12回目 化け物を撃退し、逃げてきた者と合流し、必要なものを確保する
能力を強化して化け物を迎撃する。
敵の数はタクマ達よりも多い。
朝早い時間という事を考えると、元は店員だったのだろう。
かわいそうではあるが、やむをえない。
哀れみつつも、撃破していく。
元が人間だからとためらってなどいられない。
化け物は殺しにきてるのだ。
相手の事情を斟酌してなどいられない。
手心を加える事もなく、確実にとどめを刺していく。
相手の数が多いので、能力強化も大きめにやっている。
下手に節約するとその分危険になってしまう。
相手をギリギリ上回る程度では、同時に多数の敵を相手に出来ない。
なので、余裕をもって戦えるくらいに調整していた。
<< 御津来タクマ >>
基本霊力 35
体力 35 +80
健康 35 +50
反射 35 +50
作成 35
直観 35 +50
思慮 35
共感 35
意思 35
<< 御津来タクマ >>
一撃の威力を高めるために【体力】を強化。
体の頑丈さを示す【健康】も上げて、乱戦混戦に備えた。
相手の位置や動きを察知しやすいように、直観も上昇させている。
おかげで、同時に何匹もの化け物を相手にする事が出来た。
表に出てきた化け物は5匹。
それが瞬時に倒されていく。
長引くことも無く戦闘は終わった。
「これで大丈夫かな」
「たぶん。
…………直観にも引っかかりません」
他に敵がいないかも確かめていく。
直観の能力を高め、それに更に霊気をかけていく。
そうする事で、レーダーのように周囲を探知する事が出来る。
これは車から降りる前にも行っていた。
それで化け物も数も把握出来ていた。
だから能力を強化もしていた。
事前に相手の様子が分かるのだ、対策くらいはしていく。
「あと……」
言いながらタクマは店から少し視線を外す。
建物の角の方に。
「もう化け物は片付いたから。
出てきてもいいぞ」
トモルもそちらに目を向けていく。
「……嘘だろ」
二人の視線の先。
そこに隠れていた志津枝カヲルは呆然とする。
二人には見つかってなかったはずなのだが。
(なんで分かった?)
どこかで姿をさらしてしまったのだろうか?
そう思うが理由は分からない。
そんなカヲルに、
「安心しろ。
あんたをどうこうしようとは思わん」
と言ってくる。
(どうすっかな)
そうは言うがどこまで信じたものやら。
だが、無視して逃げるというのも難しそうだった。
隠れてるのに見つけられた。
それも、化け物を簡単に倒せる者に。
そんな者から逃げられるとは思えない。
(しょうがない)
腹をくくって建物の角から出ていく。
「へえ……」
声をかけた方から出てきた者を見て少し驚く。
出てきたのは男、それも若い。
トモルよりは年上だろうが、それでも十代だろう。
それが意外だった。
(学校はどうしたんだろ)
そんな事を思う。
だが、それよりも気になるのが、彼の持ってるものだ。
玉の力で色々調べてみたが。
隠してはいるが、刃物を持ってる。
大きさからして、包丁だろうか。
物騒なものである。
だが、
(この状況じゃなあ)
それもやむないと思う。
とりあえず、敵意は感じられない。
それだけで十分だった。
すぐに斬りつけられたり刺されたりはしないだろう。
「何があったか知らんが、こんな状況だ。
なるべく協力しあおう。
どうだ?」
「あ、はい。
俺はそれで、全然」
「なら、買い物に付き合ってくれ」
そう言って少年を促す。
「あと」
「はい?」
「名前も教えてくれると助かる。
俺は御津来」
「戸守です」
「あ、志津枝です」
簡単だが、自己紹介が終わる。
それからようやく買い物が始まる。
化け物が荒らしたであろう店内は散らかっていたが。
そこから必要になりそうなものを回収していく。
探ってみたが、店員はいない。
逃げたか、化け物になったか、殺されたのだろう。
死体が見当たらないのは、無事である証拠だと思いたかった。
それから。
一応、代金はレジに置いていった。
受け取るものがいるかどうかは分からないが。
それでも、勝手に強奪していくのだけは避けたかった。
「それで、これからどうします?」
車に戻る途中でトモルが尋ねてくる。
「そうだなあ」
そう言われるとどうしようと考えてしまう。
もともとは、物を確保してから家に戻るつもりだったのだ。
あとは様子を見て行動するつもりだった。
それがいきなり同行者が増えた。
そうなると、さてどうしようと考えてしまう。
三人で戻るには、自宅のアパートは狭い。
かといって、このままここに留まるわけにもいかない。
「まずは状況を確かめてからだな」
そう言って携帯電話を取り出す。
ネットから何か情報がないかを確かめるために。
「何か動きがあればいいんだけど……」
言いながら画面に目をとめる。
「どうしました?」
「いや、ちょっとな」
意外なものがそこに表示されていた。
「電話があった。
会社からだ」
あって当然かもしれないが、まさか連絡が来るとは思わなかった。
こんな状況だけに、会社も仕事どころじゃないだろうと思っていたので。
「ちょっと待っててくれ。
あ、荷物は車にのせておいて」
「はい、分かりました」
「これ、鍵ね」
「はい」
鍵を渡して、少しだけ二人と離れる。
聞かれて困る事を話すわけではないのだが。
仕事に関わる事は、やはり他の誰かに聞かれるべきではない。
一応、守秘義務というのがある。
それほどたいそうな事を口にするわけでは無いが。
そのついでに周辺の事も探知しておく。
話してる最中に襲われてはかなわない。
先ほどまでより広範囲に渡って状態を調べる。
そうしてから電話をかける。
「もしもし、御津来です」
『────あ、御津来さん』
電話の向こうから、聞き慣れた声が響いてきた。
「波奈多さん?
なんか、電話が入ってたけど」
『ええ、安否確認で電話とメールを。
返信がなかなか来なくて』
「そうでしたか────」
そのまま電話の向こうの相手と少しばかり話をする。
そうしながら、これからの行動を決めた。




