24回目 世のため人のため以前に、自分のために
納得のいかないヒタチをとりあえず放置して。
タクマは他の者達の様子を見ていく。
とりあえずは会社に泊まり込み。
明日の事は明日考える事にする。
会社にいた他の者達も家に戻らず会社に居残る事になった。
帰宅中に襲われるかもしれないのだ。
下手に動く事も出来ない。
幸い、会社にいるのは独身者ばかり。
急いで家に戻る必要もない。
寝る場所がないし、布団もない。
それだけが問題だが、これは我慢するしかなかった。
今後の事を考えれば、寝起きできる場所が欲しいが。
さすがにそれは難しい。
ただ、近場で泊まれる場所を探すにしても。
会社に寝具を持ち込むにしても。
どちらも手間がかかりすぎる。
それが何日続くのかも分からない。
それほど使わないのならば、用意するのももったいない。
しかし、長引くならば、何らかの対策が必要になる。
寝床一つでもだ。
他にも、食事や洗濯の問題も出てくる。
衣食住、これだけは生きていく上で欠かせない。
どうにかせねば、今後に響く。
「それを考えるとね」
タクマとしては、どうにかして状況が安定してほしい。
黙っていてもそうならないなら、安定させていくしかない。
「化け物を倒すのは必要だと思う」
集まってきた他の者達にそう説明する。
結局、化け物を倒さない限りはどうにもならない。
安全がなければ安心して生きていけない。
とにかく周辺だけでも。
安全圏を確保するなら、更に広い範囲を。
緩衝地帯を作れるくらいにはしておきたい。
「でなけりゃ、おちおち寝てもいられない」
それくらい危険な状態なのだ。
化け物という存在は。
かろうじて玉があるから対抗出来る。
「外国のように、銃でもあれば別だけど」
それがない日本では、対抗手段も限られる。
かなり厳しい状況だ。
「というわけで、手の空いてる奴には化け物退治を手伝ってほしい」
そう締めくくる。
それを聞いて大半は神妙な顔をする。
ヒタチだけが、
「そりゃないっすよ」
と混ぜっ返す。
だが、否定や拒絶はしてない。
やらねばならないのは分かってるのだ。
その上で、自分には不向きだと判断してる。
実際、インドア派というか、体を動かすのが得意ではない。
そんなヒタチに危険な外の作業をやらせるのは酷である。
「なら、会社の仕事を進めてくれ。
もしかしたら玉も使えるかもしれん」
「はあ……」
それでいいならとヒタチは頷く。
「他のみんなも、出来れば協力してくれ」
返事はすぐには出ない。
だが、誰もがタクマの言葉を真剣に考えていった。
「それで」
そんな中で一人、サヨが声をあげる。
「それとはあまり関係ないんだけど」
「なにか?」
「あの子のこと」
そう言ってサヨは、別室で寝かしてる娘の事を話す。
「どうするの?」
それもまた考えておかねばならない事だった。




