不思議な子
刹那に傷を癒してもらい、魔力の共有によって魔力を回復した二人はふと気になった。
「この魔力リク君と同じ感じがする。温かくて心が満たされる感じ。」
「分かります。お兄ちゃんに魔力供給してもらった時、お兄ちゃんのぬくもりが分かるんですよね。それで心が満たされて、これからも頑張れるんですよね。」
アリサとシイは同じ感覚を分かち合っていた。
「それは、魔力が人に左右されるものだから。魔力は人誰でも持ってる。でも、強さ、量、質は変わってくる。それは人によって違う。それは人が持つ魔力の個性って言ってもいい。リクの持つ魔力は温かい。そんな感覚を思わせるような、癒される魔力。心を満たされるのは、理解できない。それは受け取る側の問題だと思う。だけど、私もリクの魔力の温もりは好き。」
刹那は、突然そのようなことを言った。
「今の言い方だと、刹那ちゃんに供給してもらった魔力はリク君のものだって言ってるように聞こえるんだけど?」
アリサは刹那の言葉に引っかかっていた。刹那に魔力を供給してもらったのに、刹那の言い方ではリクの魔力を供給したと言っているように聞こえた。
「私はリクの魔力を使ってる。だからあなた達に供給したのはリクの魔力。」
刹那は当然のように言った。だが、アリサとシイにはわからなかった。どうしてリクの魔力を使ってるのか、刹那の正体は何なのか。
「刹那ちゃんはいったい?」
アリサは曖昧な質問を刹那にした。
「リクが目を覚ましてから答える。私はリクと休む。あなた達は邪魔しないで静かにしていてくれるだけでいい。」
刹那はそういうと部屋の端に布を錬成してベッドを造り上げた。そのベッドへリクを寝かせ、刹那も寄り添うように眠った。アリサとシイはそれを見ているしかできなかった。
「アリサさん、刹那さんっていったい何者なんでしょうか?」
シイが口を開いた。
「分からないは、リク君の敵ではないみたいですけど、リク君が中心な考えの子みたいね。シイちゃんにとってはライバルになるかもね。」
アリサは冗談めかして言う。
「アリサさんも一緒じゃないですか。お兄ちゃんには後でいろいろ聞かないといけませんね。でも、刹那さん羨ましいです。」
シイは気持ちよさそうに眠る二人を見て呟いた。アリサも二人に視線を向け羨ましそうにしていた。
「二人が起きるまで、私たちが見張りしてよっか。」
「そうですね。今は考えても一緒ですし、刹那ちゃんは羨ましいですが、今度お兄ちゃんに頼んでみようかな。」
シイは本気でリクと寝ようと考えていた。




