31回目 背に腹は代えられない、どうせ誰も使ってないんだ
「まあ、とにかく。
それならそれで、あの子をどうにかしないと。
帰る場所もないなら、放り出すわけにもいかないし」
「そうですね」
とはいえ、その為に何が出来るのか、というところだ。
何にしても住む場所はどうにかしないといけない。
安全圏は多少広がったが、危険が消えたわけではない。
化け物がいつ彷徨いこんでくるか。
それへの対処も必要だ。
その為にも、可能限り固まって居た方がよい。
密集していれば、その分だけ守らねばならない範囲が狭くなる。
少人数でも対応しやすい。
しかし、これがなかなかに厄介だった。
何はなくとも住む場所が必要になる。
しかし、そう都合良く物件が見つかるわけもない。
空き家はいくらでもあるが。
そこに入り込むわけにはいかなかった。
仮に不法侵入や不法占拠をするにしてもだ。
まともに住める状態ではない。
空き家になった場所のほとんどは、住人が化け物になったからだ。
当然ながら荒れている。
内部もそうだし、たいていは窓やら扉などが内側から破壊されている。
そんな所に住むのは難しい。
そんな住居を修繕するにしてもだ。
やはり所有者の事を考えねばならない。
勝手に入り込んで、勝手に修理するわけにはいかない。
さすがにそこまでするわけにはいかなかった。
とはいえ、こんな状況である。
化け物になっただろう家主・持ち主の事を考えてもいられない。
強引ではあるが、確実に空き家だろうと思える部屋に入り込んでいく。
緊急避難を名目に。
褒められたものではない。
だが、やむをえないものもある。
広範囲に点在されてるよりも、集まってもらった方が守りやすい。
そうして守る範囲を限定する事で、余力も出てくる。
まだ探査されてない地域に割く人数を確保出来る。
その為にも、強引な手段は必要だった
「警察とかが出てきそうですね」
話を聞いてるサヨは当然のことをいう。
だが、非難は出来なかった。
タクマの言ってることも分かるからだ。
「そん時はそん時だ」
タクマも開きなおるしかなかった。
翌日から、タクマの提案は伝えられていく。
良くは無いが、会社近くの空き家に厄介になろうと。
全員が賛同する事はなかったが、何人かはそれを受けいれていった。
彼らも今のままでは危険だという事は分かってる。
法律的にも道義的にもいかがなものかとは思うが。
命に比べれば、という思いもあった。
そうして人々は少しずつ密集していくようになる。
そのおかげで守りに割く人をいくらか削れるようになった。
そうした人間を率いて、タクマは未探査地域の調査に乗り出していく。
(だいぶ遅くなっちまったけど)
まだ生存者がいるのかどうか。
正直、絶望的だと言えた。
化け物があらわれてから一週間以上が経っている。
その間に化け物に襲われてるかもしれない。
そうでなくても、食料がもつかどうか。
生存者の救助という面では、あまり期待出来なかった。
それでも、化け物を片付ける必要はある。
安全を脅かす存在だ。
生かしておくわけにはいかない。
それらを駆除するためだけでも意味はある。
未探査地域に行く理由としては。




