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013 商売は難しい

あれから一ヶ月経った。


村に行くとすぐにクラウスがやってきて、結果を報告をしてくれた。


「ケン! 育ったぞ! あれは売れるわ!」

「だろ? ってか短期間でよく分かったな」

「芽が食べられるミクンを植えたんだよ。7日くらいで食べられるサイズにまで成長したぞ!」


ミクンね。多分だけどかいわれ大根みたいなモノか?

そんなにすぐに収穫出来るなら、種を売ってもらって俺も育てようかな?


「まずはそれを飼ってる鳥に餌として与えてみたんだが、死ぬ事は無かった」

「せっかく飼ってるのに、実験に使って良いのか?」

「実験に使う為に飼ってるんだろ? 穴掘りとかにも役立つぜ?」


どうやら愛玩動物という訳では無いようだ。

まぁそんなのは生活に余裕のある人がやる事だからなぁ。

穴掘りにも使うという事は、空気のチェックにも使うんだろう。

んん? って事は空気とか毒ガスの概念があるって事か。異世界なのに結構科学が進んでるのかも。

異世界って、魔法に頼ってて科学が発展してないイメージだったわ。


「だから次に少量を俺が食べてみた。最初は火を通して、次は生で。

 だが腹を壊す事も無かったし、味も良くなってたぜ」

「だろ?」

「ああ。収穫までの期間が短くなる上に、味まで向上するんだから、なかなかの商品だ」

「そうだろう、そうだろう」

「最後に、土地な」

「ん? 土地?」

「急激に育てる為に土地が枯れたら意味無いだろ?」


おおっ! 確かに!

その為に輪作とかするって授業で習った気がするわ。


「収穫後に、違う作物を植えた場所、同じ作物を植えた場所、お前の持ってきた肥料をまた巻いた場所、使わずに育てた場所。この4箇所を作って実験してみた」


ちゃんと検証してるなぁ。

異世界人って知能デバフ受けてるんじゃないんだ。当たり前だけど。


「結果、どこも問題が無かった。ついでに枯れた土地や、畑に向いてない土地でも育ててみた」

「ほうほう、結果は?」

「どちらも芽が出た。畑よりも水が多く必要だったし、普通の味のミクンが出来ただけだったがな。

 それでも育つだけで凄い事だぞ!」

「つまり?」

「問題無い。これは売れるぜ!!」


優秀な肥料と認められたようだ。


「って事で、売ってくれ!」

「了解。でも値段は?」


この世界の相場を知らないんだから、値段を決めろと言われても困る。

高く設定しても売れなきゃ意味無いし。


「そうだなぁ……ちょっと待ってろ」


そう言ってクラウスはどこかに走り去ってしまった。

そろそろまた麦を買いたいんだけど……村に入っても良いのか?


そんな事を考えてたら、2人ほど連れて戻ってきた。

クラウスと同じくらいの年っぽい人とお爺ちゃんだ。


「こいつはバウ。この村の村長をやってる。こっちはクリサ爺さん。村の雑貨屋をやってる」

「バウだ。よろしく」

「よろしくお願いします」

「年寄りはもっと労らんか! ワシはクリサじゃ。売りたいモノがあるそうじゃの?」

「はい。でも値段が分からなくて」


村の権力者?有力者?を連れてきたようだ。

この人達が値段を決めてくれるのかな?


「こいつはケン。ケンが持ってきた肥料について聞きたくてな」

「あ~、実験してたやつか」

「それならワシも知っとる。噂になってるヤツじゃな?」

「そうだ。問題無しと判断したんだが、村で購入して導入出来るか?」

「そういう事か……。さすがに大規模でやるにはまだ不安かな? とりあえず半分の半分の半分くらいでやってみようか」

「それくらいが妥当か。爺さん、どれくらい必要だと思う? でいくらなら買う?」

「それをワシが決めるのか?」

「畑仕事もしてただろ? モノの価値にも詳しいし、決めてくれよ」

「ふむ…………高級な肥料で麻袋1つで5000ドーラくらいじゃなから、10000ドーラでどうじゃ?」

「マジか?! 何袋必要だ?」

「村の全畑の半分の半分じゃろ? とりあえず100あれば良いじゃろ」


俺を放っておいて、話が進んでいく。

ってか、その流れだと、100万儲かる事になるんだけど?!

マジで? ただのフンだぞ?!


あっ、それは無理だったわ。

だってフンだもん。1匹?1頭?しかいないから、大量生産出来ない。


「って事だけど、どうだ?」

「いや、値段は良いんですけど、そこまで大量に用意出来るか分からないよ」

「そうなのか? まぁ、出来るだけ用意してくれ」

「分かった。じゃあその為の麻袋を……」

「心配するな! ちゃんと集めて売ってやるから!」


タダで用意してくれるんじゃないのかよ! ちゃっかりしてるな!

……俺には商売は無理だわ。諦めよう。

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