33.『舞踏会』
舞踏会が開催される四日前、王国に緊急の知らせが入った。
エラン公爵領に位置する南西の国境にて大規模な隣国の軍が侵入したという報告。ただちに召集された会議によって、国軍を送ることが決定された。
間もなく王弟殿下の帰国を祝う舞踏会が行われるということで、国軍の派遣はひそやかに行われ、その情報も重臣たちだけに知らされた。
城の守りには近衛騎士団だけが残されることになった。
***
周りの騒ぎを置いて、舞踏会ははじまった。
王宮の大広間だけでなく、中庭まで使い、招待した貴族の数に見合うように盛大に舞踏会は開催された。きらびやかな衣装を纏い、舞い踊り、歓談し、宴を楽しむ数多の貴族たち。
その中心にいるのは、国王であるアーサーとその妃レティシア、そしてパーティーの主役であるカルダス王弟殿下だ。たくさんの人が彼らを取り囲み、笑顔で会話を交わす。その周りにも国王や王妃と会話したそうに見つめるものたちや、憧れの視線で眺めるものたちがたくさんいた。
側妃たちにも彼らの支援者たちが群がり、楽しそうに話をしている。パーティー会場は広くとも、知り合いを見つけた貴族たちは寄り集まり噂話に興じたり、食事をしたりしていた。
ベアトリーチェはそんな光景を、会場の隅っこでぼんやりと眺めていた。ベアトリーチェの周囲には誰もいない。
しかし、ベアトリーチェは正直ほっとしていた。あの噂が流れている今、パーティーでの周りの視線が不安であった。
でも、それは杞憂であったことに気付く。ほとんどのものはベアトリーチェの顔など知らなかった。
「この舞踏会にあのベアトリーチェが参加しているらしいわ。」
「まあ、何処にいるのかしら。レティシアさまがいらっしゃるのによく参加できたものね。」
「どこにいるのかしら?」
「それが、見つからないらしいのよ。一目でわかるほど醜い顔立ちをしているって話なのに。」
「逃げかえっちゃったんじゃないの?」
「あはは、きっとそうね。」
そう噂し合う貴族たちが、ベアトリーチェの前を通り過ぎる。彼女たちの瞳が、ベアトリーチェを見ることなど一度も無かった。
ベアトリーチェは安堵の息をついた。これならパーティー終了まで問題なく過ごせそうだ。
「あの、あなた…。」
後ろから声を掛けられ、ベアトリーチェは驚いて振り向く。自分の顔を知っているものがいたのだろうか。
振り向いた先にいたのは、茶色い髪に、地味な色合いのドレスを着た少女だった。少しおどおどした緊張した表情でこちらを見つめている。
「あなたももしかして、初めての参加じゃないですか?私、田舎の方の貴族で、王都の舞踏会に参加したのは初めてなの。見知った人もぜんぜん見つからなくて、心細くて…。もしよかったら一緒にいてくれない…?」
少女の格好はここに集まる貴族としては少しやぼったい恰好だった。たぶんベアトリーチェが来ているドレスが既製品なので、同じ事情だと思ったのだろう。
気恥ずかしそうに頼む少女に、ベアトリーチェは困った顔をした。少女の心細そうな表情は、力を貸してあげたいと思う。でも、この少女は自分がベアトリーチェだと知らないから話しかけてきたのだろう。それに自分がベアトリーチェだと周りにしれた時、この少女まで悪評を被ることになるかもしれない。
返答をためらったベアトリーチェに、少女は悲しそうな顔をした。
「ご、ごめんなさい。急に話しかけて迷惑でしたよね。あうっ。」
そういって振り向いて去って行こうとした。すると、注意が散漫だったのかテーブルに体をぶつけてしまう。
どんっとぶつかった拍子に、飲みかけのまま置かれたワイングラスが倒れてしまう。残された液体は少なかったが、それでも滴が落ち少女のドレスを汚す。ベージュの生地に赤い染みがポツポツと写る。
「どうしよう~…。」
少女はそれを見て泣きそうな顔をする。あわててハンカチを出して拭おうとするのを、ベアトリーチェは止めた。
「待って。こすっちゃだめよ。ちょっと待っててね。」
ベアトリーチェは給仕を見つけ、白ワインを受け取ると、それをハンカチにしみこませた。
「少しごめんね。」
そしてハンカチで染みになった部分を優しく叩いていく。困惑した顔でベアトリーチェを見つめていた少女だが、染みが少しづつ消えていくにつれ目を丸くする。
「すごい!」
「これで一応は大丈夫だと思うわ。」
レティシアとフィラルドにいたころ、こういうしみ抜きの方法も一緒に学んだのだ。
「すごいわ!まるでうちのばあや見たい。」
きらきらと尊敬の目で見てくる少女に、少し心が痛くなる。ベアトリーチェは少女の名前を尋ねた。
「あなた名前はなんていうの?」
「えっと、アリエーヌ=メルシです。」
メルシと言えば、エルサティーナの北方に位置する子爵の名前だ。ベアトリーチェはパーティー会場からここまで来た時の記憶を巡らす。そして、広大なパーティー会場の一方を指示しアリエーヌに尋ねた。
「あそこに北方のベリューシ伯爵の集まりがあるけど、あなたの見知った方はいないかしら?」
少女はそちらに目をむけ、数回瞬くと、嬉しそうな声を上げた。
「あっ!いました!」
その表情を見てベアトリーチェはホッとする。
「良かった。もう大丈夫?」
「はい!」
アリエーヌはベアトリーチェの教えた方角に駆け出そうとするが、ふと気づいて振り返る。
「あの、あなたは?一緒にいきませんか?」
「ごめんなさい、私はちょっといけないの。」
アリエーヌはその答えを聞いて残念そうな顔をしたが、気を取り直しベアトリーチェに訪ねる。
「あの、せめて名前だけでも教えてください。」
ベアトリーチェはその言葉にまた困ってしまう。偽名でも名乗った方がいいのだろうか。だが、ベアトリーチェが答えを決めるまえに後ろから声がかかった。
「ベアトリーチェさまでいらっしゃいますね。」
ベアトリーチェが驚いて振り向くと、そこにいたのは金色と翡翠の瞳。だが、ベアトリーチェの知っているあの人とは違う。面立ちも似ているが、その瞳はアーサーのものとは違い、どこか高慢な雰囲気を宿している。
ベアトリーチェはその人を見て、すぐに名前を思いついた。
「カルゼス王弟殿下でいらっしゃいますか?」
「はい、その通りです。」
その貼り付けたような笑みは、マルチダと良く似ていた。
「カルゼス殿下…。それにベアトリーチェって…。」
アリエーヌは急な王弟殿下の登場、それに自分が話していた少女の名前をしり目を見開く。そしてベアトリーチェをまじまじと見つめる。アリエーヌもあの歌を知っていた、むしろ王国の他の少女と同じように憧れていたりもした。あのベアトリーチェがこのパーティーに参加すると聞いて、怖いとおもいつつも一度ぐらい見てみたいと思っていた。
でも、自分にとても親切にしてくれた優しげな少女が、あのベアトリーチェなんて…。
「そこの君は少し向こうにいっててくれないかな。ベアトリーチェさまとお話ししたいことがあってね。」
固まっていたアリエーヌだが、王弟殿下の言葉を聞き、びくりと立ち直る。
「は、はい。」
そしてベアトリーチェの方を最後にちらりと見て、侯爵たちがいる方に駆けていった。
「一体私に何の御用でしょうか。カルゼスさま。」
ベアトリーチェはカルゼスの方を向き尋ねる。その表情を見て、カルゼスは再び笑みを作るとベアトリーチェに言った。
「そう警戒しないでください。私はあなたの味方です。」
そういってカルザスはベアトリーチェを人気のないバルコニーまで誘い出した。
カルザスの言葉にベアトリーチェの胸に嫌な予感が渦巻きだす。私の味方というなら、誰が敵だというのか。
「最近まで他国に留学していた私ですが、あなたへの酷い待遇は聞いてます。とても辛い思いをされているでしょう。」
カルゼスはベアトリーチェに同情するという表情を作って言った。
「そうでしょうか…。」
「はい、陛下のあなたへの冷遇は、とても一国の王女に対するものではありません。いくら陛下とはいえ、横暴すぎます。あなたも不満をお持ちになってるのではないでしょうか。」
「……。」
そんなことはない。アーサーさまは同情でも自分を側妃として置いてくれた。感謝こそすれ恨むことなんかない。そう言いたかったが、ベアトリーチェはぐっと堪えた。
王弟殿下までが陛下を批判する。これはとても大きな危機なのかもしれない。少しでも情報が欲しかった。そしてなんとかこのことをアーサーさまに伝えたい。
「私にはあなたをお救いする策があります。」
続いたカルゼスの言葉に、ベアトリーチェは反応した。
「どういうことでしょうか。」
「そのためにも、あなたの協力が必要なのですよ。そうすればあなたの待遇をぐっと良くすることができます。」
「いったい何を…。」
「はは、警戒しないでください。そんな恐ろしいことではありません。簡単なことです。」
もう少しだ。ベアトリーチェは思った。しかし。
「ベアトリーチェ!」
カルザスの言葉を遮る、強い声が会場に響いた。金色の髪に、翡翠の瞳、美しい容姿と威厳を漂わせた王の姿。だが、舞踏会で来賓の貴族たちと接していた時とは違い、その雰囲気は硬質なものとなっている。
「これはこれは、兄上。どうされましたか?」
カルザスは慌てて笑みを取り繕う。
「カルザスか…。いったい何を話していた。」
「少し歓談させて頂いただけですよ。ねぇ、ベアトリーチェさま。」
笑顔で話しかけるカルザスに、ベアトリーチェは迷った。ここでアーサーさまにカルザスさまを怪しいと思ったことを伝えるべきか。でもまだ決定的な発言は得られていない。自分の思い違いかもしれない。何を馬鹿なことを言っているのかとさらに失望されるかもしれない。
一方、周りではベアトリーチェという言葉を聞きつけた人々が集まっていた。あの噂の魔女を一目みてみたい。陛下の御前なのであからさまに見ることはできないが、まわりの貴族はそちらをちらちらと見る。
初めてそれを見て受けた印象は、みな驚きだった。
ベアトリーチェの噂から皆が想像していたのは、いじわるな顔をつきをした醜い女だったからだ。だが、今、ベアトリーチェと呼ばれている少女は、蜂蜜いろの髪をした優しげで可愛らしい少女だった。
呆然とその容姿を見つめていた周りの人々だが、ベアトリーチェの格好を見回しやっと噂との妥協点を見つけていく。
「ほら、あのドレス見て、良くできているけど既製品よ。側妃が着るようなドレスではないわ。やっぱり冷遇されているのね。」
「確かに顔は可愛いかもしれないけど、魔女って呼ばれる女だものよっぽどうまく化けているのよ。」
まず貴族の女たちが、そういって彼女を貶す言葉を見つけていく。
「しかし、意外な顔立ちだったな。」
「あの容姿なら陛下から捨てられた後は下賜されたいというものもいるかもしれんな。」
そんな下卑たる言葉まであった。
耳にするのもつらい言葉が、ベアトリーチェの周りで囁かれる。救いは会場が広く、一部の貴族にしか知られることが無かったということだろうか。
そして何故かアーサーの機嫌は先ほどよりもさらに悪くなっていた。
だが、ベアトリーチェはこぶしを握り締め、陛下に進言しようと思った。ただ今この場で不確定な疑惑を告げるわけにはいけない。だから後から陛下に、話だけでも聞いてもらおうと。この嫌な予感だけでも伝えておきたいと。
「アーサー陛下」
「もう良い。ベアトリーチェ、もうお前は帰れ。」
しかし、ベアトリーチェの言葉を遮るように、アーサーさまから言葉が告げられた。
「兄上、それはあんまりです。ベアトリーチェさまは私が招待したのですから。」
カルゼスはベアトリーチェを引き留めようとする。
「だめだ。もう戻れ。ベア。」
それでもアーサーの態度は変わらない。
「はい…。わかりました…。」
そもそも自分の杞憂なのかもしれない。王と王弟殿下を引き裂くようなことを告げるのは、やめたほうがいいのかもしれない。そう思ったベアトリーチェは折れた。
周りの人間は嘲笑を浮かべ、うつむくベアトリーチェを見る。
「やっぱり、アーサーさまに嫌われているのね。舞踏会にも参加して欲しくなかったそうよ。」
「レティシアさまを酷い目に合わせた罰だ。いい気味だよ。」
俯いたまま舞踏会の場を去ったベアトリーチェを、群衆たちは見送った。その中には、あのアリエーヌもいた。
「ベアトリーチェってあんな女だったんだね。ちょっと意外。でもそれ以外は噂通りだったね。」
アリエーヌと合流した友達の少女はいった。
「ちがうもん…。」
「え、なにかいった?」
アリエーヌが呟いた言葉に、少女は聞き返す。
「あの人はとても優しい人だったもん。みんなが噂するような、ベアトリーチェじゃない…。」
アリエーヌの呟きは、魔女をあざける喧騒の中ではあまりにも小さく、誰にも気づかれることなく飲み込まれていった。
***
レティシアは落ち込んでいた。
今度の舞踏会、レティシアは張り切っていた。
これこそ、みんなの誤解を解くチャンスだと思っていたのだ。ベアトリーチェはいままで、パーティーに参加することが無かった。だからレティシアがどんなにベアトリーチェさまを擁護しても、レティシアの同情と優しさから来るものと勘違いされ、真剣に受け取られることはなかった。
でも実際にみんなの前で二人が親しいことを見せれば…。アーサーさまとのことで溝ができてしまっていたとしても、一日だけでも元の二人の姿を見せることができればみんなの誤解も解けるに違いないと。
それに、今度の舞踏会をきっかけにベアトリーチェさまが行事に出られるようになれば、アーサーさまの気持ちがベアトリーチェさまのほうに向くチャンスも増えるかもしれない。
はやく王妃としての役目を果たし、ベアトリーチェさまの傍に行こう。
そう思ったレティシアは、アーサーとも離れ精力的ににたくさんの貴族たちと話した。そして帰ってきたときには、ベアトリーチェは舞踏会の会場にはいなかった。
噂を聞いてみれば、アーサーさまに会場から追放されたと。
冷や水をあびせられた気分だった。なんで、ベアトリーチェさまの傍にもっといようとしなかったのだろう。王妃の役目など後からでもできたはずなのに。
舞踏会が終わり部屋で沈むレティシアを侍女たちは心配そうな目で見る。
コンコンコン
そんなおり部屋の扉がノックされた。
「なんでしょうか。」
侍女が扉を開け応対する。扉を開けた侍女は、一通の手紙を持ってきた。丁寧に折りたたまれた紙に、貼ってあるシールを見てレティシアは目を開いた。
「それは!」
それはマルチダとの間にやり取りできるように作った直通の文だった。
「見せてちょうだい。」
レティシアは侍女から手紙を受け取ると、せわしなく文を開けていく。そしてその文章に目を通し固まる。
『ベアトリーチェさまに大変なことが起こりました。今夜中にベアトリーチェさまの部屋にお越し頂けないでしょうか。』
その文章と共に、ベアトリーチェの部屋の場所を示す図が書かれていた。
「出かけてくるわ!」
顔色を変えて、立ち上がった王妃を見て侍女たちは慌てる。
「今からでございますか?」
「ええ、急がなければ。」
そう言って、今にも駆け出そうとする主人に、侍女たちは慌てて言う。
「せめて侍女をお付けください。」
正直、ベアトリーチェさまと会うのに侍女は付けたくなかった。でも、それよりも今は一刻でもはやくベアトリーチェさまのもとに行きたい。
「では、フラミとカーラをお願い。」
「は、はい!」
呼ばれた侍女は、部屋を飛び出してしまった王妃に慌ててついていく。
「どこに行かれるのですか?」
「後宮よ。」
(ビーチェさま…。)
深夜の人気の静まった王宮を、レティシアは駆けた。
***
ベアトリーチェは部屋の中に一人でいた。
結局、カルザス殿下が何を考えているのかもわからなかった。悪い予感はする。でもそれが何なのか、はっきりとした形は見えてない。
首にかけたペンダントがかしゃりと揺れる。その中に写っているアーサーさまの写真。
(大丈夫…。きっと大丈夫よね…。)
ベアトリーチェは大切な人を想い、憂い、思考の海に陥る。
しかし、それは扉を叩く音で、現実に引き戻された。
誰かしら、侍女長?それともマルチダ?
そう思い扉を開けたベアトリーチェの目に映ったのは、意外な人物だった。
「大丈夫ですか!?ベアトリーチェさま!」
「え、レティ…?」
そこにいたのは舞踏会でも顔を合わせることがなかったレティシアがそこにいた。心配そうな顔で部屋に入ってくる。
そして部屋を見回して呆然とした顔をする。
「なんですか、この部屋は!?」
冷遇されているとは噂に聞いていた。でも、これほどとは思っていなかった。侍女もいない、家具も衣装もほとんどないこの部屋に、フィラルドでベアトリーチェさまの離宮にはじめて訪れたときを思い出す。
こんなにひどい扱いを受けていたなんて…。
レティシアの連れてきた侍女たちも部屋に入り、わけもわからず部屋を見渡す。
「急にどうしたの?レティ?」
その言葉にレティシアは正気に引き戻される。
「あ、私、マルチダからビーチェさまが大変なことになったって聞いて。でも何故こんな酷い扱いを。アーサーさまひどい…。」
しかしその意識は、現状のベアトリーチェの扱いと行き来して定まらない。
「マルチダから…?どういうこと…?」
そのときハッと気づく。レティシアの後ろに、マルチダがいつの間にか立っていることに。
マルチダは笑みを浮かべていた。いつものような張り付いた笑みじゃない。本当の、本物の笑いを。そしてベアトリーチェは予感した。
「まさか…、狙いはレティだったの?」
「え、ビーチェさま?マルチダ、ビーチェさまが大変なことにってどういうこと?」
ベアトリーチェはレティシアへ捲くし立てるようにいった。
「はやくここから離れて!レティ!はやく!」
「え、どういうことですか…。」
困惑するレティに、マルチダは笑っていった。
「もう、遅いですわ。」
ガチャ
部屋の扉が閉じられる。
「あ、あれはなに!」
薄暗いベアトリーチェの部屋に魔法陣が現れた。そして黒い鎧を着た男たちがその中から出現した。
「いやあっ」
「レティシアさま!」
男たちは逃げる間もなく、その場にいたレティシアたちを拘束した。ベアトリーチェはとっさの判断で、マルチダがいる扉をなんとか抜けようとする。
自分だけでも逃げて、アーサーさまに状況を報告しなければいけない。
しかし後ろから男たちにとらえられ、口元に布を当てられる。睡眠薬が含まされていたのだろう、わずかに息を吸い込んでしまったベアトリーチェは意識を失った。