008 村に行こう
頑張ってテントを組み上げた時になって、シロが帰ってきた。3匹のクマっぽい動物の死骸を引きずりながら。
えっ? 俺の食料?
はははは…………無理だから! 解体なんて絶対に無理!!
そう訴えたら、村に持っていけと言われた。
村? そんなのが近くにあるの?! マジで?!
じゃあテントなんか使わなくても、村で泊まれるじゃん!
え? ダメ? 何で? 自分が行けないから?
え~、行ってみないと分からないじゃん。受け入れてくれるかもよ?
希望的観測で言うなって?
それ言われると反論出来ないわ。こっちの世界の常識知らないし。
でも、俺、クマもどきなんか運べないけど? 絶対俺よりも重たいよね、それ。
村の近くまで運んでくれる? そうですか。じゃあ行こうよ!
解体して貰ったり、売って食料買ったりするから!
子供の食事が先?! あ、はい、分かりました……。
その後、オムツを交換した。初めてやったよ。1日1回で良いのかね?
泣いて教えてくれると思ってたんだけどなぁ。腹が空いた時しか泣かないんだよね、この子。
俺も腹が空いているんだけどなぁ。俺の優先順位も上げてもらえないですかねぇ。
ちなみにオムツは、使用済みの物を箱に入れて開閉すると新品になってた。
その間子供は下半身裸だった。男の子か。
女の子よりは育てやすいかもな。性教育とか下着の付け方とか教えられないもん。
そしてやっと、そう、やっと村に行く時が来た!!
いやっほう! え? テントを片付けろって? 酷くない?
やりますよやりますよ。
シロに乗って5分。森の縁のような所に来た。
そこにクマもどきを置き、俺を下ろすシロ。
そして少し先には木で作られた囲いの中に民家。おおっ! 村だ!! 行ってきます!!
木で作られている囲いは大きく、中にある畑も一緒に囲んでいる。
そりゃそうだ。民家だけを囲っても意味無いよな。畑も守らないと。
それを左手側に見つつ、反時計回りに歩くと、入り口が見えてきた。
人が立ってる! ちゃんと人間だ! 獣耳とかあったらどうしようと思ったけど、俺と変わらない人間だよ! ちょっと感動!
「すみませ~ん」
「ん? 何だお前は?」
「え~と……獣を狩ってきたので、買取りしてもらいたいんですけど?」
「はぁ? …………あぁ、難民か」
「へ? 難民?」
「どうせアレだろ? フィリル王国から逃げ出してきた不法移民だろ? 言わなくても分かってるって」
「いや、違うんですけど……」
「そりゃ認めたくないのは分かるぜ。認めりゃ警らが来た時困るもんな。大丈夫だって。問題起こさなきゃな」
どうやらフィリル王国って所からの難民や不法移民が多いらしい。
ラノベならここで乗っかっておくんだろうけど、俺はちゃんと事実を話しておきたい。
後にバレた時に問題になるのは明白だからだ。フラグってやつだろ?
「違いますって。俺は異世界人で、神に命令されてこの世界に来たんですよ」
「……嘘なんか言わなくたっていい。ってか、嘘つくならもう少し現実的な事を言った方が良いぞ?」
逆に諭された。
まぁ良い。俺は事実を言ったのだ。信じるか信じないかは貴方次第です。
「で、獣を買い取ってくれます?」
「おお、良いぜ。どんなのか分からないけど、まぁボロボロだったり腐ってなければ買い取るぜ」
「助かります。森の所に置いてるんですけど、大丈夫です? ちょっとデカいんですけど」
「あぁ。ちょっと待ってろ。見張りを交代すっから。それと荷台も持ってこなきゃな」
そうだよな。見張りとして立ってたんなら、勝手に持ち場を離れられないよな。
そんな事を考えてたら、荷車を引いて、さっきの人と別で5人くらいやってきた。
「よし、回収しようぜ。デカいって言ってたから、人数連れてきた。これでラビとか言うなよ?」
ラビってのが何なのか知らないけど、ラビットでウサギだろうか?
でもこの世界のウサギはデカいんじゃないのか? ほら、神獣で居るし。
「違うと思いますよ。で、あそこなんですけど」
「おいおい!」
「マジか?!」
「ベーアかよ!」
「3頭もか?!」
クマもどきはベーアと言うらしい。
「売れますかね?」
「当たり前じゃねぇか! 良い金になるぜ?!」
「じゃあ、まずその金で飯食わせてください!!」
「何だよ、腹ペコか?」
「解体して食やぁ良いのに」
「解体とか無理です」
「そんなに腹ペコなのかよ。ははは、分かった分かった」
腹が減りすぎて解体する力も残ってないと思われたようだ。
飯食ってから訂正する事にしよう。良い金になるそうだから楽しみだ。