誠と天見
誠に金を渡し、食事を続けていると……
「ねぇ、幸希君」
「悪いが食事中だ。後にしてくれ」
「え……いや、食べながらでいいから……」
「人に見られていると食べられない性格なんだ」
「そうなの……」
「だから、どっか行け」
「……幸希君て、僕になんか冷たいよね」
「それはそうだろ。他人とそうそう会話なんてしていたくない。オレはな」
「他人って……幸希君にとって僕ってどんな人?」
「クラスメイト。それ以上ではないが、それ以下ではある。うるさい、対応が面倒だとかな」
「……友達とか……」
「ありえないな」
きっぱりとそう答えると、「うぐっ!」と唸っていた。
「じゃ、じゃあ、さっきまで話していたあの人は?」
あの人……誠のことか? ……て、いや。
「なぜそんなことを話さなければいけない」
「え? だって友達なのかなっと」
「それは、あいつに対しての人権の侵害に値するんじゃないか。答えるわけにはいかないな」
「いきなりで、意味が……」
「とにかく、オレはそんな問いに関して答える必要性を感じない。よって話さん」
「……じゃあ、とりあえず食事が終わったらまた来るよ」
力なくそう言って、天見は去って行った。
*****
食事を終えると、
「よう」
と言いながら、誠がオレの元へちょうど寄ってきた。
誠はそのまま横の席について、勝ってきたものを食べ始めていたが、オレはオレで誠のもう一つの目的のほうで話を進めることにした。
「それで? どうするんだ、暇つぶしのほうは」
「う? うん。いいんじゃね? 今のところは」
「いいんじゃねって……お前が言いだしたことだろ?」
「いや、だからいいって。お前といるだけで、別に暇じゃないし」
なんだそれ……いや……。
「よく考えるとお前といる時間と、お前と話している時間を照らし合わせてみると、思いのほかに話す時間は多くないな」
「だろ? それで、お前はその時間を退屈だと思っていたか?」
「いや、そうでもないな」
ふむ。オレも案外、誠と同じなのか……。
「じゃあ、いいよね?」
「うん?」
誠が声に反応してその方向を見た。だが、オレには見ずとも誰なのか分かっている。
「今は別に何もしていないから暇だってことでいいんだよね? 幸希君」
「なんだ? お前は他人の話を盗む聞きしていたのか? 最低だな」
「聞こえただけだよ!? さっきまた来るって言ってたじゃないか。だから……」
「とりあえず、どっか行け」
「なんでさ!?」
「お前のした最低の行動はオレの寛大な心が許してやるが、話を聞いていたのならオレ達が暇じゃないのは分かっているだろう?」
そうだ。オレ達は一緒にいるだけでいいんだ。それだけで、毎日が忙しい……。
「でも、なにもしてないよね?」
……………………。
「……………………」
「そうだな」
「おい!」
誠が同意するように声を出す。
「ですよね、じゃあ……」
「さっきも言ったが、オレは誠といるからな」
「それでいいよ? 僕がここで話しているので」
そう言いながら、オレの前の席に着こうとする。そしてそれをオレが止めた。
「駄目だ」
「え? なんで」
「……穢れる」
「何が!?」
「とにかく、駄目だ」
オレは天見の存在を完全に否定しておいた。
だから、早くどっか行け。
「別にいいんじゃないか? それくらい」
「そうだよね!」
……誠。お前……。
「なんでそんなにこいつの肩を持つんだ」
「え? 別にそんなつもり無いけど」
そうは思えないんだがな。
大体、明らかにリアクションが普通……というか馴染んでるよな、お前。この状況を。
そんなことを考えていると、誠の口からありえない言葉が聞こえてきた。
「だってこいつ、お前の友達だろ?」
「ちが……」
「そうです!」
「おい」
なにふざけたこと抜かしてやがる。この馬鹿は……。
「いや~本当のことを言われたら仕方ないよね~」
イラ。
「何を言ってるんだよお前は~~~!!」
「うわ~! だから頭グリグリは……痛いって、痛いって!!」
「ははは。仲がいいんだな、お前ら」
「そんなんじゃないから! 助けてよ~!」
「ははは……」
「ああああああ~~!!」
「なんかオレだけはぶられているような気がする! オレも混ぜろ!」
そう言って誠は、オレの後ろに回りこんできた。
「え?」
「お――りゃ~~!」
「うぎゃ――――!!」




