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思い出の場所~異国の皇太子様~

 みさは、シリウスに付いていくことにした。

「シリウスさん。分かりました。夕方までなら大丈夫です。夜は予定がありますので。今は予定はない……と言いますか、まだ家に帰りたくなかったので。」

 シリウスはみさをじっと見詰め……楽しそうに言う。

「ありがとう!と、そうだな……僕に任せてくれる?」

 みさは、ちょっと緊張しながら答える。

「は、はい。」

(見詰められると何だかドキドキするな……)

 そんなみさを見て、シリウスは悪戯っぽく笑い、手を引き走り出す。

「それじゃあ、まずは服を着替えるか!」

「え、え?えーっ?」

 そんなシリウスの行動に驚き、思わず叫んでしまった。

(さっきまで落ち着いた口調で話してたけど、シリウスさんって、結構強引?大丈夫かな。何だかちょっと不安になってきた)


 シリウスは慣れた様子でショップに入っていく。

「この人に会うドレスを。」

「柊様、いつもご贔屓にして下さりありがとうございます。かしこまりました。お任せ下さい。」

 店員も慣れた感じだ。

 ニコニコ手を振り店員へみさを託す。

(ええ~!?ドレスって??というか、何~??)

 驚いているみさにお構い無し、店員がドレスを持ってきて試着室へ促される。されるがままドレスに着替えさせられる。

シリウスは凄く楽しそうだ。

「うん、可愛いな。あ。これも着てみようか。靴も頼むよ。」

どんどん靴とドレスが出てくる。


「あ。えっ?ちょっ、ちょっと待って~!!」

 何着か着た後、シリウスが、満足そうに言った。

「よし、これでいこう!」

「や。やっと決まった……」

 みさは、ふぅ……と長い息を吐く。そんなみさを見ながらシリウスは、満面の笑みで言った。

「今度はヘアメイクだな♪」


(ま、まだあるのぉ~~~)


 それから2時間後。


 髪が綺麗にセットされ、ドレスを着たみさがそこに居た。みさは、疲れきって言葉が上手く出ない。

「う……」

 シリウスはちょっと心配そう。

「みさ、どうした~?」

「つ、疲れました……」


(って、この人一体何者??ブティックも美容室も『いつもご贔屓に』とか言われてたし、支払いブラックカードだった。もっと歳いった人なら分かるけど。それとこの格好は……シリウスさんの好みなのかな)

 シリウスはニコニコして、車の助手席を開けてくれる。

「まだまだこれからだぞ。それではお嬢さんどうぞ」

(何だか色々凄すぎて付いていけない……けど、シリウスさん本当に嬉しそう。悪い人じゃないみたいだし……来て良かったんだよね)

助手席に乗り、シリウスに尋ねる。

「これから何処へ行くんですか??」

「それは、着いてからのお楽しみ!……って、さっきも疲れたって言ってたよね……?振り回してごめん」

 シリウスはしゅんとなり、心配そうにみさの顔を覗き込む。

(急に、子犬みたいな顔に。可愛いんだけどっ。ギャップずるいんだけど)

「大丈夫ですよ。もう何処に行こうと驚きません。さっきまで色々ありすぎて、むしろ、次は何だろうって楽しみになってます」

 みさはふんわりと微笑み、シリウスはその姿にほっと胸を撫で下ろした。

「良かった。言わないだけで、嫌になってたらどうしよう……って正直、ちょっと不安だったんだ」

「確かに最初は色々驚きました。急に着替えさせられて、ヘアセットまで。何をされてるんだろうって、少し不安もあって。でも、シリウスさん楽しそうだし、何より、私の為に色々真剣に悩んで決めてくれるのも分かったから、任せてみようかなって」

 その言葉に、シリウスはホッとし、

「ありがとう付いてきてくれて。本当に嬉しいよ」

 優しくみさを見詰めた。


 山道を上ってしばらく進むと、少し開けた所に、可愛らしい一軒の山小屋があった。

「着いたよ。ここなんだ」

 シリウスが、車のドアを開けてくれる。

「コテージ?別荘か何かですか??」

「そうだよ。ここは僕の所有する別荘の1つ。どうぞ、中に入って」

 階段を上り、扉を開け、中に入ると、暖炉にキッチン、テーブル、そして奥に大きな鏡があった。

「ここが連れてきたかった所ですか?ここで何を……」

 少し不安そうな顔でシリウスを見る。シリウスは大丈夫だよとみさに言う。

「そうだよ。そして、その鏡を君に見せたかった。みさがしているペンダントの石、『ホシノカケラ』をその鏡の石と同じ水色の宝石の部分にかざしてみて」

「この石を……」

 石を取り出し、恐る恐る鏡に近づく。

 良く見ると、赤、黄、緑、紫、青、水色、虹色の7色の宝石が鏡の周りにはめ込まれている。

 みさは、その水色の部分にペンダントの石をかざした。その瞬間、みさとシリウスを眩しい虹色の光が包み込み、鏡の中に入ってしまった。みさは眩しさのあまり目を瞑っていた。

 シリウスがみさの手を引き、

「みさ、目を開けてごらん。」

 シリウスの声にみさが目を開けると……そこには、色とりどりの花が咲いている花畑が広がっていた。

「ここは……」

「ようこそ、我が王国へ」

 目の前に男性が居て、お辞儀をしている。

「……シリウスさん??何だか、そのシルバーの髪、見覚えがあります。それにしても、我が王国って?鏡の中の世界なんですか?」

 みさはシリウスを見て驚いた。先程までスーツに黒髪だった男性が、王子様の様な衣装に身を包み、髪はシルバーになっていた。

 シリウスは、少し照れながら言う。

「うん、シリウスだよ。急に姿が変わって驚かせたね。髪には見覚えあるんだ?何だか嬉しいな。幼い頃の僕の事、思い出してくれたのかな?鏡は、僕の国でもある、この国『アルダバラ』への近道なんだ。」

「はい、少し思い出しました。シルバーの髪の男の子の事を。それにここはきっと、幼い頃に来たあの花畑だと思うのですが……って、ここって、シリウスさんの国ですか??」

 みさは、驚きを隠せない。シリウスはニカッと笑い、はっきりとした口調で答えた。

「それは良かった。嬉しいよ、少しでも思い出してくれて。そう、ここはみさと僕が12年前に出会った花畑。正確には僕の父の国、そして僕はこの国の皇太子シリウスだ」

「こっ、皇太子っ!?」

 みさは、驚いて叫んでしまった。

 シリウスは、そんなみさを愛おしそうに見詰め、 

「そして、みさを探してた理由なんだけど……この国の皇太子妃として迎えたいからなんだ。そして、ゆくゆくは皇后に。みさ、僕と結婚してほしい」

 シリウスは跪き、みさの手に口づけをする。

(えっ!え~っ!?皇太子って!!って結婚!?皇妃?皇后?いや、無理無理無理~)

 みさは、真っ赤になりながら、

「皇太子妃に……って、何を言ってるんですか??私なんかにそんな…皇太子妃?なんて務まりません!只の一般市民ですよ??」

 シリウスは少ししゅんとなり、

「結婚相手が僕じゃ嫌かな…?」

「いえ……シリウスさんが嫌というわけではなくて…急に皇太子とか皇妃とか言われても……」

 みさが言葉に詰まる。どうしたら良いか分からなくなっている。

「そうだよな。急に言われても困るよな……返事は急がないから、ゆっくり考えてみて。けれど、本気だからな」

 シリウスは真剣だ。みさは、困った顔をしながら、答えた。

「はい。でも、ごめんなさい。私、縁談を控えてて……」

「その件は大丈夫だ。こっちでなんとかするから」

「大丈夫って?どういうことですか??」

 その問いに、大丈夫だからとニコッと笑う。

「心配せずにぼくに任せて。それと、小さい頃みさが『ココ』に来れたのは偶然かもしれない。でも、それを僕は運命だと思うんだ。その証拠に12年君を忘れることはなく、想い続けてた。改めて今日、君と過ごして思ったよ。やっぱり、みさ、君が好きだ。さっきも言ったけれど、結婚してこれからもずっと一緒に居たい…っていうのも本気だから。良く考えてみて?」


 シリウスはみさを愛おしそうに見詰めていた……



 シリウスと別れて家に向かう。シリウスには家まで車で送ると言われたが、目立ちそうなので断った。髪はセットしたままだったが、流石にドレスは着替え、シリウスに返した。


「何だか、不思議な時間だったな。けど、夢じゃないんだよね……」

 髪を触りながら呟いた。


(また、あの子に会えるなんて。あの場所に行けるなんて思わなかった。でもまさか違う国、星、だったなんて。私を好きだと言ってくれたのは凄く嬉しい。出来ることなら、結婚も……だけど、王族だなんて…皇妃だなんてどうすれば……)


 色々考えながら帰路につく。道中ずっとシリウスの事を考えていた……

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