28回目 確立できた安全圏と、いまだ手つかずの未探査地域
「だんだんと元に戻ってきてますね」
ネットで情報を集めてるヒタチがそんな事を口にする。
今のところ、それがヒタチの仕事になっている。
ネットでの情報収集や情報配信が。
もちろん、彼が所有してるパソコンでだ。
さすがに会社のパソコンなどを使ってるわけではない。
タクマ達と違い、外に出る事のあまりないヒタチではある。
だが、タクマ達が活動中にネットを巡り、情報を集めてきてくれる。
そのほとんどはそう大したものではない。
だが、他のあらゆる場所での状況を知るのに役だっている。
それこそSNSからブログ。
公的機関や企業などの組織・集団の公式発表。
それらを一通り網羅している。
加えて、タクマ達の活動も発信している。
化け物を倒した事や、倒して得られる玉の事。
その使い方なども。
それを配信して、目の前の問題を解決出来るよう促していった。
それが縁になって、様々なところからの問い合わせもあった。
その問い合わせ元が身近に居る者なら、協力して化け物退治に乗り出した。
比較的遠方にいる者には、いずれ救出に向かうと伝えたりもした。
これのおかげで、次の行動を決めやすくもなった。
「連絡がとれてる所は、だいたい上手くいってるみたいです」
帰ってきたタクマ達に、ヒタチはそう言って状況を伝えていく。
「新しく連絡がとれた所は無いっすけど」
そう言って、地図に印をつけていく。
連絡が取れたところと、安全を確保した地域。
それが分かるように。
そうなると、どうしても浮かび上がってくる部分もある。
全く印が付いてないところ。
すなわち、連絡が一切ない場所。
「この辺りがどうなってるか、ですね」
少し厳しめの顔と声になっていくヒタチ。
それも当然と言える。
連絡が一切ない地域。
それは、外部に出られないのか。
あるいは、化け物に殲滅させられたか。
そのどちらかの可能性が高い。
想像も出来ない、もっと酷いことが起こってる可能性だってある。
「安全になった場所も多いけど。
でも、このあたりがまだ危険っすね」
ヒタチの言うとおりだった。
会社周辺だけではなく、多くの地域から化け物が排除された。
おかげで、物流なども回復してきている。
しかし、そうした安全地帯を囲むように。
あるいは、安全地帯に囲まれるように。
確認がとれてない地域が残っている。
そうした場所も確認しないと、安全とは言い切れない。
取り残されてる者もいるかもしれない。
それらを助けるためにも、出来るだけ早めに探りを入れたかった。
しかし、それが簡単にできれば苦労しない。
安全地帯が広がったのはいい。
なのだが、それが次の行動に歯止めをかけてしまってもいる。
「確かめに行きたいけど」
思うようにそれが出来ない事情も生まれていた。




