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 「ホントに、ニホンショクは美味しいわ」 

 「エリスさん、小皿取って」

 「おい、誰だよ。

  俺の肉、食ったの」

 「ピエールじゃね?」

 「何を言うかね、釘宮」

 「要先輩、白菜要ります?」

 わいわいとした宴の席で、疑問を投げかけたのは、やはり大介。

 「なあ、あやめ」

 「どうしたのよ?」

 「なして、ここに、4人がいるわけ?」

 その4人とは、釘宮、吉村、要、半井。

 大介と同じ大学の面々が、どうしてエリスたちとしゃぶしゃぶをつついているのか。

 「ああ、大介が入学してすぐ・・・いえ、イタリアに行く少し前ね。

  奈良で起きた事件に巻き込まれてね」

 「そこで、あやめちゃんと、エリスちゃんに助けられて」と要。

 「見られたからには、記憶を消さなきゃいけないんだけど、生憎そういう状況じゃなかったから、“他言無用、今後私たちの捜査に協力”ってことを約束させたの」

 「そんなのアリかよ」

 「超特例よ。

  おまけに、全員、私に関係のある人物ばかりでしょ?」

 「あ、確かに。

  ってか、本当に協力してるのかよ」

 すると吉村。

 「おいおい、そいつは心外だぞ。

  これでも、口は堅い方だ」

 「それに、あの時は要先輩の弓矢に助けられましたからね」

 「おい、そりゃあ本当かよ、釘宮」

 「この目で見たからね」

 「この要夕陽の実力は、駐車場の賭け以外でも発揮したってことよ」

 今年に入って、何回驚かされただろうか。

 大介は、全員を見回す。

 「これが、私の信頼できる友達」

 そう言って、あやめは彼の耳元で

 「イリジネアとか、そういう深いとこまでは知らないけどね」

 と付け加えた。

 「さ、食べよ」

 吉村の一言で、宴が再開された。

 この際、小さいことは気にしないことにしよう、と大介は心に決め、箸を持つ。

 「後、もう1つ、いいか?」

 「何?」

 「この鍋、春菊入れ過ぎじゃないか?

  もう、見渡す限りの緑色だぞ!

  肉とか豆腐、どこに消えた!」

 ツッコミに、半井は冷静だった。

 鍋の一部分を指し

 「豆腐なら、多分この辺りだぞ?」

 「多分って・・・」

 「良いか、大介。

  鍋に国境はない!

  同じ具材を箸でつつけば、皆兄弟!」

 「吉村先輩。

  多分カッコイイこと言ったんでしょうけど、最低限欲しいですよ、鍋に国境。

  もう、これじゃあ一党独裁ですって!

  鍋奉行いたら怒りますよ」

 「大介って、鍋奉行だったのか?」

 「いや、違うけどな釘宮・・・」

 そんな時、大介のケータイが鳴った。

 相手は、以前四条大橋で会った、マコだった。

 「どうしたんだ?

  ちょっと、失礼」

 個室を抜け、外で電話に出た。

 「もしもし」

 ―――あ、大介君。

  今、大丈夫?

 「いいけど、何かあったの?」

 ―――タダシ君の様子が、変なの。

 「えっ?

  どういうこと?」

 ―――どこか、心ここにあらずというか、とにかくいつもの彼と違うの。

 「とりあえず、会って話を聞きたい。

  どこかで、落ち合えないか?」

 ―――今日は、バイトが合って無理。

  明日なら。

 「分かった。

  大丈夫だよ、奴の事さ。

  京都見物で疲れてるんだよ」

 ―――うん。

  少し、様子を見るよ。

  ありがとう、じゃあね。

 「じゃあ」

 ケータイを切った大介は、胸騒ぎを覚えた。

 高校時代でさえ、恋人を疎かにすることはなかったのに。

 だが、翌日、2人は会うことができなかった。

 翌朝から大気の状態が不安定となり、近畿を中心に大雨が降ったのだ。

 交通網も麻痺し、結局会えたのは、雨の上がった4日後であった。

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