勇者達の旅路 三
二十三話、二十五話の幕間です。
「それで、実際に異能を見せてもらう事って出来ますかね?」
「出来るよ、はい」
「わっ、本当に剣が……」
「火が危ないから触ろうとかしないでね。今の所神炎ともう一つかな、僕が出せる剣は」
「ふむ」
「……地味だとか言うんでしょ?」
「……瞬時に出現、剣とはいえ出現位置を指定出来るなら性質によってはーー」
「アルフスさん?」
「あ、はい。まあ他の方々の異能を見ない事には比較は出来ないので……効率は良いのでは?」
「効率?」
「その異能は聞いた限りではアイムさんのそれと性質が似通ってるようですが、よりコンパクトに長期間扱えるというのが最大の利点だと思います。剣を依り代にする事で使用者の負担を減らすデザインなワケですね。地味だというのも分かりますが堅実です。私はそういう設計思想の道具は好きですねー」
「……アルフスさん、アナタ良い人だ!そこのヴィネなんてコレ見て何て言ったと思います?マッチ棒ですよ?いやー、見る目が違うなー」
「はは……」
☆
「元の髪の色ってどんなんだったの?」
「忘れた」
「ええ、ホントなのそれ?」
「ホントだよ。というか青色になってからの方が圧倒的に長いんだ。そう考えると当たり前じゃないか?」
「……ヴィネ、流石に敬語は使った方がーー」
「そういうのは気にしなくてもいいぞ。疲れるだろ」
「だってさ。ね、成長しないんならご飯って食べる必要あるの?」
「無いよ。私は飲み食い無しで生命活動が出来る。それでもするのは……まあ、習慣だな。食べた後の排泄も必要無い」
「……食事中ですよ」
「すまんすまん。で、他に何か聞きたい事あるか?」
「……あのー、フェニキスさんについて王様からの事前情報がほとんど無かったのって何でですか?王都から人が来たと思うんですけど」
「いや、白服ならともかくそっちは私には来てない……と思う。お前らが来るって話も多分アルフスから聞いたぞ」
「ええ、本人に直接接触してないのか。何でそんな迂遠な事したんだろ……」
「あー、多分それはあれだ」
「?」
「王都だろ?王都とは昔ちょっとモメかけたというか、息子が死んでキレた私が色々とやろうとした覚えがあるというか……。まあ、当時の私にはそこそこの権力があったからな」
「え」
「だからビビってたんじゃないか?先に白服から私について報告があって、あーアイツかヤバイなって。王は代替わりしてるんだろうが、未だに要注意人物として扱われててもおかしくはない」
「……だから注意しろって書いてあったのか。あの、要注意人物扱いって何やったんですか」
「…………忘れた」
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