理想郷捜索部の過去~崩壊~
集まろうとしたその日。私は目的の場所へと向かっていきました。
そこは私たちにとって、とても意味のある場所――。
私たちが最初に見つけた理想郷――。
そこで会うことになっていました。
でも……!!
「うわ――!! 少し遅刻するかもしれないよ、これだと!」
(まったく、今日は大事な日だって言うのに……私の馬鹿!)
「これじゃあ、引き継いだのに示しつかないよ……部長なのに」
とにかく、今は急がなきゃ! 考えるのは後!
*****
はぁ、疲れた……。結局遅刻もしちゃったし……。みんなに呆れられるかな?
う~ん……それにしても、みんなどこにいるんだろう? まさか、私だけ遅かったからって除け者にしようとか!? いやいやないよね、そんなこと。あっても、せめてどこかに隠れて脅かすくらいでしょ。
「みんな~どこ~」
そう言いながら、適当に周りを探し始めた。
そして――。
「……え?」
私は何かを見た。でもそれが何か分からなかった。私は自分の目を疑った。
いや、分かっている?
分からない?
頭がその光景を処理しきれないでいた。
その状態がどれだけ続いたか……気づいたときには――。
どさっ。
膝から崩れ落ちていた。
理解した。
これは夢だ。
じゃなきゃ、ありえない。
そんなはずがない。
現実なわけは無い。
「……うぅ……ぐっ……う」
あれ……? なんでだろう? 涙が出てきた。
……悲しい。
確かに、これは悲しいことだよ?
でも夢なんだから……だから別に……割り切れば……それで……。
「あぁあぁあああああああああああ!!」
違うよ……。
現実だからだ。
だから……悲しいんだ。
これが現実?
…………大切な……人が、『倒れている』この光景が……?
赤に染まっているあの姿は……なに? 血?
だったら、死んでいるってこと?
……あれ? なんだっ……け?
なに考えていたんだっけ?
さっきまでなにを――。
「あああぁ……っぁ……あっ……」
ああ、そうだよ……。悲しいことがあったんだった。……何が?
……あれ? これはなに?
何があるの?
……はははっ……。
「うぁああああああああああああああああああ!」
もう目も開けていられなくなった。私は手で目を覆い隠し、下を向く。
……なんで?
なんで、こんなことになったの?
どうして?
私が……いないときに何があったの?
なんで……みんなが……死んじゃうの?
なんで?
何が悪いの?
なにが駄目なの?
――世界は何でこんなにも理不尽なの?
「う……あっ……」
「……!?」
誰かの声を聞いて、私は意識を呼び戻された。声のしたほうを向く。
「如月先輩……」
「……あっ……ぅ……ぐ。そこにいるのは……春風か?」
「はい……」
如月先輩は辛うじて声を出すことはできているが、どう考えても危険な状態だ。目を開けることさえできていない。
私はそのあまりにも無残な姿を直視することができず、顔を背けてしまう。
「いきなりで……驚いているだろうな、春風。……でもよかった」
「な……なにがいいんですか! そんな風になって……今から急いで救急車呼びますから……」
「いや……いい。どうせ、もう無理だ。助かるはずも……無い」
「そんなの……」
「分かる。オレには分かるさ。自分の体なんだから」
「…………」
「少し……御幣があったな。オレが……良かったっていったのは……お前には何も起きなくて……よかったってことだ」
よくない……。
なにもよくない……。
みんながそんな風になっちゃ……私は……。
「お願いだ……春風。お前は頑張ってオレたちの分も生きてくれ……。それだけでいいから……楽しく生きてほしい」
そんなの……私は……。
「でも……残念だ……な。もう、みんなと一緒に……遊ぶことできないなんて……」
悲しいこと……言わないでください……。
「もうひとつ……お願いだ」
「なんです……か……」
「オレ達の創った部活……理想郷捜索部を……残していってほしい……。それが、オレ達が存在していた……オレ達が共にいた証になるから……」
「…………」
「最後に……オレは……みんなのことが……だいすき……だった……よ」
「……………………」
「……………………」
「……先輩……」
そうして先輩は動かなくなりました。
もう……死んだんだって分かりました。
分かりたくないけど、それが事実なんだって……。
逃げることも許されずに……。
そうと。
「でも私は……認めたくない」
私の大切な人たちを奪った……この世界を――
私の大好きだった人を奪った……この世界を――
絶望した……理不尽なこの世界に――
何も無くなったこの世界に――
そして、今なお私がここに存在していることに――。
生きる意味さえ……もう……。
『オレ達の創った部活……理想郷捜索部を……残していってほしい……それがオレ達が存在していた……オレ達が共にいた証になるから……』
……駄目です。先輩。私には無理です。
みんながいなくなったら、私には……続けるなんてできません。
この世界にいることなんて……嫌です。
私はみんながいなかったら……。
ここにいないのなら……。
そうなのなら……。
私も同じ場所へ……同じところに行くよ……。




