。」

刹那は初めて怒りを表に出していた。そんな刹那をリクが止めた。

「アリサ、俺は確かに師匠が見つかればいいと思う。そのために自分の名前を広めるために旅をしている。でもな、俺は村の襲撃で家族を失った大切なものを失った。俺はそこに何者かの思惑があるなら許さない。そこに裏があるなら俺はそれをすべて暴いてやる。そして俺の大切なものを奪っていった敵をこの手で殺す。それに、これ以上何かを失う者を見たくない。俺の手が届く場所にあるものは守りたい。もちろん大切なもの優先だがな。だから、俺の邪魔をする敵は全て殺す。」

リクは心に強く思っていることを初めて口にした。

「リク、それは強欲。手が届く限りの全てを守るのは無理。」

刹那はリクの考えを否定した。

「分かってるさ、だからできる限りだ。大切なものは絶対に守る。手の届くものはできるだけ助けたいんだ。」刹那はリクの言葉に納得したようだった。

「そっか、それじゃあ私はその手助けと、リク君を守ればいいんだね。」

アリサが笑顔でそう言った。

「思い上がるな、お前にリクは守れない。リクは私が守る。せいぜい、リクの足を引っ張るな。」

刹那は何かとアリサにちょっかいを出すのが楽しいようだった。

「お兄ちゃん、私もお兄ちゃんにふさわしい女になれるように頑張るね。」

シイは何か別のことを頑張るようだった。

「それじゃあ、ここを出たら王都に向かうんだね。」

「そうだな、王都に向けて本格的に出発しよう。」

リクがそういうと、四人は出口に向かい歩き出した。

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