だれかこいつにいい病院を紹介してあげて!?
「─────────────は?」
とてもネタっぽいことを聞かれた俺は当然戸惑った。
いい病院を紹介しなくてはならない……と
「世界を変える?何痛いこと言ってんの?」
「いや、意味そのものだよ。あと、ネタじゃないからな」
「真面目にそう言っているのなら病院行くことをオススメするんだけど?」
「大真面目なんだけど……」
なんか泣きそうになってきてるから、少しは信じてやるか。
もし事実だったら、興味がそそられない話ではないしな
「じゃあ、仮に俺とお前が契約したら、俺は具体的にどうしなければならないかだけ教えろ。話はそれからだ」
「いろんなことをします。管理されていない世界に戻すってのが、当店のキャッチコピーとしていますからね。」
キャッチコピーすか。抽象的に言ってる感じからすると、いろいろ面倒事が回ってきたりするって感じか?
「俺が、元の世界に戻るという選択肢はあるのか?」
「はい、あります。でも、僕と契約するともう戻れません」
なるほど。
今までの暮らしかこいつと共に未知なるリスクを背負うかどちらを選ぶのか?って感じかな?
「ちなみにお前って男?女?」
「見てわからないんですか?あなたの目は節穴ですか?節穴ですね!」
「この感じからすると…………女?」
「女ですよ!最後の疑問形もなんか腹立つし!」
ここで、俺の中で少年?の概念は完全に消え失せ、これからの事が光の速さで結論づいた
「なら、結論は一つだ。お前と契約してやる」
「突然の上から目線ですね。やっぱり腹立ちます」
「世界を正さないかって言われたら、断れないだろう」
「本音は?」
「少女と一緒に世界を変えるとか、異世界へ!とかって男なら一度は憧れるからですね!」
そうだろ、みんな?そう思うのは俺だけじゃないはず!ロマンだよな?ロマンだ!
「まぁ、そんなとこだと思ってましたよ。じゃあ、契約の儀を行いましょう」
「なにすんの?」
「あなたが、私の耳を少し噛むだけです。」
「えっ……」
女子の耳を噛むのか?リアルアマガミ?非リアの俺にはレベルが高すぎだぞ……
「俺がやらないといけないのか?お前がやるんじゃいけないのか?」
「はい、それだとこの門が通れないのです」
この門は、内の世界の者しか通れないらしく外の世界の者の俺は内の者と契約しないといけないらしく、しかも、内の者が受ける側(耳を噛まれる)じゃないと外の者が内扱いされない
みたいなことを話された
「でも、耳噛むの恥ずかしいというか、普段女子にお近づきにすらしてない俺には厳しいのだが……」
「嫌なら、くっくちびるでもいいそうですが……///」
と、真っ赤な顔で少女は言ってきた
「さっきより難易度上がったよ!?まだ耳の方がマシだ!」
今は、そう言いましたが、後になって残念がってる俺もいたのは内緒です
「じゃあ、耳でお願いします……」
「わかった、じゃあ……失礼。────────はむ」
「ん────あんっ」
彼女はなんかいつもとは違う艶っぽい声を発し、俺はイケナイ妄想の世界に入りかける直前に……
「これで、契約は成立したはず?だと思います」
といういつもの声が聞こえ、ふと我に返った。
そして彼女をチラッとみると、真っ赤な顔を必死に隠していた
その仕草をみて俺は……
『最初は、男だと思ってたけど意外と可愛いかもしれない』
などと少しでも思ってしまったことが恥ずかしくなった
そこで自分に異変が起きていた
俺の右手の甲が光りだしたのだ!
「うおっ、何この紋章!?」
「これが、契約の証だって本に書かれていたような気がします?」
「まさかの疑問形!」
そして俺は、あることに気がついた。この柄ってあの門と同じような……
と、無意識のうちに門に向けて体を動かしたその時!
『不審物発見!不審物発見!直ちに取り押さえろ×2』
急になりだす警告音に驚いていたら、
「チョォォォォイ!何やらかしちゃってんの君!管理人にバレちゃったじゃん」
とお叱りをうけ、
『次に飛んでくるであろう拳をなんとか回避しなければっ!』と思った俺は
「いっ今は、そんなこと言ってる場合じゃないだろ、これからどうするんだよ?」
「まぁ、そうだね。話はあとで(この世の者とは思えないようなとっびきりの笑顔で)」
うん、回避できなかったよ、多分……
「多分敵が来るはずだ。今から僕が戦うかもしれないけど、君は自分の名前を考えてろ。」
なぜ?と思った俺を理解してくれたみたいで
「あの世界の住人だとバレると面倒だし、この門を通ると名は変えれなくなる」という補足もしてくれた
そんなことを話していたら、取締役員みたいな人?精霊?天使?と言葉では表せない奴らが、2人現れたー
と、少し驚きを感じてたが、隣りでもっと驚くことが起こっていた。
漫画やアニメで出てきそうな悪魔みたいな翼が学ランを突き破り生えたのだ!
次の瞬間『黒炎の錬金術』と叫び、どこからか炎を呼び出しそれを剣状に形成して敵に襲いかかった。
ところまでは、肉眼で把握できたが、それ以降は振動と音しか感じられない状況が続いた
しばらくすると、かなり消耗した悪魔っ娘が声をかけてきた
「名前は、決まったか?決まれば、門に飛び込みたいんだけど」
相手二人でお荷物を守りながら戦うのは流石にきつかったみたいだ
「全く浮かばねぇわ(笑)」
「(笑)かぁ、早くしないと貴方の命は保証できませんよぉ、ふふっふふふふふ……」
やばっ、怖い。昔やったホラゲー思い出すぐらい怖いよ
「俺は、もともと理系の人間だしなぁ。お前が考えてくれない?」
「名を考えるのに、理系も文系も……って、僕が考えていいの?」
「おう!……ってこっちを見るんじゃなく敵を見ろ!怖いから!」
などと、余計な話をしていたら悪魔さんの攻撃が外れ、敵達の攻撃が悪魔さんに当たる瞬間に……
『裁きの反転』
またよくわからん呪文を唱えたら、悪魔さんが負うはずの傷がなくなり、敵がその傷を負っていた
「門に向かって走れ!僕が考えた名前を伝える」
「わかった!」
さっきの攻撃で敵が怯んだ隙をつき、俺たち二人は走り出した
門に向かって走るとデビルさんが耳打ちして名を教えてくれた。
ほう……結構いいじゃないか
「黎乃 ハヤト……か。今更だが、お前の名前は?」
「僕?名前なんてないよ。名無しだよ」
「ないのか。なら俺がつけてやるよ」
「苦手なんじゃないのかよ⁉︎すぐ思いつくのなら、門を通る前に教えてくれ!」
えーっと、適当なこと言っちゃったけど、どうしよう
すぐには思いつきそうにないんだけど……
コイツは、女の悪魔……女悪魔?
あっ……ならこの名がピッタリだ
「思い浮かんだ!お前の名前」
「なになに?」
「おまえの名前は、リリスだ!」
「個人的にはもう少しカッコイイ名前のほうが良く、痛さが混じってる感じが良かったんですが口出しはしないでおきましょう」
口出してるよなぁと思いながら、俺たちは魔法石の扉に向かって飛び込んでいった