第一章2 『はじめてのなかま』
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しばらく歩いていると徒歩五分ほどの場所、
冒険者ギルドらしき施設へ入っていく男が二人、
女性が二人の、
四人組の若い男女を見かけた。
一人で入るのはボッチみたいで恥ずかしかったので
さり気なく流れるようにヒロアキもギルドへ向かって入ると依頼を受け付ているカウンターへ向かう。
ギルド
依頼を請け負いクエストをこなして賃金を稼ぐ
さまざまな冒険者が集う場所。
受け付の女性は清楚な感じの美女。
「次の方。何かお困りになられましたか?」
「えっと……ギルドに来たのは初めてで、冒険者の登録をするにはどうしたらいいですか」
「そうですね。冒険者の証しであるプレートを作成いたしますのでこちらの用紙にお名前と趣味、特技などを記入してください」
冒険者プレート
クエストを受けるために必要なアイテム。
冒険者だということを知ってもらうための名刺や資格みたいなもの。冒険者は階級制で高いランクの依頼を受けるほど冒険者ランクが上昇していくシステムになっている。
もちろん、難しい難易度の高いクエストほどその報酬も高くなっていく。
俺はひきこもりでコミュ障の何の取り柄もない、学校でも誰かとまともに話した回数も少ない普通の男。
趣味は読書。人に自慢できるような大したことも何も無いごく普通の男だが、
元居た世界では運動部に所属していたので体力には自信があった。
志望動機は何を書こうか頭を悩ませていると、近くのテーブルで先ほどギルドへ入っていく時に見かけた四人組の冒険者に声をかけられた。
「ねぇ、君もしかしてクエストを受けるのは初めて?もし良かったらこれからダンジョンへ行くんだけど人手が足りなくて困っていたんだ。一緒に来ないか?」
「ん? 丁度よかった。
俺もこの国に来たばかりで、右も左もわかんなくって
困ってたんだよ。ぜひ参加させてほしい」
男の隣りにいた魔法使いらしき格好の美人な容姿のお姉さんが続けて、
「依頼人のおじいさんに洞窟へ行って薬草を取ってきてくれって、頼まれちゃってね。
これから向かうダンジョンは魔物の群れがうろついていて
近づけなくて……。
あなたが良ければ私たちと組まないかしら」
――魔法使い冒険者のお姉さんは、こちらに握手を求めてきた。女の子から手を握られたのは何年ぶりだろうか小学生?
いやもっと前、
以来だろうか、恥ずかしくなった俺は少し歩くのがぎこちなくなってしまい動きが変になってないか
キョドってしまいそうになった。
「い……いえ、ぜんぜん構いませんよ。俺、暇ですから」
なんか、言葉が変だ。イントネーションとか変な感じになっていたか?カッコつけた様な感じになってなかっただろうか?ここに来て陰の者、
特有のコミュ障が出てないか不安になってきた。
なにもおかしい事はない。
女性と手を握られて繋いでいること以外は。
冒険者の男や他二人のメンバーとも自己紹介の握手を交わした。
――しかし同時に嬉しい気持ちでもあったのだ。なぜなら
見知らぬ土地、右も左もわからない異世界に呼ばれて最初に通じ合えた
なかま。のような気がしたから。
「お話し中、申し訳ありません。ヒロアキ様の冒険者プレートが出来上がりました」
四人組の冒険者たちと雑談しているとプレートが完成したようで
受け付嬢が持ってきてくれた。
冒険者ランクの階級は一番下からルーキー、ブロンズ。シルバー、ゴールド、プラチナ、マスター。と現在のLvに応じて棲み分けされている。
Lvを上げて冒険者ランクの階級と、ステータスを上昇させれば職業に応じたスキルが開放されて転職が可能になる。初期クラスということで
俺はルーキーからのスタートとなった。
「こちらをお受け取り下さい。冒険者ルーキーになられた方へ
ほんの少しばかりの贈り物です」
受け付嬢さんから冒険者を証明するプレートと銅貨と銀貨が数枚入った
巾着袋、
一緒に皮で出来た鎧と盾が手渡された。
「きっとあなた様の旅に役立つと思います」
「はい、ありがとうございます! 有効に使わせてもらいます」
ヒロアキは出立の支度を済ませ、ギルドを出て四人組の冒険者と一時的にチームを組んでダンジョンへ向かう事となった。
はじめての異世界での探索にテンションが上がって
心が踊った。
……しかしこれが、あんな最悪な結末になろうとは。
まだ俺は知る由もなかった――。
もしセリフに間違いや抜けている箇所があったら
すみません。
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