第一章完『次の場所へ』
誤字脱字など所々ありますが、大目に見て下さい
これで第一章は閉幕です!
ここまで、
お付き合い頂き心より感謝申し上げます。
セリフをもっとこうした方が読みやすいよ!とかのアドバイスや誤字の指摘などありましたらコメントお願いいたします
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静寂に包まれる盗賊団アジトの内部、ノックも無しに突如現れた二人の人物にリカルダは額から汗を流し恐怖した――。
「よぉ、リカルダ。こりゃ派手にやられたな、で――誰にされた?」
「何で……てめぇらがここにいやがる! 犯罪組織アマネセルが何の用だ! ジーズ!!」
丸い坊主頭に巨漢で筋肉質な体格をしているジーズ呼ばれた男は眠そうにしながら応答する。
「お前が何で、誰にのされてンのかは知らねぇよ。――けどボスからの命令だ」
「利用価値が無くなったオレ様を始末しに来たってクチだろ?! っざけんじゃあねぇ!」
逆情したリカルダは武器を持って襲いかかる!
しかし、もう一人の男がリカルダの大きな腕を赤子をひねるように掴んでみせると、いとも簡単に無力化してみせた。
「思い上がるな。貴様の代わりなどいくらでもいる」
「お前は、 名門アルターアグニル家の大魔術師――白狼のカガミ!!」
大男で肩ほどの長さの銀髪に凛と整った美形な顔立ち。ピラミッド形の中央に目、果実と蛇の刺繍があしらわれたシンボルのコートを羽織っており、逆扇に輝く黄金の鋭い瞳をしている。
「リカルダのやろう状況が見えてねぇらしいですぜ?白狼の旦那。アイツ、俺たちにボロボロの状態で1人で歯向かうつもりか?」
「――――ッ!!」
白狼のカガミと名乗る男の眼を直視した瞬間――大きな破裂音とともに、リカルダの胸が斜めの方向へ引き裂かれ大量の血が雨のように降り注いだ!
「な、なにをしやがった」
「アマネセルはメンバー全員が科学現象や魔術の類ではない、異能の力を有している」
「ましてやガキ共一匹殺せないヤツが、旦那や俺らに勝とうとする方が無理ってな話ではあるがな」
「オレの能力はこの世のあらゆる物資を粒子レベルで分解、思う通りの形で生成し再構築する能力――他にも能力がある。そして――――」
大きな血溜まりの中でぐったりと倒れている盗賊はもう息をしていない
「ダメっすよ――こいつもう死んでやがる」
「戻るぞ、俺たちの目的は冥王の力を持つ娘と特異点なる人物を捕まえること」
リカルダの心音が停止したことを確認すると二人組の男は姿を消した。
冒険者、ヒロアキたち一行に犯罪組織アマネセルの魔の手が迫ってきていることも知らずに――。
※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
盗賊たちに囚われの身となっていた人々は解放されてヒロアキよりも先に国へ無事、帰還できたことを知らされる。
進んで来た行路を引き返して三時間後――ようやくヒロアキ達は王様の待つ、スビルカ王国へと帰ってくることが出来た。
「おぉ!!……これは我が国の宝『竜神の兜』確かに本物だ! よくぞ無傷で取り返してくれた。 えぇっと……名は――ヒロアキといったか?」
国王の声が宮殿に響く。
余りにバカでかい声量にヒロアキはうるさい音だなぁと愚痴を心の中で言いつつも何処か懐かしさと、恐ろしい悪から自分たちが生きて無事に帰って来れたことの喜びを噛み締めていた。
「――そんな馬鹿な?! 最低Lvのブロンズ冒険者ごときが王の依頼を達成するなんて」
「何かの間違いではありませぬか、今一度お確かめを。 まさか……きゃつらが虚偽の報告して宝を盗もうとしているのでは?!」
盗賊の討伐の噂をききつけて集まった、高価な衣装を着飾った官僚や高官、大臣たちの怒号が飛び交う。
一切表には出さないが、猫獣族のリーフィアや剣士レイナ、メリアの三人は呆れ返るほか無く、会話を聞いている。
「……よせ。国の宝である宝具は本物、――行方不明であった市民を賊から助け出し、生きて還ってきたことが彼らが善である者という何よりの証拠ではないのか」
「国王がそうおっしゃるのでしたら……」
疑うのもわからなくはない、どこからきたかも知れぬよそ者の言うことなど信じろと。
だが、俺達は実際に盗賊から捕らえられた人たちを救い出し盗まれた竜神の兜を持ち帰ってきた。
それは紛れもない事実なのだから――、
「冒険者よ。褒美は何がいい? 好きなものをやろう」
「――では、私どもにお力を貸しては頂けませんか? それと長期の旅に必要な食料と馬車を」
「うむ……わかった、お主らに助けが必要な時は力を貸すと約束しようぞ。食料と馬車はすぐに部下へ手配させよう」
腰掛け深々と玉座に座る王はメリアの願いを聞き入れそれに承諾する。
俺達はそれぞれ王へ敬礼し、玉座の間を出て城下町へと向かった。
「ふぅ~、疑いが晴れて良かったね!ヒロアキ。私、ドキドキしちゃって」
「そうだね、盗賊の脅威も去ったし」
軽いステップを踏みながらレイナはこちらへ気さくに話しかけてくるのを俺は相づちをうって返事をする。
思わず視線が二、三回バウンドして弾む大きな胸にいってしまいそうになりながらも必死に抵抗した。
「私は別にリーダーのことはまったく信頼してませんけど――」
「おいおい、メリアさん。そこは仲間なんだから少しはちょっとの優しさというものをですね……」
「どこをみて話してんですか、このスケベは」
「何を〜〜!! お前、ちょっとはデレてみたり愛想よくしろってんだよ。お友達増えないよ?!」
「は? は? 何か文句でもあるんですか。戦闘面でも足手まといで大して活躍してなかったヒトに言われたくないわ」
相変わらず俺への対応が酷い、口が達者な饒舌のメリアはジト目で俺を睨みつけながら悪態をつく。なんだか夫婦漫才をしている気分になる。
「ご……ごしゅ――ヒロアキ様、これからどうしましょうか?」
「お腹も空いたしメシでも食いに。休憩してそれから次の町へ出発しよう」
レイナの服の袖を掴んで彼女の後ろをくっついてトコトコと歩いているのは猫人族の少女のリーフィア。
なんていい子なんだ、幼いこの歳で弱音の一つも吐かずに付いてくるなんて。俺もリーフィアを見習わないといけない。
町はとても賑わっていて石や木で出来た建造物が立ち並ぶ西洋風な場所だ。
辺りは出店や屋台から食べ物のおいしそうな匂いが立ち込めていて、食欲をそそられる。大きなコック帽の看板を掲げる店の前でメリアが足を止めた。
「いらっしゃい、お客様」
広々とした店内にカウンターに立っているエプロンを着た店主に話しかけられる。
皆それぞれ席に着くと、
「オヤジ、俺は定食ね。隣の小さい子にはこれと同じものを1つ」
「私は――パンを」
「じゃあ私は、これと……これをお願いしまーす」
しばらく待っていると注文した料理が各テーブルへ運ばれてきた。
「いただきます」
ナイフとホークを使ってリーフィアは器用にミニハンバーグの上に旗のついたお子様ランチを頬張る。
「リーフィア、美味いか?」
「――うん!」
結構、俺らと出会ってずいぶん経つからか以前の初期の怯えたような彼女の様子はほとんどなくなっている。
自信を取り戻してくれているのはリーフィアにとっては良いことだ。
少しして、レイナの料理が運ばれてくる。
それを見て俺は驚きのあまり一瞬だけ固まってしまう。
なんと、一般男性が食べる二倍ほどの量の野菜とステーキの山だった。
「では――いただきます♪」
上品に、かつ綺麗な作法のままレイナは巨大な量を料理をあっというまに平らげてしまった。
「す、すげぇな。なんでこんなに食えるんだよ」
「ん? 普段は少食でこんなに食べないんだけど……だってここ数日何も食べてなかったし、運動した後でお腹空いてたんだもん」
連邦……いや、ドラグニアの女剣士は化け物か?! なんつー食欲。全ての栄養がおっぱいに吸収されてんじゃねぇか?!
いっぱい俺だって転生する前に日本で食べてたよ、食べてたけどさ。
筋肉だけ付いて肝心な身長はまったく伸びないし、学校では不良どもに昼食を抜かれるしで散々だったってのに――――。
「あんちゃん? お会計。銅貨20枚に、金貨1枚ね」
「今支払う、ちょっと待ってくれ」
(えーと……ドラグニアの紙幣は、円に換算すると)
銅貨=500円玉
銀貨=1000円札
金貨=1万円札
(だったような……久しぶり過ぎてうろ覚えだけど――ってメシ1食くっただけで2万円もすんのかよ?! 1日分の食費じゃなくて? おいおい、ドラグニアの物価の価値、人件費入れても高過ぎだろ?!)
「あ、あの……お客様?」
「なんで外食するだけでこんな値段すんの」
顔面蒼白で冷や汗をかくヒロアキは店主へ尋ねる。
「色んな国ごとの村や街の商人は、ものを売る値段を自由に決めたり出来る制度を導入してるとこと、してない場所があるのさ」
「そうなんスか?」
――俺が初めて王都へ転生された時に武器商のおっちゃんが格安で装備品を譲ってくれたことがあったが……本来なら金貨何百枚もするはずの値段を半額にしてくれてたのか。
「最近は魔族が攻めてきていてね、値上げせざるを得ない状況なんだ」
「「「ごちそうさまでした」」」
女性三人組のメリア、レイナ リーフィアは店主へお礼を言うと店を出て事前に予約していたホテルへ向かう。
「ちょ、ちょっとどこ行くのお嬢様方! ホントにお礼を言わないといけない相手が目の前にいるじゃない?!」
「何故あなたに感謝しなくてはいけないのでしょうか? まだ出向まで時間はありますし、少しはみんなの為に出稼ぎへ働きに行ってみたらどうかしら」
酷すぎる。
ぶっ刺さる冷たい言葉を俺に投げかけてくるメリアの正論をただ受け入れることしかできない。
「ヒロアキ、ごめんね〜! 最後の宿が三人分しか空いてなくて、今日は男女別なの。あとで必ず埋め合わせはするから、貸しってことにしといて。お願い!」
「申し訳ございません、ごしゅじんさま」
両手を合わせるポーズをしてレイナは謝罪。
彼女が現代にいたら間違いなく売れる! 弱男を勘違いさせてガチ恋の被害者を生むと思うよ?!
とりあえず一度解散して今日、俺だけ古めの宿を見つけたのでそこで寝泊まりをして過ごすことにした。
そして夜が明ける――――
街の入り口の城門前に四人全員が習合。
きのう王様が約束した通り、門の前には1台の馬車と中に1週間は持つであろう食料の入った積み荷があった。
「準備は整ったけど次はどこへ向かえばいいんだ?」
「ここから近い都市はヘルクダールだね、2日もあれば着くと思うよ」
世界の大陸や地形が描かれた地図を広げてレイナは指差した。
次の目標地点について話しあっているとスビルカ国王を護衛している内の臣下の1人が声をかけてくる。
「冒険者ヒロアキ御一行様、こちら先日の依頼の報酬でございます」
「ど、ども」
手渡された金袋の中を確認すると、銀貨800枚ほど入っているのがわかった。
「800枚……っつーことは、約40万円?! 大金じゃあないか」
「国王様が盗賊を倒してくれたお礼にと。 それと次の都市までは、わたくしが馬車を引かせて頂きます」
「そいつは有り難い、よろしくお願いします」
本格的にファンタジー物語的な雰囲気になってきたのを感じたヒロアキは冒険に胸を踊らせる。
俺と仲間たちは馬車へ乗り込むと次の目的地へ向けて出発した。