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村人の成り上がり英雄譚  作者: ポテサラ
11/21

決闘

次の日、リクとアリサは別行動していた。リクは、自主訓練に行くと森に行き、アリサはシイと行動を共にしていた。

「シイちゃん、リク君がきっと連れて行ってくれる方法が一つあるの。」

アリサは一つの提案をした。

「本当ですか!」

シイは目をキラキラさせていた。

「リク君と決闘して勝てばいいんだよ。昨日の夜にリク君には、決闘のこと叩きこんであるから。」

アリサは簡単そうに言った、

「お兄ちゃんに勝つなんてできないよ。」

シイはムリムリと首を振っていた。

「大丈夫よ。対等な条件で、リク君に勝つ必要はないの。シイちゃんはリク君に一撃入れるだけでいいの。そのための手段は私が教えてあげる。リク君には悪いけど、敗北を味わってもらうよ。」

アリサは楽しそうにニヤニヤしていた。シイはそれを見て少し引いていた。アリサとシイの特訓は今日から始まった。その日の夜、

「リク君、一週間この村に滞在してもいいかな?ちょとやりたいことができたの。」

アリサはリクへ頼んだ。

「俺も少し調べたいことがあるから構わないが、村の連中がなんていうかが問題だな。」

リクは何か深刻そうな顔をしていた。

「村の人は喜んで許可してくれたよ。リク君どうしたの?調べもの困ってるなら私も手伝うよ?」

アリサはリクの顔を覗き込んだ。

「いや、まだ確信はないし、大丈夫だよ。気にしないでくれ。」

リクは優しく微笑んだ。一週間、アリサとシイは朝から晩まで特訓をした。リクは、毎日朝から晩まで森に出ては難しそうな顔をして戻ってきていた。アリサはそのたび心配そうにした。一週間後、リクのもとにシイが来ていた。

「これ受け取ってください。」

シイはリクに白い手紙を渡していた。リクはそれを受け取り見てみると、決闘状と書かれていた。

「お兄ちゃんに決闘を申し込みます。」

シイはリクにきっぱりと言った。

「リク君、受け取ったからには受けないとね。」

アリサはニヤニヤしていた。

「そういうことか、アリサが最近何しているかようやくわかったよ。謀ったなアリサ。」

リクはため息をついた。

「人聞き悪いよリク君、私はちょっと後押ししてあげてるだけ。」

シイは不安そうにリクの顔を見ていた。

「わかった受けるよ。決闘の方法は?」

リクは決闘手段を訊ねる。

「リク君が決めないの?決闘は受けたほうが決めれるんだよ。」

「分かってるさ、でもこれもよんでたんだろ?」

リクがジト目でアリサを見た。

「なんのことかなぁ。」

アリサは視線をリクから逸らした。

「方法は、一対一で魔術、道具の使用は可能で、一本勝利でどうですか?」

「分かった、勝利条件は?」

「お兄ちゃんの勝利条件は私に降参って言わせたらです。私の勝利条件はお兄ちゃんが決めてください。」

「いいのか?」

リクは驚いた。普通ならここで、自分の勝利条件さえ設定してしまえば、勝てるかもしれないのにと。「かまいません、お兄ちゃんに決めてほしいです。」

「じゃあ、キミが俺に一撃でも入れれたら、キミの勝利だ。」

アリサはニヤニヤしていた。リクは気にせず、話を続けた。

「賭けるものは?」

「私が勝ったら、私を連れて行ってください。村の人とお義父さん、お義母さんには許可をもらっています。お兄ちゃんが勝ったらもう、連れて行ってなんて言いません。」

シイは真剣にリクの目を見て言った。リクはその条件をのんだ。

「じゃあ、これより決闘を始めるわよ。判定は私が取ります。二人とも頑張ってね。」

アリサはリクとシイの真ん中に立ち言った。リクは何も持たずに立ち、シイは剣先をリクに向けて構える。

「準備はいい?」

二人がうなずく。

「始め!」

合図とともにシイが動いた。リクは動かなかった。シイはリクに向けて、剣を振り回した。一生懸命、振るう。だが、リクにそれが届くことはなかった。リクは全てを避け、シイのおでこを弾いた。リクは軽く強化系魔術を使っていた。シイは弾け飛び、遠くの木に当たって倒れた。

「アリサ、判定を…」

リクはこれ以上やる必要はないと、アリスに判定を促進したが、

「リク君、まだだよ。勝利条件忘れたわけじゃないでしょう?」

リクの勝利条件は、シイに“降参”と言わせること。リクはアリサを睨みつけた。アリサは何も言わず、シイを指さす。リクがシイの飛んだ方向を向くとそこには、立ち上がりこちらにフラフラと歩いてくるシイの姿があった。

「どうなっても知らねぇぞ。」

リクはそういうと、自分につけている“制限”を最大限に強めた。そうして、シイへと魔術を放った。シイは、地面を転がり木へと激突した。シイはそれでも、フラフラと立つ。今度はリクも目を離さなかった。

「ポート」

シイがつぶやいた。すると、目を離していないはずのシイの姿がリクの前から消えていた。コツン、リクの頭を軽く何かが叩いた。リクが振り返るとそこにはボロボロになったシイの姿があった。

「勝者、シイ!」

アリサがシイの勝利を声高らかに叫んだ。シイはそれを聞くと笑顔になり、リクへと倒れた。リクはシイを見て、気絶しているだけだと安心した。

「リク君、負けちゃったね。」

アリサは笑顔だった。

「あぁ、負けだ、負け。それより何だったんだあの魔術?」

最後にシイが使った魔術が気になっていた。

「あれは、シイちゃんが覚えていた魔術だよ。最初は私も驚いたけど、正確には移動できなかったからね。剣術を少し教えようと思っていたけど、こんな力があるなんてね。だから、この魔術をを正確に移動できるように特訓したんだよ。」

「そうか…」

リクは少し笑い。そっと、シイの頭を撫でた。

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