29回目 確保したものを維持するために増える負担
化け物を排除して安全地帯を確保した。
それは良い。
だが、そこを守るために人を配置せねばならない。
その為に、探索のための人員が集まらなくなっている。
ただでさえ人手不足だ。
守りに人を割くと、どうしても人員不足になってしまう。
かといって、安全圏を放棄してまで探索するのも難しい。
そこに救助を待ってる者がいるにしてもだ。
それに、探索出来てない場所には化け物が残ってるかもしれない。
それらを放置してたら、いずれ脅威となるかもしれない。
そうなる前にどうにかしたいのだが。
なかなか上手くいかない。
「動ける人数はこれくらいっすね」
ヒタチが概算を出してくる。
今までの状況から算出した人数である。
それはタクマ達だけで行動していた時よりもはるかに多い。
しかし、未探査地域を探るには少ない。
「こんなもんか……」
出てきた数値に落胆はしなかった。
だが、希望も見いだせなかった。
全部で26人。
少なくはないが、多くもない。
出来る事は限られるだろう。
「でも、何も出来ないよりは良いか」
活動範囲は狭まるが、それでも何も出来ないよりは良い。
そう思っていく事にする。
「出る事の出来る人に連絡をとって。
明日、ここに行くから」
そう言って、最も近い未探査地域を示す。
「じゃあ、メールとブログを出しておきますね」
すぐにヒタチは明日の行動を公表していった。
タクマも動いていく。
ネットの方はヒタチに任せておけばいい。
だが、身近にいる者達には直接伝えにいく。
同じ会社にいる者達などにはその方が早い。
そして、会社に泊まり込んでる者は、今はかなり多くなっている。
独身者がほとんどだが、会社には生存者が集まってきていた。
身を寄せ合っていた方が安全、と誰もが思っていた。
所帯持ちはそうはいかず、自宅と会社を行き来してる。
ただ、そういった者達はご近所さんと連携をとってるという。
様々な形で、固まっているようだった。
そんな者達を集めて、明日からの事を伝えていく。
連絡がとれず、未探査の地域に出向く。
生存者がいれば助け、化け物は倒していく。
「留守番も大事だが、参加出来る人は付き合ってほしい。
志願者はヒタチの所に行ってくれ」
それだけ伝えて退散する。
色々な事が解決していく。
同時に、色々な問題が出てくる。
一つを解決したら、それに連なる問題が出てくる。
そういうものだとは分かってはいる。
しかし、分かってるのと解決策が出てくるのは別である。
たとえ策があっても、実行する力があるかどうかも。
「きっついなあ……」
化け物相手にしてるからでもなく。
他人と共に寝起きをしてる事でもなく。
起こってる問題への対処が厳しい。
逃げたり投げ出せれば楽なのだろうが。
それが出来ない性分だったら、こんな所にいないだろう。
逃げられないからでもある。
どこに言っても安息は無い。
外に出れば化け物がいる。
化け物がいなくても、何もない。
生きていく為にはここで励むしかない。
色々考えれば、一番楽なのはここにいる事。
そういう結論になる。
ならば、目の前の面倒から逃げ出すわけにはいかない。
誰かに押しつけられるなら、そうしているが。
今のところそれが出来そうな人間もいない。
化け物も問題だ。
だが、普段の生活も問題だらけだ。




