白と黒の交差点
暇潰しの独り語り、はじまりはじまり。
正義と悪は表裏一体―――そんな話を聞いたことがあるような気がする。英雄と殺人鬼が良い例だ。英雄はたくさんの人から敬われて、憧れの対象だけど逆に殺人鬼はたくさんの人から鬱陶しがらて、畏怖の対象になっている。結局のところ周りにどう思われるかなんだと思う。僕が道端で婦女暴行の現場を見つけて暴力で解決しようとする。女の子から見たら…いや、周りから見ても僕はきっと正義の英雄に見えるだろう。でも、殴った奴がもし、警察官だったら?婦女暴行ではなく、女の子が万引きをして逃げようと暴れたから仕方なく押さえつけていただけのなんの罪もない警察官だったら?正義の英雄だと思われた僕の行為は、もれなく犯罪者を擁護する悪者のそれだ。正義である警察官と悪者である女の子、そして偽善の一般人である僕。あまりにも滑稽な光景。正義を自分の正義により圧倒し悪者を助ける失笑ものの喜劇。この話で僕が語るべき教訓は「人間の敵は正義であって、悪ではない」と言うこと。だってそうでしょう?正義ほど邪魔な障害はないんだから。
正義と悪について五分考えてみてください。めんどくさかったら別にしなくてもいいけどね。