002 神?
3話まで同時公開します。
「では始まりから話すとしよう。だが! この事は他言無用だぞ!!」
「そう言われても、話す相手なんかいないよ。神様に知り合いなんか居ないし」
友達なんかに話した所で、バカにされるか距離を置かれるだけだ。
「とにかく他言無用だ!
まず我は結婚しておる。この間、結婚2億光年を祝った」
「長生きだな!」
「勿論浮気なんぞ、一度もした事も無いし、しようとも思わん」
「嫁さん一途か。良い事じゃないか」
「だがお前も男なら分かるだろう。たまには息抜きもしたいと」
結婚経験が無いので何とも言えないが、そんな事もあるのかな~と思い、とりあえず頷いておく。
「だが妻の近くではそれも無理。かと言って息抜きに旅行に行くとも言えん。
そこで考えたのが管理している世界よ。そこに行くのは仕事と言えるからな」
「なるほど。一日だけの出張を二日と言っておいて、一日は観光するような感じか」
「少し違うが、まぁそのような認識で良い。だが、そこで問題が起きた」
問題?
どこかの世界で息抜きするだけで?
いや、待てよ? さっき神はなんて言った?
「あっ! 分かった! お前、その世界の女性と浮気したな?!
で、子供が出来たんだろ!!」
「違う! 子種がティッシュに収まらずに一滴だけ落ちただけだ!」
「はぁ? わかりやすく言えよ」
「つ、つまりは……空の上で自慰をしただけだ!!」
な、何という情けない話だ。
これが神様?? 世界がひっくり返るわ。
「その一滴が偶然にも妊婦に触れてしまったのだ! そして腹の中の子は神の子となってしまったのだ!」
「本当か~?」
「そもそも、神と人間では次元が違う! 触れる事さえ無理なのだ!」
「へ~へ~そうですね」
「信じておらぬな! ならばここで我に触れてみよ!」
そこまで言うのなら触れてあげようじゃないか。
うおっ! 立体映像みたいにすり抜ける!
「これで信じたか」
「はいはい、信じましたよ」
「全く信じておらぬ言い方ではないか!」
「だってさ、今透過しただけかもしれないし、その世界では触れるかもしれないし」
「その事についても既に裁判で決着しておる!」
まさかの裁判沙汰になっていたようだ。
まぁ他に子供作ってたって話だもんな。認知するとか離婚するとか、普通に裁判になりそうな話ではある。
「裁判の結果、浮気ではないと証明はされた。だが、その子供の処遇で揉めた」
「あぁ、認知するかしないかって事ね」
「違う! 神の子という事には変わりないから、保護するか否かという事だ」
「保護すりゃ良いじゃん」
「その世界の女性の子供でもある。勝手に取り上げる訳にもいかぬ」
確かに。神の子だからって、生んだばかりの子を取り上げられるなんてとんでもない事だ。
「じゃあその世界で育てて、成長したら迎えるって感じ?」
「そうなるが、ここで別の問題が起きる」
「その子が神の世界を選ばないとか?」
「それは本人の自由だ。そんな簡単な問題ではない。
神の子となれば、神力が子供から発するようになる。髪の色も違うだろう」
「あ、分かった。その女性が浮気したとか思われてしまうやつだ。ラノベで見た事あるわ」
「その通り。それで殺されては可哀想だという意見が出たのだ」
確かに女性も子供も不幸だ。
アホな神に一方的に関わられただけなのに。
「んん?! もしかして?!
その子供と女性を助けろって言うのか?! 俺に?!」
「正解だ」
「いやいやいや!! そういうのは忍者とかスパイとかの仕事でしょ!! 一般人に頼む話じゃないって!!」
「神は簡単に世界に接触出来ぬのだ」
「だからってくじ引き?!」
「そうだ。交渉に交渉を重ねて、やっと引き出した条件の内の1つが『くじ引きで行く者を決める』というものだったのだ」
「それで俺みたいな者を当ててもダメでしょ!」
「それはこちらも分かっておる。無事に救出出来たとしても、その世界の事を知らぬのなら生活すら出来ぬからな」
「そこまで分かってるなら人選からやり直しましょ!」
「それは覆らぬ! 諦めよ!」
ヒドい!
「その代わりに他に3つの条件を引き出したわ」
「3つだけか……。で、その3つって何?」」
「『神獣を付ける』『その世界の言語を与える』『生活能力を与える』この3つだ」
あ~。チート能力ってヤツね。理解しました。
「その3つの解説をプリーズ」
「お前に戦闘は無理だろう? だからボディガードとして神獣を付ける。
ついでに言うなら赤子に乳を与える存在でもある」
「なるほどね。じゃあメスって事か。一応聞いておくけど、擬人化したりしないよな?」
「せぬ。そもそもそのような能力は神にも無い」
良かった。女性になったりしないようだ。
個人的な事だけど、ラノベとかで動物やら武器やらが擬人化する話って好きじゃないんだよね。ってか嫌い。
よれに欲情する主人公とか変態だなと思ってしまう。
「……ん? ってかその神獣だけで育てられるんじゃない? 俺、要らなくない?」
「ある年齢までは育てられるだろう。だが言葉も使えない神獣が子供に教育する事は出来ぬ。
人間として成長されるには人間の力が必要なのだ」
「なるほどね。でも、俺はその世界の常識とか知らないんだけど?」
「お前とて、その世界で生きる上では他者と関わらなければならないだろう?
そうしている内に覚えていくだろう? それを教えれば良いのだ。
お前が生まれてから今日までの生活態度も確認した。常識はあるようで安心している」
「俺の人生を見たのかよ!」
「大事な事だから見させてもらった。いつ失恋したのか、どうやって童貞卒業したのかまでな」
「人権侵害だ!!」
「神に人権など関係無いな。さて、言ったような教育に必要となるだろうし、生活にも必要だろうから『その世界の言語を与える』わけだ」
「話を戻された! ま、まぁ、それは大事だけどさぁ」
英語も喋られない俺だ。こんな俺がイタリアにでも放り出されただけで生活出来ない。
なのに異世界だもん。言語が分からないなら即死亡でしょ。
「最後に『生活能力を与える』事だ」
これが大問題だった。