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はぐれ転生者で異世界活動  作者: 双葉きずな
第一章『異世界からの来訪者』
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第一章9『ラスボス現る?! 白銀の竜』

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「すごい、すごい快挙ですよ!これは」



冒険者ギルドの受付嬢のお姉さんが目をギラギラさせて言う。



「そうなのか?」



「当たりまえだのクラッ……ナントカーじゃないですか」



「いや、ネタが古いし何でこっちの世界のギャグ知ってるの?」



俺は受付嬢さんの話しをカウンター越しにずっと聞かされていて昨日は昨日で国王と謁見で緊張してバキバキ、正直もう開放させてほしかった。



「で、そのすごいってのは?」



「この冒険者ギルドが創設されて以来……誰1人として直接、国王様からクエストを依頼されたパーティーはいませんでした。初ですよ?ハツ!」



嬉しそうにしながら受付嬢はカウンターから身を乗り出した。

その勢いで重力に逆らった巨大な胸が振り子のようにグワングワンと大暴れしている。



その光景を冷ややかな目をしたメリアが小言で俺に毒を吐く、



「アナタはそういうのも趣味だったんですか……引きました」



「俺に対するお前の好感度とやらはいつになったら上昇するんだよ」



「――たぶん永遠にないですね。パーティーの仲間として手を貸すことはありますが」



これでメリアからのバッド評価をまた1つ貰ってしまったようだ。ゲームみたいにはそう上手くいかないらしい。



「ねぇねぇ、ヒロアキ。旅に行こうよ〜。はっやくーー」



「ごしゅじん様が向かう場所ならどこへでも」



リーフィアとレイナは気さくで性格も良いしホント愛想がいい!。

そういえば昨日の魔族を撃退した事により俺達のパーティーの知名度は、一気に広まった。



「あれが噂の魔族を討伐したというパーティーか……」

「いったい誰が倒したんだ?あの男じゃないな、何だか頼りなさそうだ…………黒髪の娘か、剣士の姉チャンなのか?それともあの幼女か」



頼りないは余計だ。別に言わんでも良いだろうが。

冒険者ギルドを利用している他の人たちがヒソヒソ声で話をしているのが聞こえる。



「さぁ、リーフィアちゃん。早く冒険へ出発しよう」


「そうですね!レイナさん」


「俺が先頭な?」


「――私は別に…構いませんが、迷子になって足手まといにはならないでくださいよ。違う世界から来た人間さん?」



メリアの吐く毒が少し気に入らないが、とにかく冒険者としての第一歩が踏み出せそうだ。


「頑張ってくださいね。私はあなた達、ヒロアキさんたちを応援してます!」


「ありがとう」


受付嬢のお姉さんと握手を交わすとギルドを出て王国を後にしたのでした。

レイナが持っていた地図を広げて、周辺に何があるのかを確認する。

草原を抜けて東に進む、俺達は途中で休憩を挟みながら歩いた。

数時間後――


すると俺の目の前に洞窟が見えた。



「洞窟があるよ。ヒロアキ、中へ進んでみようよー」


「ごしゅじん様、何か魔王への手掛かりがあるかも知れません。行ってみませんか?」


お尻に生えている尻尾をフリフリしながら猫人族のリーフィアが俺を見ている。



「迂闊に行くと危険ではないでしょうか?」


「うーん、そうだなァ……」


多数決で決めた結果……渋々、洞窟の中へ入ると岩の壁に囲まれていて行き止まりになって進めない箇所を発見する。

そこで、メリアは魔法を使って大爆発を起こし、大きな岩の壁を打ち砕いた。

崩れた壁の先には、新たな道が広がっていました。


「薄暗くて良く見えないし、気味が悪い場所だな」


「アナタが、パーティーのリーダーでしょう。後ろが閊えているのでさっさと進んでください…」



「へいへい」


暗い洞窟を進むヒロアキ達の前に恐ろしい魔物の群れが襲いかかってきた!


「デビルスパイダーと、ひとつのウサギの群れですか……厄介ですね」


「でも、倒さないと先へは進めない。やるよメリア!」



「ええ、レイナ」



メリアはそう応えると、

詠唱と共に下から魔法陣の円を出現させると魔物の周辺に、複数の火柱を打ち上げて攻撃する。



「焼かれなさい、『灼熱の炎撃柱フレイムウォール』っ!」


ひと角ウサギをメリアは倒した!



「えーーーーーぃ………とりゃあ!!」


デビルスパイダーは小さな羽の生えた蜘蛛で浮遊している。

レイナは高くジャンプすると剣を大きく振りかぶって魔物へ、二刀流による素早い連撃を繰り出した。

そのまま魔物たちを真っ二つにする。



攻撃の振動で小さい落石があったがリーフィアは防御の魔法を唱えて、



「『煌めく星のトゥインクルシールド』!」



防御魔法で俺たちを包んで落下してきた岩から防いでくれた。



「お怪我はありませんか?皆さん」



「ありがとうございます。リーフィア、頼りになりますね」



えへへとリーフィアは微笑む。


倒しながら奥まで進んでいくと、洞窟の最深部にはファンタジーやゲーム作品でよく目にしたダメージを受ける床のようなモノが配置されていた。



「なんだこれは、俺はてっきり宝物やそれを守っているボスキャラが出てくるのかと思って期待してたよ」



「ヒロアキ。その、ぼすきゃらっていうのは何のこと?」



何のことか分からず不思議そうな顔をしてレイナが訪ねてくる。



「あ、いや……いいんだ。こっちの世界の話。気にしないで」



ダメージ床?おれ聞いてねェよ。マジで異世界あるあるの大型イベントが発生してくると思ってたのにーーーー!しかも誰から見てもトラップだって分かる仕組みだし、自分から踏みに行かないわ。


歩いたり踏むとダメージを受ける床は、

よく単純作業になりがちなダンジョン攻略に緊張感を持たせる仕組みとして多くのRPGに採用されているモノだ。



「リーダー…………アナタがパーティー隊長なので代わりに触って確かめに行ってみてくださいよ」



「おい、メリア。無茶いうなよ!もし本当にダメージを受けたりしたらどうする?!」



なんだ大型イベントは無しかよ。と思って俺がうなだれていると――。


「きゃーーーーーーーーーーーーッ」


この声はリーフィアの悲鳴だ。



「――リーフィア!」


先ほどの戦闘で脆くなっていた足場の一部が崩壊、大きな音を立てて崩れる。

崩れた岩の足場と一緒にリーフィアが落下していく。

ヒロアキは今まで見た事がないくらいの速度で体操選手並に走っていくと、

俺は落ちていく彼女の手をしっかりと掴んだ。


「絶対に手ェ放すなよ。いま助けてやるからな」


「はい、ごしゅじん様」


メリアとレイナは俺が巻き込まれて落ちないように俺の体を支えてくれていた。



「リーダー?しっかり掴んでいてください」



「大丈夫だよリーフィアちゃん、助けてあげるからね」


徐々にリーフィアの俺を掴んでいる手の力が弱くなってくる。

――もう誰ひとり死なせるもんか!俺は掌から血が出るくらい必死に掴んで引っ張るも、俺の思いは虚しく落差30メートルはあるだろう。リーフィアの手が解けて落ちていってしまった……。


「私が救助しに行ってくるからヒロアキは待ってて!」


剣を地面へ突き刺しロープを自分の腰へ巻いてレイナは、

急勾配の坂道みたく不安定になっている岩場を駆け下りて行ってしまった。

俺もロープを付けて続いて向かおうとしたがメリアに引き止められる。



「リーフィアーーーーーッ!」



真っ暗な崖の下へ続く大穴へ向かって俺は叫んだ。

最悪もしかしたら死んでしまったかもしれない。けれど助かって生きていてほしい。両方をイメージしてしまう。 ――その時、龍巻が起こったかのようなものすごい突風が洞窟の中へ吹き荒れる。


「ガオォォーーーーーーーーーーーーオッ!!」


この異世界にきてから聞き覚えの無い音が、爆音で洞窟全体に鳴り響く。

同時にこの世の者とは思えない、異形なバケモノのシルエットの影が俺の目の前に見えた。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




大穴の下から眩い光と共に羽の羽ばたくような音が聞こえた。何かがこちらへ接近してくる、人ではない、その巨大なシルエットの姿が露わになる。


「な、なんだこれは?!」


ヒロアキたちが見たそれは、四つの足に爬虫類を思わせる体、鋭い爪と牙を具え、大きな翼を広げて飛んでいる長い尾をもった怪獣。ファンタジーでは最もメジャーな、伝説の最強生物。

白銀の鱗を持ったドラゴンの姿だった。


「う……嘘だろ。魔王とか飛び越えていきなりラストボス討伐の超大型イベント発生かよ?!」


リーフィアは生きていた。

体には傷1つ無い。

レイナとリーフィアが着地したのは硬い地面ではなく、白銀の巨竜の背の上にいた。

巨竜が、一言訪ねてくる。


「お二方、ケガはないでしょうか?鱗が少々硬いですがお許し下さい」


いま何と言った? 言葉を話せる?まさかドラゴンが喋ったのか、竜のイメージっつたら西洋のファンタジー作品に出てくる悪の象徴、『もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんをお前に〜 』という台詞が印象のラスボス的存在だろう。


穏やかで優しい口調には敵意が感じられない、男性でもない。その声は女性の喋り方や声に近かった。



巨竜は広い地面に降り立つと、そっとリーフィアたちを降ろしてやった。


「ヒロアキ。すごいねー、ドラゴンだよ。私、初めて見ちゃった」


「俺たちを助けてくれたのか?なんで」


「今はワケあって事情を話すことができません……が、私はあなた方人間に敵対する意思はないという事だけは知っておいてほしい」



ドラゴンからは食ってやろう。とか殺してやろう。というのは感じられない、鋭くも怖そうな眼光をしているが口調は穏やかだった。


「助けてくださってありがとうございます」


「ドラゴンさん、ありがとう。名前とかあるの?」


レイナとリーフィアは白銀の巨竜にお礼の言葉を伝える。



「名前、ですか強いて言うなら――」


しかし、巨竜の羽ばたく翼で吹いた風と洞窟内に滴る雫の音で、名前を聴き取ることができなかった。



「同族以外の者に感謝されたのは数百年ぶりです。――人間の中にも優しい心を持ったものがいるのですね」


何処かでまたお会いしましょう。そう示唆する言葉を言い残してドラゴンは急ぐように飛び去ってしまった。



「助けてもらったのに、名前聞けなかったな」


「伝説の種族、ドラゴンに出会えるなんて夢にも思わなかったよー」


「どこへ行ってしまったのでしょう?もっとお話を聞きたかったです」


3人で話していると物陰からメリアが出てきた。



「リーフィアさん、生きていて……無事で良かった。ケガはしてませんか?」


「はい、メリアさんもありがとうございます」



みんなで先ほど遭った出来事をメリアにも教えてあう。

情報の共有は旅をする上で必要なことだ。


「こんな洞窟にど、ドラゴン種が生息していたとは……長く旅をした経験がありますが私は聞いたこともありませんでした」


「すげえ迫力だったぜ」


なぜか冷や汗をかいているメリア。

体調を崩しやすい苦手な環境の場所らしい、

確かに寒かったり、暑くなったり洞窟内は寒暖差が激しい。

はやく先へ進もう。



「もうすぐ出口みたいだね」


「ようやくか、長かったな」



開けた道の先に眩い光が差し込む、出口を抜けると数百メートル先に大きさの城が見えた。























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