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 挿絵(By みてみん)


 現地時間PM6:01

 大阪市 阿倍野区

 

 電車を乗り継ぎ、約1時間。

 目の前を“チンチン電車”の愛称で呼ばれる路面電車が走るマンションの一室が、大介の家である。

 オートロック付き3LDK、なかなかの物件である。といっても、一人暮らしではない。

 8F、部屋のドアを開けると、珍しく両親の姿があった。

 『おかえり』

 「ただいま。

  親父、今日は早帰り?」

 「いや。一度、着替えで戻っただけ」

 大介と会話する中年男性。

 亜門隼あもんはやと―仕事は警察官。

 大介が中学3年の時までは藤井寺ふじいでら署にいたが、高校になって阿倍野あべの署に異動。

 今では警部となり、大阪府警本部に勤務している。

 そんなに異動が多いのか、警察って。

 「ただ母さんは、もう仕事上がりだから。今夜は家にいるぞ」

 「へえ、そうなの」

 「仕事は上がっても、家事が残ってるわ」

 「今夜の夕飯、何?」

 「ブリの照り焼きよ」

 キッチンに立つ女性。

 亜門沙奈絵あもんさなえ―府警科捜研の研究員。

 つまり2人は、警察内結婚という訳だ。

 長らく大介の養育で一線を退いていたが、3年前から復帰した。

 腕は少し落ちたらしいが、産休前は、関西でもプロの研究員だったそうだ。

 「ところで、カノジョとは上手くいってるの?」

 沙奈絵は大介に聞く。

 「カノジョ?」

 「あやめちゃんよ。

  イタリアのお土産、渡したでしょ?」

 大介は苦笑して答えた。

 「別に、カノジョじゃないよ。ただの幼なじみ。

  大学で、偶然に再会しただけ」

 すると隼。

 「そうだよ。大介には、新しいメル友の女の子がいるんだから」

 「あ、その子がいたわね」

 「だから違うって」

 「だって、まだ連絡しているんだろ?」

 「時差がアレだけど・・・そういえば、来てるのか?」

 大介は自室へ向かい、パソコンの電源をつける。

 案の定、2通のメールが―――

 「2通?」

 1通はエリスからだった。

 「明日・・・京都!?

  時間からして昼ごろ・・・か。

  お休みパターンだな。あやめに連絡して・・・」

 もう1通は、あやめからだった。

 ―――明日、急用ができて、京都に行きます。

    講義のレポート、よろしく!―――

 「“よろしく!”じゃないって!」

 大介はケータイを出す。

 「よし、釘宮に任せよう」

 メールを打っていて、ふと思った。

 同じ日に、知っている女の子二人が、同じ場所に。

 面白い偶然だな。

 さらに思考は回って。

 <そういえば、親父もペンダントの話をしたとき、今日のあやめと同じ事を言っていたよな?

  これも、偶然?>

 大介の頭は、答えを出せなかった。

 その時、部屋の外から、両親の会話が聞こえてきた。

 「京都ですか?」

 「お客さんが来るから、それでな」

 「まさか、高速の一件とチップ・・・」

 「その、まさか」

 「・・・大変なことになりそうね」

 「事件もそうだが、大介も大変だ」

 「あの子と関わっているから、いざという時は、あの子の意見を尊重するわ。

  でも、私たちのたった1人の子供よ。 

  もし、危ないことにでもなったら・・・」

 「分かってる。俺も、彼女から言われたよ。

  私たちのことを知ってもいい頃じゃないかって」

 「そう・・・」

 大介にはさっぱりだった。

 しかし、親父も京都に行くなんて。

 チップ?彼女?私たちのこと?

 大介は、ベッドに寝転がり、天井をただ見るしかなかった。


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