41回目 生きる沼からあらわれたもの
それは歪で巨大な人間の姿だった。
全体的な形は人間のそれだ。
しかし、その全身に様々な人の顔が浮かんでいる。
それらも意識があるのか、目や口を動かしている。
声も出してるらしく、周囲に音が広がっていく。
だが、重なった声は一つ一つの判別が出来ない。
雑音として巨大な人の周囲を取り巻いている。
全身顔だらけの巨人。
それがタクマ達の前にあらわれる。
どうしてそんなものが出てきたのか。
なんでこんなものが存在するのか。
それは分からない。
分からないが考えてるわけにもいかない。
タクマ達の前にあらわれたそれは、躊躇無く襲いかかってくるのだから。
「避けろ!」
叫ぶタクマ。
巨人の正面にいたものがそれに反応して飛び散っていく。
次の瞬間、巨人の足がその場を踏み抜いた。
身長、おそらく20メートルにもなろうかという大きさだ。
そんな巨人の足だ、人間一人くらいなら簡単に踏み潰せる。
避けたから良いものの、食らっていたらひとたまりも無かっただろう。
そんな巨人を解析していく。
どんな奴なのか分からなければ何も出来ない。
玉を使い、巨人を見つめる。
とにかく何でもいいから、情報が必要だった。
だが、分かったことで絶望感はより強くなる。
<< 顔面だらけの巨人 >>
基本霊力 1000
体力 1500
健康 1000
反射 1000
作成 500
直観 1500
思慮 500
共感 500
意思 1500
<< 顔面だらけの巨人 >>
全てのおいて人間を圧倒している。
文字通り桁が違う。
今までの化け物とは比べものにならない。
圧倒的な能力を誇っている。
「────逃げろ!」
反射的に口からそんな言葉が飛び出した。
そう叫ぶしかなかった。
勝てるわけが無い。
まともにやったら人間に勝ち目はない。
そんな相手なのだ。
「逃げろ!
とにかく逃げろ」
そう叫んでいく。
他の者達は多少狼狽えたが、黙って言うことに従っていく。
タクマの様子から何かを察したのだろう。
そうでなくても、目の前に巨人がいる。
それを見れば一瞬で納得する。
普通にやりあったら絶対に勝てないと。
タクマと同様に巨人を調べた者もいて、それらの理解は更に早い。
「急げ!」
「ダメだ、こいつとやりあうな!」
タクマの言いたいことを代わりに言ってくれる。
それを聞いた者達は、一目散に逃げ出していく。
ただ一人、タクマだけを残して。




