21回目 手数を増やすためにやっていく、やってくれるかどうかは分からないけど
人手を増やす為に、玉を配っていく。
それも当初の予定のうちである。
化け物の数は多い。
タクマ達だけでどうにかなるわけがない。
だから、見込みのある者に玉を渡していく。
そして戦える者を増やしていく。
そのつもりでいた。
その第一弾を最初の住宅地で行っていく。
ありがたい事に、生き残ってる者達はまともな者ばかりだった。
玉を渡しても力を悪用するような輩はいない。
不思議とそんな人間だけが残っていた。
だから、玉をためらうことなく渡していけた。
今はとにかく頭数が必要だった。
押し寄せてくるかもしれない化け物。
それに対抗する為に。
その為にも、出来るだけ多くの人間に行動してもらわねばならない。
その為に玉を配っていく。
誰がどれくらい動いてくれるのかは分からない。
だが、必要な情報は全て伝えていった。
玉の使い方も、それによってどれだけ有利になるかも。
自分達がやった事を記録として伝えながら。
あとは相手次第だ。
強制も強要も出来ない。
命がけで戦う事を強いるわけにはいかない。
立ち上がって欲しいとは思うが。
(こればっかりはなあ)
人の気持ちにまで介入は出来ない。
それでもタクマ達は、化け物を倒して玉を配っていく。
周辺地域を切り開きながら。
そうして玉を配りながら、目的地へと向かっていく。
一応、外に出た目的は他にもある。
「戸守、おまえんちの近くまで来たぞ」
車の中で、電話に向かって話しかける。
「ありがとうございます。
おかげで助かります」
在宅で仕事をしてる戸守ヒタチが元気よく応えてくる。
これがタクマ達が外に出るもう一つの理由だった。
そもそもの名目として、外にいる社員の確保がある。
それはもうやらなくて良くなったが。
合流したいという者も中にはいる。
それらを回収するのも目的だった。
ヒタチはそんな者の一人だった。
比較的近くに住んでるので、まずは引き揚げる事となった。
「化け物ばかりだから、お前も戦ってもらうぞ」
「はいはい、それくらいはやりますよ」
気乗りしない様子ではあるが、拒みはしない。
それがありがたかった。
「じゃあ出てこい。
お前の家の前についた」
ヒタチの家は住宅地の中にあるアパートだった。
その二階から本人が出てくる。
「お待たせしました」
意外に明るくそう言ってくる。
こんな状況でもへこたれてないようだった。
「乗れ、行くぞ」
「はいはい」
返事をしつつタクマの車の後部座席に。
「しかし、凄いっすね。
窓がぶっ壊れた車ってのは」
「転がってるのを拝借してるんだ。
文句は言えんよ」
「なるほど」
軽口を叩きながら道を戻っていく。
そろそろ暗くなる。
これ以上外をうろつくのは危険に思えた。
それもあって、会社へと戻っていく事にした。




