真実
えと、今文章の修正してます
もうちょっとで全部できます
駆け寄ったジークを無視してウルがアイリスの元までやって来る。
驚愕に目を見開く一国の王。
冷や汗を流し床に膝をつく王女。
凍てついた空気。
そんな中を平気で進んで来るウル。
アイリスの目の前に指の長い細身の手が差し出される。
見上げれば嫣然と微笑むうるの姿。
「床は冷えちゃうわよぉ? お手をどうぞ、お姫様」
軽くウインクを寄越され、アイリスの緊張の糸が一気に緩んだ。
両手で口を覆い、ぽろぽろと泣き出す。
そんなアイリスを優しく抱きしめ、ウルは今だ腰を浮かし、驚愕に目を見開く王に微笑みかけた。
「このような状態で失礼いたします。私、グレンが妻、うる・グレニーと申します」
「あ、ああ」
背を撫でられながら、アイリスは驚いた。
いつものねっとりとした話し方ではなく、はっきりとした言葉遣い。
ウルがくすりと笑う。
「用件だけを単刀直入に言わせていただきますわ。発言してもよろしくて?」
ウルの落ち着いた態度に、落ち着きを取り戻した王は椅子に座りなおし、首肯する。
しかし、今度はその重たいはずの椅子を倒してしまうほど驚愕する事となる。
ウルの、その赤い口から紡がれた言葉によって。
発言許可を得たうるがにやり、と笑う。
そして、言った。
「銀山を、手放しなさいませ」
「!?」
予想も出来なかったその言葉に、誰もが耳を疑った。
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この国にも昔、名があった。
しかし、圧倒的な力で周辺国を落としていく大国、ブロレジナに組してから名を奪われ、名を失った。
信じられないほどの屈辱。
それでも民のことを思えば、戦だけは避けたかった。
グレンが、征服王と名高いブロレジナ国王、ヴァッツ・ローレス・メヌ・ブロレジナとの仲裁に入ってくれたため、名を奪われるだけで済んだのだ。
名も無きブロレジナの属国。
そう言う肩書きがついただけで、制約すらない。
名が無いだけで、今まで通り独立した一国と言って良いだろう。
そんな国が近年、領土内に銀山を発見した。
その山は道も無い無法地帯な上、獣も多く、山賊が住み着いて居り、今まで誰も近づこうとすらしなかった。
しかし、その山賊の羽振りが急に良くなったのだ。
不思議に思い重い腰をあげて山賊を討伐し聞き出したところ、山で銀が取れることが分かった。
そうとわかればこれを放っておくわけがない。
すぐに山の開拓が始まった。
内密に。
もちろんブロレジナ対策だ。
知られれば根こそぎ奪われる可能性がある。
だからこそ慎重に、内密にことに及んでいたと言うのに、ヴァッツ王が誤魔化されることは無かった。
ブロレジナ国が戦の準備を始めたという間諜の知らせに焦って、こちらから先手を打ったのだ。
国と国と繋ぐ婚姻……つまり、アイリスとジークの。
しかし、それが失敗に終わろうとしている。
「言っておくが貴様に残された選択肢は二つだ。銀山を明け渡すか、もしくは……今度こそこの国を滅ぼされるか、だ」
「そんな! 一度は婚姻を了承したではないか!!」
約束が違う! と息をまく王をジークが鼻で笑う。
「それは父上が出した条件であって俺は了承していない。……こちらに来る時、父上は何も言わなかった。そう言うことだ」
「……始めから、戦を仕掛ける気だったと」
ぐっと拳を握る陛下。
「少し違うな。俺がそこの女と結婚すればお前が言った通り平和にことは済んだだろう。しかし俺は結婚しない。そして父上は反論しなかった。……つまり、父上にとってはどちらでも良いのだ。婚姻による和平でも、侵略による征服でも」
陛下はぶるぶると震え、怒りを静めようとしている。
そんな緊張が高まる中、場違いな声が発せられる。
「欲をかいた人間のなんて浅ましいこと。……まぁ、そこが面白いんだけれどぉ」
「っ! あなたはっ……くそっ」
ウルの一言に激昂しかけるものの、ぐっと堪える陛下。
ウルは不思議そうにそんな王を見ている。
「どうして銀山をお渡しにならないのですか? それで全て解決ではありませんか」
「簡単に言わないで貰いたい。我が国の経済発展に関る重大なものだし、もし明け渡したとして、何故我が国が荒らされないと言いきれる?」
「……それは失礼いたしました。しかし、こうなった以上アイリーン姫の結婚の話は無かったことになります。一緒に退席させていただいても?」
「……ぁあ、下がってくれ」
疲れたように手を振られ、呆気に取られているアイリスとジルをウルは引きずって退席する。
当たり前のようにジークも着いてきたのだった。
+++++++
ぱたん、と扉が閉ざされそれをアイリスは信じられない思いで見つめていた。
優しく手が包まれる。
「良かったわねぇ。これでアイリーンちゃんの問題は解決したわよぉ?」
「私、結婚しなくていいんですか」
「えぇ」
「でも、私のせいで国が」
「あらん?それはここに居るジーク様のせいだからアイリーンちゃんは悪くないわよぉ?」
「…………」
「おい」と後ろでうるに抗議しようとしているジークを無視してウルがアイリスににっこりと笑いかけた。
「さ、旦那様のもとに帰りましょうか」
「……はいっ」
久しぶりに、アイリスが満開の笑顔を見せた。
のだが。
「……どういうこと? 説明してくれるかしらぁ? ロベルト」
「知らん。急に居なくなった」
そこはウルが始めに居た部屋。
ここでゼノとロベルトが待っているはずだった。
なのに。
「……私、確か大人しく待っててって言わなかったかしらん」
「言ったな」
「じゃあ何であなたのお兄さんはここにいらっしゃらないのかしらぁ?」
「だから、急に出て行ったんだ」
「……私、信用されてなかったってことぉ? あ、アイリーンちゃん気にしちゃ駄目よ。あなたの旦那様は恐ろしく間の悪い方だった、って言うだけだからねぇ?」
ウルの言葉に、アイリスは笑おうとして、失敗した。
やっと会えると思ったのに。
ぽろぽろと涙を流すアイリスを見て、ジーク以外の誰しもが思った。
あの馬鹿は何をやっているんだ、と……。
助けるのゼノじゃないのかよ!……って思った方、いらっしゃるかもしれません。
いや、本当はかっこよく助けさせようと思ったんですよ?
でもそんなのゼノじゃない!って思ってw
ゼノさん失踪しましたw
実は作者、三点リーダーなるものを知らなくてですね
・・・スペースで…でるの知らなかったんですw
ちょっと進化w
後はくぎりの直線が分かればいいな…とか思ってたりww
とにかく公爵を進めたいので頑張って進めます…